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IBM BIG BLUEのケビン・クラフトヘッドコーチが、2023シーズンを以てチームを退団しする事になりましたのでお知らせいたします。

クラフト氏は、2012年にクォーターバック(QB)としてIBM BIG BLUEに入団。全米カレッジフットボールの強豪校である、UCLA (カリフォルニア大学ロサンゼルス校)でスターターとして活躍した実績と、それまで前例のなかったオフェンスの要であるQBのポジションへのアメリカ人選手の登用ということで大きな話題となりました。Xリーグデビュー戦となった、2012年シーズン第一節の富士通フロンティアーズ戦では、アップテンポなパッシングオフェンスで17回連続でパスを成功させ、序盤からリードを奪う活躍を見せます。試合は、後半富士通の追い上げを止められず、20-24の僅差で敗れますが、「黒船来襲」と大きな話題となりました。デビューシーズンでは、5試合で1,628ヤードのパスを投げ、20TDを奪い、どちらも当時のXリーグ新記録でした。さらにシーズン後のAll-X League Class of 2012 (2012シーズンXリーグベストメンバー)にもQBで選出され、Rookie of the Year(最優秀新人賞)も獲得する活躍で締めくくりました。翌年もその勢いは止まらず、リーディングパサーの記録とAll-X League Class of 2013を再び獲得する活躍を見せます。



3年目となる2014年シーズンにはチーム力も向上し、2010年以来となるJapan X Bowlの準決勝に進むと、LIXILディアーズ(当時、現胎内ディアーズ)とは69-54というXリーグの最多得点試合となるオフェンス戦を制して、Japan X Bowlへの初出場に貢献します。2016年シーズンには、春のパールボウル決勝戦でLIXILディアーズと対戦し、21-20で優勝し初のタイトルを獲得。クラフト氏を中心とした「BIG BLUEのハイパーオフェンス」が確立します。2018年シーズンからは、選手兼任のヘッドコーチに就任すると、前年に続いて2018年もJapan X Bowlまでチームを導き、Xリーグの中でも強豪チームの一つとして認知されるようになりました。QBとしても、2019年シーズンには7試合で1,862パッシングヤード/22TDパスの記録で3回目のAll-X League Class of 2019を獲得する等、二刀流での活躍が話題になるシーズンでした。しかし、2020年シーズンを最後に選手を引退すると、2021年シーズンからは専任ヘッドコーチ兼オフェンスコーディネーターとしてBIG BLUEの更なる成長へ向けて指導が続きます。クラフト氏の薫陶を受けてきたQB政本悠紀選手は、この2021年にクラフト氏の記録を上まわる、7試合で1,965パッシングヤード/19TDパスを記録し、このシーズンのリーディングパサーを獲得するなど、確実にチーム力は向上しました。



環境面では必ずしも恵まれた状況と言えない中で、BIG BLUEが強豪チームの一角としてXリーグで活躍している背景には、クラフト氏が確立したハイパーオフェンスや技術面での成長だけではなく、チームメンバーとして精神的な成長を重視し、「最高の自分になる」ために「常に自分自身とCOMPETE」する事をテーマとした「BIG BLUE WAY」の存在があげられます。

単に勝利という結果を追い求めるのではなく、選手一人一人が自らの置かれた環境で最大限の努力をする事、これはアメフトに限らず、仕事や家庭面も含め、常に自分との戦い– COMPETE –に挑み続けるが重要であり、BIG BLUEがそういった選手の集まりであれば、きっと 素晴らしいチームであり続けられるというクラフト氏の信念に基づいています。このような、素晴らしいフィロソフィーを定着させ、チームの一員である事を誇りに思える文化を作り上げてきた事も忘れてはいけない功績の一つです。



これからクラフト氏は、母国アメリカの地でコーチとしての活動に挑戦していきます。

クラフト氏のスタイルやフィロソフィーが根付き新しいBIG BLUEとして更なる飛躍を遂げようとするこの時期に、クラフト氏がチームを離れることは大きな損失ですが、これまでの功績と存在が偉大であるからこそ、クラフト氏の決断を応援したいと考えました。BIG BLUEにとどまらない日本のアメフト界における多大な貢献に心より感謝するとともに、次のステージでの更なる成功をお祈りいたします。

ケビン・クラフトヘッドコーチ、12年間という長きにわたりBIG BLUEとともに歩んでいただき、本当にありがとうございました。