JXB準決勝: パナソニックインパルス戦の見所
2017/11/18
昨年に続き今シーズンもJXBセミファイナルに進出したBigBlue。今回の対戦チームは5回目の対戦となるパナソニックインパルス(以下、パナソニック)です。初対戦はセカンドステージ制が始まった2009年で、この時は関東に遠征したパナソニック(当時はパナソニック電工インパルス)に7-49と完敗。しかし翌年は、就任1年目の山田晋三ヘッドコーチがファイナルステージへの抽選を引き当て、今度はBigBlueが大阪長居スタジアムへ遠征。4Q中盤に28-28の同点に追いつくものの、残り1秒にFGで逆転され28-31で敗戦。その後セカンドステージで#3クラフト選手が加入した2012年(17-34)、2013年(24-55)と対戦しますが、何れも大差で敗戦している相手です。今回4年振り5度目の対戦となるこのセミファイナルで、初めて勝利を勝ち取ることが出来るか正念場の試合になります。
今シーズンのパナソニックは、春のシーズンからここまで無敗の「パーフェクトシーズン」を継続中。その原動力はなんと言っても強力なディフェンス。リーグ戦6試合では、失点は富士通と並び70点とエレコム神戸の65失点に続いて2番目の堅牢さ。さらに今シーズン2年振りのXリーグシーズンとなるQB#5アンダーソン選手が加入し、攻撃力がアップしたオフェンスも194得点を上げ、こちらはノジマ相模原(246得点)、富士通(200得点)に次ぐ強力さ。昨シーズンは13-20で唯一土を付けられた富士通に対して、今シーズンは24-9と完勝したことからも、その強さは明らかです。現在Xリーグ最高と言っても過言では無いパナソニックのオフェンス、ディフエンスを、どのように切り崩していくか、残り一週間での準備が重要になります。
オフェンスの見所
リーグ戦前半(OBIC、明治安田、ノジマ相模原)で132得点を獲得するものの、後半(エレコム神戸、LIXIL、アサヒ飲料)は49得点と大きく落ち込んだオフェンスですが、JXB準々決勝のLIXIL戦では51得点を上げ、うちオフェンスのシリーズでは5TD/2FGで42得点を奪い復調を証明しました。特に看板のパッシングオフェンスでは、40回投げて29回成功し、トータル272ヤードを獲得。テンポ良く、ショート、ミドルパスを投げ込みリズムを作り、初戦のOBIC戦を彷彿させるオフェンススタイルが戻ってきました。故障でここ数試合を欠場していた、WR#81栗原選手、WR#18上廣選手が戻り、期待通りのプレーを見せてくれたことも、この試合に向けての期待が膨らみます。
パナソニックDL陣には#17モトゥ選手を筆頭に、重量級選手が厚い壁を築いており、OL陣はOBIC戦以上のプレーが要求されます。その中では、LIXIL戦で見せた早いタイミングでのパスが、一つの対策になると思われます。ただしミドルゾーンを守るLB陣も厚いディフェンス力を持っており、どれだけタイミング良くQBが投げ込み、一瞬の間隙を突いてレシーバーがボールをレシーブ出来るか、スリリングが勝負が予想されます。レシーブ時にも当たり負けしない、TE#40スタントン選手やTE#84小林選手といったインサイドレシーバーや、左右のオープンスペースへの早いパスで、5ヤードから8ヤードを確実に獲得するプレーが鍵になるでしょう。しかし、パナソニックのリーグ戦後半の三試合(富士通、OBIC、ノジマ相模原)を見ると、天候の関係もあるもののパナソニックディフエンスは相手のパスオフェンスは50%前後に押さえており、これをこの試合でどこまで高められるかが大きな課題になります。
またパナソニックディフェンスはランディフェンスでも好記録を示しており、特にOBIC戦ではあの豊富なタレントを有するOBIC RB陣を30回/27ヤードに押さえ込んでいます。一方でノジマ相模原戦では、QB#98ガードナー選手が15回/125ヤードを走っており、これが一つヒントになるかもしれません。試合展開にも寄りますが、QB#2政本選手がこの試合のターニングポイントになるかもしれません。RB#10末吉選手を軸としたランオフェンスがどれだけ相手に通用するのか、これがオフェンス最大の見所で有り、試合の行方を左右するプレーになりそうです。
ディフェンスの見所
今シーズン加入したQB#5アンダーソン選手が見事にパナソニックオフェンスに嵌まり、ここまでのパーフェクトシーズン立役者の一人で有る事は間違いありません。そのプレースタイルは、パスよりはラン中心。エースRB#33横田選手の活躍以上に脅威なのが、QB#5アンダーソン選手のランプレーです。これは、ノジマ相模原のQB#98ガードナー選手と同じスタイルで、BigBlueとしては敗れたノジマ相模原戦での反省と対策が、この試合では有効でしょう。これまでの試合内容を見ていると、プレーの70%がランプレーで有り、ディフェンスとしてはランプレー対策をどこまで準備出来るかが勝利の鍵になります。
その為にも、DE#34ブルックス選手、DL#92トゥアウ選手を軸として、その左右のスペースをDL/LB陣がどれだけ固められるかが重要。中でも今シーズン、ラッキーボーイ的な活躍をしているDL#44福岡選手のプレーに注目です。またLB陣では、LB#5コグラン選手、LB#6坂口選手、LB#35高橋選手等がLIXIL同様の活躍をしてくれれば、パナソニックオフェンスもこれまで以上に苦労するでしょう。課題は、ガードナー選手同様、サイズのあるアンダーソン選手を確実にファーストタックルで止めること。もう一人のキープレーヤーRB#33横田選手も176cm/90kgと重量級ランナーですから、同じようにしっかりとサポートタックルをして、最初にコンタクトした場所から進めないという気概が必要です。DL/LB陣の激しいタックルが、この試合最大の見所になる事は間違いありません。
準決勝進出4チームのスターターQBの中で、ここまで唯一インターセプトを許していないQB#5アンダーソン選手。パスプレー数自体が他のチームの半分くらいと言う事もありますが、投げるときには必ず決めるという意識が感じられます。ですからDB陣としては、仮にこの試合でインターセプトを奪うことが出来れば、通常の試合以上にアンダーソン選手与える影響は大きくなると想像されます。ファーストターゲットのWR#15頓花選手へのマークは、どの選手がマッチアップするにしても厳しい勝負になりそうです。QB#5アンダーソン選手も、プレーが崩れてパスポケットから出てもターゲットを探して投げ込んでくるタイプのため、DB陣としては最後まで気が抜けないプレーが続くと予想されます。体力だけで無く、精神的な部分でも相手に負けない強さが、これまで以上に要求されます。
試合の見所
これまで勝ち星の無い相手だけに、また昨シーズンよりもさらに先に進むために、是が非でも勝ちたいこの試合。最後の対戦ではダブルスコア以上の大差で敗れていますが、あれから4年が過ぎBigBlueのチーム力も格段にアップしています。どちらかと言えば不利な条件が多い遠征試合ですが、これまでの大阪遠征では5勝1敗と大きく勝ち越しており、その1敗も2010年あと一歩までパナソニックを追い詰めた試合ですから、BigBlueにとっては験は悪くない条件と言えます。また、シーズン途中怪我人は生まれたものの、終盤に掛けてフィールドに復帰してきており、戦力的にもシーズン開幕時に戻りつつ有る事も明るい材料です。とは言っても、そのまま対戦するだけでは、チーム力でも経験値でもまだまだ敵わない相手だけに、それを超える「何か」が無ければ勝利する事は出来ません。
例えば初戦のOBIC戦でのDB#32小林選手のインターセプトリターンTDや、先日のLIXIL戦でのRB#10末吉選手の80ヤードTDラン等、明らかに流れを変えるビッグプレーが出れば、それは非常に分かりやすくまた劇的に局面が変わる可能性もあります。しかし、そういうプレーはなかなか生まれるものでは無く、チームとしては苦しみながらもディフェンスが耐えて最後に勝利へ繋げたエレコム神戸戦やアサヒ飲料戦のような、チームとして戦う気持ちをどれだけ高めて最後まで維持出来るかという事に集中するべきでしょう。そういう意味では、点の取り合いのオフェンス戦に持ち込んで行ければ、勝機に繋がると思われます。勿論、簡単に得点を許す相手ではないだけに、まずはキッキングゲームで有利なポジションを確保する、ディフェンスが有利な攻撃権を与えてくれたら、必ず得点に繋げるという、チームとしてのシステムがどれだけ効果的にかつ機能的に動作するかが問われる試合と言えます。逆に、それが達成出来れば、次に待つJXBでの勝利、そしてその先Rice Bowlでの勝利も見えてくるはずです。昨年は富士通にあと一歩、半歩まで迫りながら勝ちきれなかった悔しさを、今年は僅差でも勝ちきれる強さに変えて、この試合で見せて欲しいと思います。DOMINATE! BigBlue!
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