あるOBの呟き- 第一節 vs. 明治安田パイレーツ

2007/09/11

い よいよ始まった2007年リーグ戦。Xリーグ第一節の試合中、最後のキックオフとなるのが、このBigBlue vs 明治安田パイレーツの試合です。残暑厳しいこの日、第一試合のオンワードスカイラークスvs富士XEROXの時には、うだるような熱気が川崎球場を包んで いましたが、日が傾くにつれてその暑さも和らいで行き、時折吹く風が心地よい絶好のナイトゲームとなりました。

明治安田との対戦は前身の五洋建設パイレーツ時代も含めて今回がXリーグで4回目。2連敗した後、やっと昨シーズン勝利を納めたものの、試合は点の 取り合いとなるシーソーゲーム。4Qに入って10差でリードされていた状況から2TDを上げて逆転し、最後は同点狙いのFGを失敗に追い込み勝利した辛勝 でした。今シーズンの明治安田は、大量24名の新人・移籍選手を獲得し昨年以上にチーム力が補強されたと聞き、さらに厳しい試合展開が予想されます。

対するBigBlueは今年こそFinal-6、そしてRice Bowlへという悲願達成のために、昨年のシーズン終了直後から気持ちを切り替えてきました。2シーズン続けて3位というポジションに甘んじて来ました が、今年こそ上位チームを倒してその先に進む事を目標に、チーム一丸となって頑張ってきました。鍵を握るのはオフェンス力。QB岡村を軸に展開されるパッ シングオフェンスは、春の交流戦ではレシーバー陣との呼吸に不安が残りました。それがどこまで修正され、通用するのかがこの試合での注目点の一つでしょ う。

攻めきれないもどかしさも

BigBlue K#11井田のキックオフで始まったこの試合、最初の明治安田オフェンスシリーズはオフサイドの反則でファーストダウン更新を与えるものの、その後パント に追い込み攻撃権が移動します。フィーストプレーはRB#39礒谷の1ヤードランですが、続くセカンドダウンでは今シーズン期待のルーキーWR#83イア ンへ17ヤードのパスがQB#15岡村から決まりファーストダウン更新。続けて、今度はRB礒谷が18ヤードのロングゲインを見せ敵陣に入ります。QB岡 村のキープの後、今度はWR#81安田に17ヤードパスが決まり一気に敵陣ゴール前に前進すると、明治安田はたまらずタイムアウトを取りBigBlueの リズムを一度止めます。これが功を奏したのか、ここからTDを狙ったプレーが決まらず、4thダウンでK井田が33ヤードのFGを決めて3点を先制しま す。

続 く明治安田のオフェンスシリーズでは、セカンドダウンのパスをレシーバーがはじくと後ろにいたS#25布施がキャッチ。そのまま一気に26ヤードボールを 進めて再び得点チャンスをチームにもたらします。ゴール前22ヤードというポジションから、ファーストダウンではRB礒谷が8ヤード前進したものの、続く パスが失敗し今回もTDはならず、K井田が31ヤードのFGをけり込み6-0と点差を広げます。押してはいるものの、今ひとつ攻めきれないBigBlue オフェンスにもどかしさを感じます。そんなスタンドの雰囲気を感じたのか、1Q後半に再び回ってきたBigBlueオフェンスシリーズでは、オフェンス チームが目を覚まします。

自陣奥からの攻撃となったこのシリーズ、WR#44天谷へのパスでファーストダウンを更新するものの、反則で大きく罰退。3rdダウンロングの厳し い状況ですが、ここで選択したプレーはTDも狙ったロングパス。右サイドラインを駆け上がるWR#7福井にQB岡村から44ヤードのロングパスが決まり一 気に敵陣奥まで攻め込みます。さらに続くファーストダウンのプレーではRB#21石川がディフェンダーを振り切り引きずりながら前進。パワーで17ヤード を進みゴール前8ヤードまで迫ります。こ こで1Qが終了しサイドが変わって2Q最初のプレー。ボールを受けたRB礒谷は、大きく空いた中央を真っ直ぐに突進し、この試合初めてのTDを決めます。 TFPでは、スナップミスからプレーが崩れ、そこからホルダーのQB#13石川からDL#96佐藤へのTDパスが決まったかに見えましたが、反則で取り消 し。K井田が、今度はTFPキックを決めて13-0と点をさらに広げます。

完全に試合のモメンタムを掴んだBigBlue、ディフェンスも好調で明治安田にファーストダウン更新を許さずにパントに追い込み得点を許しませ ん。そのパントが明治安田陣内50ヤード付近で終了し再びBigBlueチャンスが生まれる2Q中盤。WR天谷へパスが決まり敵陣31ヤードからのファー ストダウンプレー、QB岡村のオプションピッチを受けたRB礒谷はラインの好ブロックに助けられオープンを一気に駆け上がると、この日2本目のTDラン! TFPキックも決まり、20-0とさらに点差を広げます。

このまま流れは一気にBigBlueに傾くかと思われましたが、明治安田も踏ん張ります。2Q後半自陣奥からのシリーズでは、2ヤードダイブでこの 試合始めてプレーでダウンを更新すると、メインターゲットの#87松下にロングパスが決まり再びダウン更新。さらに#20林が30ヤードを独走して一気に エンドゾーンに迫ると、最後は1ヤードをRBがダイブをしTDを返します。前半は20-7とBigBlueがリードするものの、やや追い上げられた雰囲気 の中で終了します。

昨年とは逆の展開

昨年の試合では、明治安田が先行しそれをBigBlueが追いかける展開で進み、2Q最後にWR天谷へのTDが決まり14-10とリードしての折り 返しでした。今回は、BigBlueが常に先行し明治安田をオフェンスでもディフェンスでもきっちりとコントロールしている印象があります。残念なのは最 後の明治安田オフェンスシリーズで、ちょっとした油断からロングゲインを奪われ、その積み重ねからTDを奪われてしまいました。この雰囲気を断ち切らない と、今回は昨年とは逆にBigBlueが逆転されて負けるような展開になりかねません。ただ前半のオフェンス陣の活躍は、昨年とは違う何かを感じさせてく れるのも確かです。

新人3名を加えたBBCのハーフタイムショーが終了すると、いよいよ後半戦のスタートです。

波に乗る3Q

3QはBigBlueのオフェンスシリーズでスタートします。しかし、この最初のオフェンスシリーズ、双方のチームで反則が続きなかなかダウンが進みません。停滞した雰囲気を払拭したのは、WR安田への19ヤードパスの成功。"God Hand"のレシーブに、スタンドもベンチも大いに盛り上がります。さらに敵陣に入ると、SB#18高木(幸)に23ヤードのパスが決まり、後半は空中戦でオフェンスシリーズが進んでいきます。しかし、最後の締めはこの日好調なRB礒谷。ゴール前12ヤード、2nd Down 9からボールを受け取ると、スクリメージ中央を突破し最後はディフェンスのタックルを引きずりながらエンドゾーンに飛び込んで、この日3本目のTDを決めます。

何とかまず1本を返してきっかけを掴みたい明治安田。しかし、その気持ちが逆に空回りして自ら反則を犯して攻撃のリズムが掴めません。3Q最後のプ レートなった3rdダウンの攻撃では、LB#30ロッキーがQBサックを決めて大きく後退。やや意気消沈した雰囲気を引きずりながら、サイドが変わり明治 安田の4thダウンパントで4Qがスタートします。このパントキックをS布施がブロック。敵陣エンドゾーンに向かって転がるボールを、DL佐藤がゴール前 2ヤードで押さえBigBlueに再びビッグチャンスが訪れます。

ゴー ル前2ヤードからのファーストダウン。どんなプレーの選択も可能な場面ですが、QB岡村はワンセットバックに入ったRB#1高木にハンドオフ。RB高木は 大きく開いた中央をそのままドライブしてエンドゾーンに飛び込みTD。TFPキックも決まり、34-7とこの試合を決定づけます。

残り時間との戦いにもなる明治安田は、パス中心のゲームプランに変更してキャッチアップを狙いますが、BigBlue DL/LB陣の厳しいプレッシャーとDB陣のマークに中々前進出来ません。4Q中盤の明治安田のオフェンスシリーズは、DB#22中山のインターセプトで 攻撃権が移動し、さらに続く明治安田のオフェンス最初のパスもDB#4川村がインターセプトし完全に試合の主導権を掴みます。

し かし、ここで気が緩んだのか、続くBigBlueのオフェンスシリーズはゴール前から前進出来ずパントに追い込まれます。しかも、このパントキックを明治 安田の選手がブロック。ボールはエンドゾーンを割りセーフティーの2点が明治安田に追加されます。セーフティー後のキックオフで再びオフェンスのチャンス を掴んだ明治安田ですが、パスを全て失敗し4th Down 10からギャンブルを選択。このパスも失敗するのですが、ここで痛恨のパスインターフェアの反則でダウン更新を許してしまいます。嫌な流れは、LB#41 松澤のQBサックで一度は止まるものの、ここで明治安田QB君川が立て続けにパスを決めゴール前9ヤードでファーストダウンを獲得します。すでにタイムア ウトを使い切っている明治安田、残り時間も30秒を切り刻々と時計が進む中、TDを取るかパス失敗で時計を止めて次のプレーにつなげるか最後の戦いが始ま ります。再びBigBlueディフェンス陣の厳しいプレッシャーとマークで3rd Downまでパスは全て失敗。最後のチャンスとなる4th Downのプレーも、LB#36林がQBサックを決めて明治安田の反撃を止めました。

次はいよいよ天王山


反則の多さやここ一番と言うときに相手に前進を許す守備の甘さなど、反省すべき点は多々ありますが、久し振りに BigBlueらしい良い試合だったと思います。欲を言えば、最初のFG 2本のうち一つはTDが欲しいかったことと、4Qが無得点で終了した事に不満は残りますが、全体として最初から最後まで安心して試合を見ていられた内容で した。特に、RB陣のベテラン・中堅の石川、礒谷、高木の元気な走りは、パス中心のBigBlueオフェンスにさらに厚みを生むものとしてこれからの試合 にも期待が膨らみます。

ディフェンスは完封はなりませんでしたが、十分合格点でしょう。特にランプレー対策は、ほぼ満点と言っていいのではないでしょうか。TDに繋がった ロングゲインのプレーを除けば、殆どのプレーを止めていたように思います。パスに関して言えば、メインターゲットで来ると分かっているエースレシーバー二 宮選手に、何本も長いパスを通されたことは残念でした。勿論、それ以上にパス失敗に追い込んでいるわけですから、ディフェンスとしては十分なのかもしれま せんが、エースレシーバーの活躍はチームの士気にも影響しモメンタムを変える力にも成り得ます。そう言う意味で、さらに上のレベルのプレーを期待したいと 感じた試合でした。

次はいよいよ天王山であるオンワードスカイラークスとの試合。昨年はディフェンスが踏ん張り2TD/14点に抑えたものの、オフェンスが3点にとど まり勝利を掴むことが出来ませんでした。昨年度の日本チャンピオンであり、決して楽観は出来ないものの今日の試合で感じたチームの雰囲気が次の試合でも再 現できれば、勝機は開かれるように感じます。通常、次の試合までの間隔が短いことは準備時間の短さや怪我人の治療期間などマイナス要因になるのですが、今 回に関して言えばこの試合の良い雰囲気が消えないうちに次の試合を迎えることが逆にプラスになるような気がします。東京ドームでの活躍を期待します。

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