パールボウル2016: LIXILディアーズ戦の見所

2016/06/06

創部40周年の節目の年に、初めてパールボウルトーナメントに駒を進めたBigBlue。準決勝の対戦チーム、ノジマ相模原ライズ(以下、ノジマ相模原)とは、オフェンス・ディフェンスともに3Qまではほぼ完璧な内容で試合をリード。しかし、4Qに入ると相手の猛攻を受け試合の主導権を失いかけましたが、RB#10末吉選手の46ヤード独走TDランと、LB#47作道選手のパスインターセプトで相手の反撃を振り切り、創部以来初のパールボウル決勝進出を勝ち取りました。

決勝の相手は、現在のチームとしてはやはり初出場となるLIXILディアーズ(以下、LIXIL)。しかし前身チームの鹿島ディアーズ時代も含めると、今回で3年振り11回目のパールボウル決勝進出であり、そのうち8回は優勝をしている常勝チーム。昨年のファーストステージ最終節でも対戦し、巧みなオフェンスで常にリードを保ち、BigBlueとしては初の全勝でのファーストステージ通過を阻まれました。今回は春の試合ではありますが、昨年の雪辱という意味でも、また記念となるシーズンに華を添える意味でも、何としても勝ちたい決勝戦です。

オフェンスの見所

ここまでBigBlueオフェンスの核となっているのは、なんと言ってもRB#10末吉選手の走りです。シーズンイン直後から中村多聞氏を臨時コーチとして招聘し、これまでの知識と経験を忘れて、一から「タモン式RB術」の習得を進めており、早くもその成果が発揮されています。その中でも末吉選手の走りは昨年と比べて確実にステップアップしたパワーとスピードを感じます。RB#21髙木選手も、もともとカットバックの上手いランナーですが、ノジマ相模原戦では鋭いカット走法を何度も見せてヤードを稼いでいました。元々はQB#3クラフト選手のパス能力を生かした、バッシング重視のオフェンスでしたが、最近ではパスを生かすためのラン、ランを出すためのパスと、相乗効果を狙ったオフェンスシステムの構築を進めています。一昨年には、初のJapan X Bowl出場という形でその成果が確認出来ましたが、昨年は不本意なシーズンに終わってしまいました。今シーズンは新しいアイデアを取り入れ、ランオフェンスの再構築を始めていますが、まずはその成果がどれだけこの試合で発揮されるかが、オフェンス最大の見所と言えるでしょう。

前回のノジマ相模原戦では、総獲得ヤード337ヤードのうち、ランで200ヤード、パスで137ヤード獲得。#3クラフト選手、#14政本選手、二人のQBの内訳は、合計で23回投げ成功は11回と正直なところ不満足な結果。特にクラフト選手は、15回投げて6回成功、77ヤード獲得しましたが、政本選手の8回投げて5回成功、66ヤード獲得と比べると物足りません。ノジマ相模原のディフェンスカバーが良く、何度もレシーバーがキャッチする直前でカットされる場面があったことも事実ですが、明らかに取らなければならないパスをキャッチ出来ない場面も何度かあり、残り一週間でどこまで修正出来るかで、勝敗が大きく左右されるでしょう。WR#81栗原選手やTE#40スタントン選手といったメインターゲットには厳しいマークが付くことは確実です。ですから、それ以外のターゲット、例えばWR#18上廣選手、WR#16梶川選手、WR#80瀧選手といったベテラン勢がどこまで期待に応えられるかが注目されます。

敗れたとは言え、前回のLIXIL対OBICシーガルズ(以下、OBIC)の試合では、OBICは11人のレシーバーに37回投げて30回成功、326ヤードを獲得しています。また、その前の富士通戦でも、富士通はパスで48回35回成功し304ヤードを獲得しています。ですから、LIXILディフェンスも決してパスオフェンスに強いわけでは無いと言えます。一方でBigBlueは昨年のLIXILとの試合では、パスでは26回投げて16回成功し、176ヤードを獲得したのみでした。ランでは214ヤード獲得していただけに、このパスオフェンスの物足りなさが敗因の一つであったことは確かです。BigBlueオフェンスの頭脳であるクラフト選手が、これまでの経験と過去にLIXILと対戦した内容から戦術を分析し、どの様なゲームプランを準備してくるか、まずは最初のオフェンスシリーズが最大の注目になるでしょう。

またノジマ相模原戦の反省点の一つとして、2回のFG失敗があります。前半に大きくリードして貯金があったため、4Qのノジマ相模原の反撃も何とか凌ぐことが出来ましたが、ここに2回のFGの6点が加わっていれば、さらに落ち着いて対応出来たはずです。今回は風の影響がない東京ドームでの試合ですから、チャンスは確実にものにしなくてはなりません。さらにルーキーのK#11佐藤選手のキックは、飛距離と滞空時間の長さが魅力。ノジマ相模原戦同様、ゲームコントロールをするためにも、彼のキックは見逃せません。昨年のLIXILとの試合では、BigBlue最初のTD直後のキックオフを、WR#18永川選手にリターンTDされ、これでチームのリズムが狂ってしまい、その後のプレーがちぐはぐになりました。さらにLIXIL対OBIC戦では、終了間際でのパントリターンTDでLIXILは勝利をつかみ取りました。ノジマ相模原戦では、キックカバーにしてもキックリターンにしても、相手を圧倒するプレーを見せたスペシャルチームの活躍が、この試合でも勝利するための必須条件です。

ディフェンスの見所

最近のLIXILオフェンスは、完全にパッシングオフェンスにシフトしたと言って良いでしょう。この春の、富士通戦、OBIC戦では、パッシングヤードの占める割合は90%近くになっており、まずはこのパスオフェンス対策が最重要課題となります。それは、ここまでのオフェンスをQB#9加藤選手一人が指揮しており、対加藤選手対策をどうするかと言うことにもなります。通常であれば、DL#34ブルックス選手サイドはパスゾーンとしてブロックされてもおかしくありませんが、加藤選手の場合ラッシュのタイミングをずらしてそのサイドにも投げ込んできます。レシーバー陣との阿吽の呼吸も完璧で、長くボールを持たせれば持たせるほど、レシーバーに余裕が生まれ、かつディープゾーンへ投げ込まれてしまいます。ノジマ相模原戦では、ブルックス選手のラッシュに注意が行く間に、DL#93佐久間選手、DL#98森田選手がスピードでQBに詰め寄りプレーを阻止するスタイルが効果的でした。LIXILのOL陣も強力なだけに、同じようなプレーが可能かは分かりませんが、やはりパスディフェンスの一番の基本はQBへのプレッシャー。DL陣の奮起が大いに期待されます。

パスディフェンスとなれば、DB陣の対応も重要。今回は、LIXILの二枚看板、WR#11前田選手、#18永川選手とのマッチアップがディフェンス最大の見所でしょう。DB陣はルーキーも多く、前回の試合では後半意思疎通に欠けてプレーを出される場面もありました。キャプテンのDB#1中谷選手を中心に、どれだけ球際の勝負を勝ち取れるか、プレー毎の空中戦がこの試合最大の見所といってよいでしょう。特に、前回のLIXIL対OBIC戦では、QB加藤選手のパス成功率は50%(15/30)、獲得ヤードも183ヤードと、決して突出したものではありませんでした。そんな中でも、決めるべき時に決める決定力があり、逆転可能な得点圏内を維持していたことが、最後に逆転のリターンTDを生んだとも言えます。数字ではなく、勝負所を見極めてとれだけその一点に集中出来るかが重要です。2014年に八千代市総合グランドでノジマ相模原と対戦した時には、相手のTDチャンスを粘り腰の守備で防ぎ、6回のゴールラインディフェンスのうち最初の5回をFGに止めたことが、この試合の勝因でした。あの時以上のDB陣の奮起がこの試合では必要です。

ここまでの試合で、パスオフェンスの比率が大きいとは言え、やはりLIXILのRB陣は脅威です。ここまでの試合では、#31岡部選手、#32前川選手の二人が主にキャリアーとして活躍していますが、昨年も苦しめられたRB#29丸田選手の存在も不気味です。今シーズンLB陣の陣容に厚みが増し、ノジマ相模原戦でもギャングタックルでキャリアーを止めるシーンが数多くありました。ただ、LIXILの場合は、ジェットスイープやモーションを利用して、左右に早い展開をするプレーを得意としています。DE、アウトサイドのLB、そしてCBのコンテインと、切れ目の無いディフェンスが実現できるかどうかが、ディフェンスの課題になるでしょう。ノジマ相模原戦では、BigBlueディフェンスは相手のランプレーを16回26ヤードと、ほぼ完璧に封じ込めました。これを見てLIXILは、ランを捨ててさらにパスに軸足を移してくるか、あるいはその裏を掻いてドローなどのランプレーにシフトするか、1Q序盤に展開される攻防が最初の見所となるでしょう。

直近の対戦成績では、3勝1敗と勝ち越しているBigBlueですが、ディフェンスの結果は満足できるものではありません。平均失点数は、勝利した3試合平均でも4試合平均でも、ほぼ同じ33失点余りとなります。特に、Xリーグの史上最多得点試合となった2014年のファイナルステージの試合は、69-54と54失点しながらも、オフェンスの得点力で勝つことが出来ました。そういう意味で、これまでの5TD近い失点をどれだけ下げることが出来るかがディフェンス最大の課題であり見所です。

試合の見所

これまでの対戦結果を見る限りでは、BigBlueオフェンスの出来不出来が、そのまま試合結果に反映されています。さらに、昨年敗れた試合でも、パス(176ヤード)よりもラン(214ヤード)での獲得ヤードは多く、そういう意味では今回の試合も、ランプレーの活躍を前提に、いかにパスオフェンスで効果的な攻撃が出来るかが勝敗を左右することは明らかです。その為にも、まずはここまで好調なRB陣が最初に結果を出してLIXILディフェンスを揺さぶる事が出来れば、勝利の確率はぐっと高くなります。それを受けて、前回の試合では正直なところ消化不良であったレシーバー陣がどれだけ奮起するかで、勝負の行方は大きく変わるでしょう。

ディフェンスにとっても、ここまでの平均33失点をどれだけ改善するかが試合での目標です。パス中心のオフェンスが予想されるだけに、まずはノジマ相模原戦で見せたようなQBに対しての厳しいプレッシャーがどれだけ成功するか、DL陣の奮起が前半は必要です。そして、それに対応してくるであろう後半には、DB陣の一対一のマッチアップが試合の行方を左右します。この時注意したいのが、レシーバーに対しての反則です。最後まで、ボールに対してのプレーに集中することが勝利への鍵となるでしょう。

ここまでLIXILは、ややもすれば諦めかけるような強豪チームとの接戦を、最後の最後にひっくり返して勝ち上がってきました。大舞台には慣れている豊富な試合経験に加えて、何度も窮地を経験し諦めずに勝ち上がってきた大きな自信も今回は大きなアドバンテージです。一方BigBlueに取っては、一昨年のJapan X Bowl以来2度目の大きな舞台での試合です。そういう、いつもとは違う雰囲気の試合で、どうやっていつも以上の力を試合で発揮するか、まだまだ経験不足は否めません。ただ、逆にそれ故に、恐れるもの無くやりたいことを存分に実行できる自由度の大きさは、ある意味今のチームにとって財産です。これまでの成績からこの試合に勝って当たり前の相手に対して、チャレンジャー精神でハイリスクハイリターンを目指すBigBlueの勢いが何処まで通用するかが、BigBlueにとって一番重要なことでしょう。秋のリーグ戦に向けて、大きな結果を残す試合となるか、あるいはいつものシーズン通り単なる通過点となるか、40周年のこのシーズンに賭けるチームの多いなる意気込みを、是非この試合で見せて欲しいところです。
 OneBLUE! Go BigBlue!

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