あるOBの呟き- 2025第二節: vs オール三菱ライオンズ戦

2025/09/17

2025リーグ戦初戦に大差で敗れ、苦しいシーズンスタートとなったBIG BLUE。第二節の対戦チームは、春の交流戦で惜敗したオール三菱ライオンズ(以下、オール三菱)との対戦です。オール三菱とは、BIG BLUEのXリーグ昇格初年度(2002年)に初対戦して以来、リーグ戦では9勝2敗1分の成績。最初の3シーズンは、2敗1分と力の差がありましたが、2006年のリーグ戦を10-0で勝利すると、昨シーズンまで9連勝とBIG BLUEが上まわっています。チーム事情から苦しいシーズンが続いていたオール三菱ですが、徐々にチーム力を強化してきており、特に今シーズンはRB#30 Malcome選手が加入。2年前に開催された「Japan U.S. Dream Bowl 2023」にペンシルバニア大学の選手として来日し、この試合のMVPを獲得しています。前節の試合でも活躍し、体格的には決して大きくはありませんが、重く低く早いランプレーは十分に脅威と言えます。

対するBIG BLUEの前節東京ガスクリエイターズ(以下、東京ガス)との試合は、昨シーズンの雪辱を目指したものの、得意のオフェンスが噛み合わず、序盤にはミスから相手に得点の好機を与えてリードを許すと、後半も点差を広げられて敗戦となりました。そんな中でも、オフェンスでは新加入のRB#15秋元選手、RB#28伊丹選手が活躍し、この試合でも期待が広がります。ディフェンスでは、パスディフエンスにやや脆さが見られ3TDパスを許しています。この試合では、ランプレーの比重が大きいとは思いますが、それ故に一瞬の隙を突いたパスからの失点には注意が必要です。また攻撃の中心となるRB#30 Malcome選手をどれだけ止めることが出来るかが、勝利への絶対条件になるでしょう。

コイントスでは、ゲームキャプテンを務めるDB#1中谷選手が前半のリターンを選択。オール三菱K#84奥瀬選手のキックオフでいよいよ試合開始です。
 

オフェンス覚醒

自陣7ヤードでキックボウルをキャッチしたWR#85鈴木(隆)選手は、左オープンに走り出すと、RB#6柴田選手、RB#15秋元選手のリードブロックを上手く利用して、一気に58ヤードを戻します。敵陣35ヤードからのQB#2政本選手のパスは失敗しますが、相手の反則もあり敵陣20ヤードでファーストダウンを更新。さらにTE#5 Auger選手へのパスで8ヤード前進すると、WR#14遠藤選手のジェットスイープでダウンを更新してゴール前7ヤードまで進みます。ここからQB#2政本選手は、中央に走り込んできたWR#84近江選手へパス。ゴールライン手前でキャッチしたWR#84近江選手は、相手の必死のタックルを受けながらもエンドゾーンに身体を押し込んで先制のTDを奪います。

続くオール三菱の攻撃は、RB#30 Malcome選手のランでダウンを更新すると、QB#15西澤選手からTE#87田島選手への19ヤードパスで敵陣に入ります。しかし3rdダウン7ヤードでは、DL#99島野選手がQBサックで9ヤード後退させパントで攻撃権が移動します。自陣6ヤードからの厳しいスタートのBIG BLUEの攻撃ですが、RB#21平松選手のランでダウンを更新すると、さらにWR#84近江選手へ36ヤードのロングパスが通り一気に敵陣36ヤードまで前進します。オール三菱のディフェンスも手堅く3rdダウン10ヤードが残りますが、相手のパスインターフェアの反則でゴール前21ヤードでファーストダウンを獲得。ここからQB#2政本選手はTE#5 Auger選手へパスを通すと、TE#5 Auger選手は相手タックルを振り切ってエンドゾーンへと飛び込みTDとなります。

オール三菱の攻撃では、RB#30 Malcome選手のランをLB#47池田選手が好タックルでロングゲインを許しません。3rdダウン2ヤードからのQB#15西澤選手のパスは、DL#99島野選手がチップして失敗。パントで攻撃権が移動します。続くBIG BLUEの攻撃から試合は2Qに入ります。WR#16齋藤選手へのパスでダウンを更新すると、さらにQB#2政本選手のキープでダウンを更に更新します。RB#28伊丹選手のランで5ヤード前進しますが、続く2回のパスは失敗に終わり、4thダウンパントに変わります。K#87東選手のパントは、エンドゾーン直前で止まったかと見えましたが、残念ながらタッチバックとなり自陣20ヤードからオール三菱の攻撃が始まります。

RB#30 Malcome選手のランで一度はダウン更新を許しますが、3rdダウン9ヤードからのRB#30 Malcome選手へのフレアーパスは、素早くLB#40東條選手、DB#24岸野選手が5ヤードでタックルし、このシリーズもパントで交替となります。自陣19ヤードからのBIG BLUEの攻撃は2Qに入り、RB#21平松選手のランでダウンを更新すると、WR#84近江選手のパスで更にダウンを更新。さらにTE#5 Auger選手へのパスが成功して、自陣49ヤードで2ndダウン3ヤードとなります。ダウン更新を狙ったRB#15秋元選手の中央ダイブは、LB#0奥瀬選手のタックルを受けますが、これを自ら振りほどくと、目の前でTE#5 Auger選手がブロックする背後を駆け抜け、さらにWR#84近江選手のリードブロックもあり、31ヤードを駆け抜けます。ゴール前20ヤードまで進んだBIG BLUEは、QB#2政本選手が正面に走り込んできたWR#84近江選手へパス。これをキャッチしてそのままエンドゾーンへと運びさらにTDを追加します。

21-0と大量リードしたBIG BLUE。しかし続くオール三菱のキックオフリターンでは、K#87東選手のキックオフを自陣5ヤードでキャッチしたRB#30 Malcome選手が、リードブロッカーが綺麗に開けた走路を右から左へと抜けています。タックルミスもあり、左オープンに走り出たRB#30 Malcome選手は、最後のK#87東選手のタックルもかわして、キックオフリターンTDを奪います。しかし、これで気落ちすること無く、続くキックオフではWR#85鈴木(隆)選手が、今回も44ヤードのビッグリターンでボールを敵陣49ヤードまで戻します。ここからQB#2政本選手のパスが炸裂し、RB#21平松選手が17ヤード進めると、WR#14遠藤選手がフィールドすれすれのパスをキャッチしてゴール前8ヤードまで進みます。更に相手の反則で4ヤードまで進むと、最後はRB#28伊丹選手が中央をダイブで抜け、相手タックルを飛び越えてTDを奪います。

次のキックオフでは、RB#30 Malcome選手のリターンを、DB#23玉川選手がすかさずタックルし、自陣18ヤードからのオール三菱の攻撃。一気に奥を狙ったQB#15西澤選手のパスを、DB#29米田選手が飛び込みインターセプト。敵陣48ヤードからBIG BLUEの攻撃が始まります。WR#85鈴木(隆)選手へのバスでダウンを更新すると、TE#5 Auger選手へのパスでゴール前22ヤードでさらにダウンを更新。RB#28伊丹選手の、ラン、パスでエンドゾーンを狙いますが残念ながら届かず、4thダウンで5ヤードが残ります。ここでBIG BLUEはタイムアウトを取り、時計を残り5秒で止めるとK#11福岡(勇)選手が登場し、35ヤードのフィールドゴールを狙います。キックは確実にゴールポストを捉え、31-7と更に点差を広げて前半を終わります。
 

最後まで圧倒

後半3Qは、K#87東選手のキックオフで再開。スクイーズキック気味に蹴られたボールを、DL#91竹選手が確保すると12ヤード戻してオール三菱後半の攻撃がはじまります。RB#30 Malcome選手のランとパスで敵陣に入りますが、DB陣のパスカバーが功を奏し、P#6高橋選手のパントで攻撃権が移動します。BIG BLUEの攻撃は、QB#2政本選手が続けて登場。しかし最初のプレーでDL#9竹選手にQBサックを受けて5ヤードの後退。これをWR#85鈴木(隆)選手、TE#5 Auguer選手へのパスで取り返してダウンを更新します。さらにRB#21平松選手への23ヤードパスが成功して、ボールは敵陣48ヤードへと前進。しかしその後のプレーが続かず、4thダウン4ヤードが残ります。ここでBIG BLUEはギャンブルを選択。しかもスペシャルプレーを繰り出します。

左からジェットスイープで移動してきたWR#16齋藤選手へQB#2政本選手からボールが渡されると、今度は右から回り込んできたWR#85鈴木(隆)選手へWR#16齋藤選手からリバースのピッチ。そのWR#85鈴木(隆)は中央で待つQB#2政本選手へ再びボールを戻すと、QB#2政本選手は右サイドでオフェンスラインのスクリーンの後ろで待つWR#16齋藤選手へフォワードパスを通します。ボールをキャッチしたWR#16齋藤選手は、OL#55田宮選手、OL#58本間選手、OL#53糸川選手、OL#76山下選手、OL#61田窪選手の5人のOLとTE#5 Auger選手による「完璧」と言って良いリードブロックに守られて駆け上がり、最後はタックルを受けながらもエンドゾーンに飛び込みます。スタンドが歓喜に沸きますが、残念ながらホールディングの反則でこのTDは取消。元の位置から10ヤード罰退したため、今度はP#87東選手が登場してパントをキックします。

しかしモメンタムはまだBIG BLUEに残ります。自陣23ヤードからのオール三菱の攻撃は、最初のTE#87田島選手へのパスをこの試合右手をギブスで固めたDB#37松本選手が素早くタックル。次のRB#30 Malcome選手のダイブもDB#23玉川選手が1ヤードで止め、さらにそのRB#30 Malcome選手へのパスも、DB#23玉川選手とDB#33藤田選手が阻止。このシリーズをパントで終わらせます。この流れを引き継いだBIG BLUEオフェンスも、QB#2政本選手からWR#18井上選手へ続けてダウン更新のパスが通り敵陣に入ると、QB#2政本選手が右にシフトしたところにWR#20渡邊選手が入るワイルドキャットから、WR#20渡邊選手がスナップを受けてそのままダウン更新の12ヤードラン。QB#2政本選手が戻ると、パスは失敗しますが、相手のパスインターフェアの反則でゴール前8ヤードでファーストダウンを獲得します。ここからエンドゾーン奥に走り込んだTE#5 Auger選手へこの試合2本目のTDパスが成功します。

続くオール三菱の攻撃は、WR#9福田選手が自陣23ヤードまでリターンしますが、最初のプレーでホールディングの反則があり10ヤード罰退。さらにやり直しのファーストダウンのパスも失敗に追い込みます。しかし次のQB#15西澤選手のリード気味のパスを、WR#85尾崎選手が飛び込んで32ヤードレシーブで一気に挽回。これでディフェンスの集中力が少し緩んだのか、次のRB#30 Malcome選手のオープンランを止められず、19ヤード前進をして敵陣に入ります。そして次のプレーでは、DBの裏を抜けてフリーになったWR#9福田選手へQB#15西澤選手のパスがヒット。そのままエンドゾーンに飛び込み、36ヤードTDパスを許してしまいます。

続くBIG BLUEの攻撃途中から試合は4Qに入りますが、パントで攻守交代。オール三菱も攻めあぐねる状態となり、この後パントで交替するシリーズが続きます。4Qに入り、BIG BLUEはQBをQB#10水嶋選手へ交代。最初のシリーズではパスが安定せずにパントで終わります。何とか追い上げたいオール三菱の4thダウンギャンブルのパスを防ぎ、敵陣25ヤードからのBIG BLUEの攻撃は、RB#4鈴木(恵)選手がハンドオフを受けるとスルスルと中央を抜け、その後は得意のカットバックでタックルをかわして17ヤード前進します。1stダウンのパス失敗の後、2ndダウンではQB#10水嶋選手自らが飛び込みま3ヤードの前進。3rdダウン5ヤードからは、左サイドにセットしたRB#6柴田選手が遅れてエンドゾーンに走り込むと、そこにQB#10水嶋選手から浮かせたバスが成功しTDを奪います。

K#87東選手のキックオフをキャッチしたWR#82白井選手が、タックラーをかわして32ヤード戻して、自陣47ヤードからのオール三菱の攻撃。厳しいラッシュでQBにプレシャーを掛けますが、4thダウン6ヤードからWR#3伊佐選手へ丁度ダウン更新する6ヤードのパスが成功。敵陣43ヤードでファーストダウンを更新します。しかしここからDL陣のラッシュはさらに厳しさを増し、3rdダウン10ヤードでは、DL#8川口選手とDL#92 Schaffer選手が二人で-7ヤードのQBサック。4thダウンのパスも失敗して攻撃が移動します。残り4分少し残してのBIG BLUEの攻撃は、ランプレーで時計を回しつつダウンを1回更新します。その後4thダウンとなり、21秒残してパントでオール三菱に攻撃権が移動します。オール三菱も、パスでエンドゾーンを狙いますが続けて失敗。3rdダウンではWR#18多田選手へパスが通りますが、ここでタイムアップとなり45-14で試合終了となります。
 

一人一人の積み重ねの勝利

前節の試合で出た、課題や反省点をしっかりと修正して対策し、それを確実に実行出来た試合だったと言えるでしょう。オフェンスでは、QB#2政本選手のパス、特にショート・ミドルヤードでの成功率が格段にアップし、シリーズとして安定感のある内容だったと思います。強いて言えば、ロングパスの場面ではQBとレシーバーの意思疎通が出来ていない様子も見られたので、この部分の精度が上がればBIG BLUEのハイパーオフェンス復活と言っても良いでしょう。ランプレーも、獲得ヤードでは前節よりも減りましたが、OLが積極的にダウンフィールドに出ている様子は好感が持てました。欲を言えば、中央のプレーでさらに相手を押し込むことが出来れば、RB陣のプレーに更に厚みが加わることは間違いありません。

ディフェンスは、この試合からDL#92 Schaffer選手が合流。以前の守護神DL#34 Brooks選手を超えるサイズは、そこに居るだけで存在感がありますが、まだ合流して日数が少ないため本来の力を発揮出来ていなかったように感じます。直前までELF (European League of Football)のチャンピオンシップゲームに出場しており、試合経験と試合勘は十分残っていると思われます。BIG BLUEディフェンスとの融合にはまだ時間は掛かるかもしれませんが、そこはDLコーチの経験も豊富なマイクHCの手腕に期待したいところです。DL陣は若手メンバーの活躍も目立っているだけに、次の変革を期待したいところです。

この試合で感じたのは、一人一人が自分の役割をシンブルに理解して確実にそれを実行し、それがチームとして積み重なって結果を出していたと言うことです。特にこの試合での反則は1回10ヤードと最近の試合の中では少なく、それはプレーとしての完成度の高さでもあると感じます。課題は、この状態からさらに練度を上げてミスを減らし、プレーの完成度を上げるとともに、プレーの内容も密度を上げていけるかでしょう。期待が確信に変わる更なる成長を、次の試合で見せて欲しいと思います。

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