あるOBの呟き- パールボウル vs. オービック戦観戦記
2006/05/15
朝 から冷たい雨が降るあいにくの天候となりましたが、両チームのスタンドは勿論芝生席も埋まる程熱心なフットボールファンが川崎球場に詰めかけています。今 日明日と行われるブロック予選最終戦で、パールボウルトーナメント進出チームが決定します。昨年と同様、オービックと進出をかけて闘うBigBlueは 「今年こそ」という意気込みに燃えています。
もう一つこの試合に勝ちたい理由があります。長年ヘッドコーチのデビッドコーチを支えながら、チームやチームメンバーの"Great Mam"である、デビッドコーチの奥様ローリーさんの誕生日でもあるからです。試合前セレモニーでは、全員がローリーさんとハイタッチして入場してきます が、是非「勝利」もプレゼントしたいと強く感じます。
試合はイーブン、悔やまれるカバーミス
BigBlue のキックオフで始まったこの試合。オービックの最初のオフェンスシリーズは、確実に4thダウンパントに追い込みBigBlueのオフェンスシリーズが始 まります。この日先発したQB#10柴田は、まずWR#44天谷へミドルパスを決めると、2ndダウンではRB#1高木(泰)がファーストダウンを更新す る走りを見せ、幸先の良いスタートです。さらに、WR#18高木(幸)への9ヤードパスに続き、RB#43 Kapanuiが巨漢を生かしたパワーランで一気に12ヤード前進し、オービックディフェンス陣を自陣に押し込みます。ところが、突如ここから4プレー続 けて反則が発生。折角掴んだリズムを自ら壊してしまい、パントで攻撃を終了してしまいます。この後再び戻ってきた攻撃シリーズですが、精彩無く簡単に 4thダウンパント。ここで、オービックリターナー#36白木がBigBlueカバーチームの隙を突き密集を抜けると、そのままエンドゾーンに飛び込み先 制点をあげます(TFPキック成功)。何かすっきりしない状態が続く中、1Qも最後となり敵陣に入ったところで3rdダウンロングを残します。ファースト ダウン更新を狙う2Q最初のプレー。QB#10柴田からWR#19右田に投げられたパスは、オービックがインターセプト。苦しいBigBlueオフェンス の状態を伺わせます。
先制点をあげられたものの、BigBlueディフェンスはオービックの攻撃をよく押さえます。インターセプトから始まった、2Qオービック最初のオ フェンスシリーズも、4thダウン残り1ヤードの場面からオービックのパント。ここでBigBlueラインの強力なプレッシャーで、センターがロングス ナップをミス。慌ててボールを拾い上げたオービックK#10吉坂をBigBlue LB#35筒井がタックルし、敵陣を進んだ位置からの攻撃権をオフェンスに渡します。この好機にも、WR#7福井にミドルパスが通って前進するものの、後 一歩足らずパントで再び攻撃権が移動します。このまま4thダウンのパントを交換する膠着状態が続く中、2Q後半BigBlueにチャンスが回ってきま す。
敵 陣40ヤードからの好ポジションを得たBigBlueは、WR#44天谷、SB#23貴志、WR#80神田とパスが決まり、ゴール前15ヤードでファース トダウンを得ます。ここから、RB#1高木(泰)が3回突破を試みますが、厳しいディフェンスに会いゴールには届きません。ゴール前10ヤード、4thダ ウンで5ヤードを残してK#11井田のFGで得点を狙いますが、降り続く雨とぬかるむグランドの土部分という悪条件もあり、スナップが乱れてしまいキック 失敗。貴重な得点チャンスを逃がして、前半が0-7で終了します。
モメンタムを掴みたい
得点こそ入れられたものの、ディフェンスは確実にオービックの攻撃を止めて互角以上の活躍を見せてくれています。方や、オフェンスは後一歩のところ でチャンスを失う場面が二度三度とあり、前節の東京ガス戦の時以上に厳しい状況に感じられます。RB#1高木、RB#43 Kapanuiのランプレーが止められているため、どうしてもパスに頼らざるを得なくなり、その為オービックのマークも一層厳しいように感じられます。小 雨と寒さという悪条件の中、パスの精度を上げることは難しいと思われますが、何とかBigBlueの売り物であるパスオフェンスからまずリズムを掴まない と、この先得点も難しくなるでしょう。
ディフェンスも、これまではよくオービックを押さえていますが、前半にも時折オービックのRBにロングゲインされる場面があり、タックルミスも見られました。厳しい状況ではありますが、オフェンスがリズムを取り戻すまで、もう少し頑張って欲しいと願います。
3Q早々、オービックが追加点
3Q 最初のBigBlueオフェンスシリーズは、QBのインテンショナルグランディングの反則もありパント。これが距離が伸びず、オービックにBigBlue 陣内からの攻撃シリーズを与えてしまいます。ここからオービックは、RB陣がファーストダウンを次々に更新する走りを見せ、一気にゴール前に迫ると、最後 はQB#15龍村が1ヤードを飛び込みTD。3Q早々に追加点を許してしまいます。何とかしてモメンタムを引き寄せたいBigBlueに反撃の兆しが見え だしたのは、3Qも後半3分を切ってからでした。
オー ビックのパントがタッチバックとなり、自陣の20ヤードから始まるこのシリーズ。後半から登場したQB#13石川(貴)は、WR#44天谷に19ヤードの ロングパスを決めてファーストダウンを更新すると、SB#23貴志、WR#7福井に続けてショートパスを決めて敵陣に入り、4thダウン1ヤードの場面で はRB#43 Kapanuiに持たせてギャンブルを成功させます。ところが、ここで3Qが終了しサイドが入れ替わるとまるで別人のようにパスが通らなくなります。折角 掴みかけたリズムが、クォータタイムの交代で再び遠のいてしまいました。
しかし、ここでディフェンスにビッグプレー。2ndダウンのプレーでオービックQB#11井上がボールをファンブルすると、BigBlueがすかさ ずリカバー。嫌なムードを吹き飛ばすプレーを見せてくれます。ここから何とか得点に繋ぎたいBigBlueですが、しかしQBサックや反則による罰退があ りパントで攻撃権が移動します。このパント、大きくオービック陣内にけり込まれ、リ ターナーがキャッチした瞬間、DB#31元野がタックルし、オービックに自陣奥からのシリーズを強いる好プレーを見せます。ところが、その直後のプレーで RB#20古谷が70ヤードのロングゲインを見せ、辛くもゴール前でタックルして止めますが、続くプレーで#36白木がエンドゾーンに駆け込みさらに追加 点を追加されてしまいます。BigBlueの良いプレーの後に、さらにそれを上回る好プレーをオービックが見せ、試合の流れは完全にオービックに傾いてし まいました。
この後もオービックはゴール前に攻め込み、何とかTDは免れますがFGによる3点を追加。0-24と点差を広げて試合を決定づけます。好調だった BigBlueディフェンス陣にも疲れが見え始め、またBigBlueオフェンス陣は最後まで本来の持ち味を見せることなく、結局試合は0-24の完敗で 終了しました。
秋に向けて一つ一つ解決していこう
ディ フェンス陣が好調だっただけに、この試合オフェンス陣の不調が悔やまれます。特に、ファンブルリカバーのターンオーバーからのシリーズが簡単に終わってし まった事は、ワンチャンスをものにするしぶとさがまだまだ足りないように感じられます。前半ではどちらのオフェンスチームも対するディフェンスチームから 厳しいプレッシャーを受けてのオフェンスシリーズとなりましたが、そのフィードバックをしっかり後半に生かしてきたオービックは、流石昨年のチャンピオン チームと言えます。チームの総合力でも、さらに高い目標を目指す必要があることを実感した試合でした。
残念ながら「勝利」という贈り物は出来ませんでしたが、試合後のセレモニーでローリーさんに少しでも喜んでもらえたなら、何時もお世話になっている 事に対して少し恩返しが出来たのではないでしょうか。ほんの少し前まで闘っていたチーム同士でハッピーバースデーを歌い送る様子、普通は見ない光景です が、それだけ大きな包容力を持ち両チームばかりか日本のフットボールを愛してくれているスタント一家であればこそではないかと想います。次こそは、本当の 勝利を送りましょう!
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