あるOBの呟き- PB準々決勝: vs 富士フイルム海老名Minerva AFC戦

2024/05/06

2024年シーズンの開幕となる第43回パールボウルは、昨年同様X1 Superの関東圏8チームがトーナメント戦を行い優勝を決めるサバイバル形式。BIG BLUE初戦の相手は、昨シーズンX1 Areaを6勝1敗の2位で終了し、入替戦ではX1 Super 1年目の電通キャタピラーズに1TD差で勝利してX1 Super初昇格を勝ち取った、富士フイルム海老名Minerva AFC(以下、富士フイルム海老名)です。数年前からリクルーティングとチーム力強化に力を入れおり、コロナ禍での足踏みもありましたが、着実に実力を蓄え今シーズンからX1 Superで戦う、若くて勢いのあるチームです。5日前には関東学生アメリカンフットボール連盟TOP8(1部)の東京大学ウォリアーズとオープン戦を行い、27-3で勝利して今シーズンに向けて着々と準備が進んでいることを見せています。

対戦チームが新鮮なチームであると同様に、BIG BLUEも今シーズンからマイク・フェアー(Mike Phair)氏がヘッドコーチ(HC)に就任し、昨シーズンから更に成長するためのチーム改革を始めています。フェアーHCは、アリゾナ州立大学でラインバッカー(LB)として活躍すると、母校コーチからコーチ人生をスタート。その後NFL 5チームでのコーチやスカウト経験を筆頭に、米国カレッジでのコーチ経験やCFL(Canadian Football League)でのコーチを経て、今シーズンからBIG BLUEの指揮を執ります。3月に来日してチームに帯同しているフェアーHCですが、それ以前にも何度か来日してXリーグや国内大学の試合観戦をしており、国内フットボールに対しての知識もすでに豊富。まずは最初の一歩となるこの試合で、どの様に試合を采配するか注目されます。

富士フイルム海老名のホームゲームとなるこの試合は、試合以外にも様々イベントが試合会場の海老名運動公園で開催されており、スタンドも試合が始まる頃には満員の状況になります。両チームの幹部がエスコートキッズとともに試合前セレモニーを行い、BIG BLUEのキックオフリターンで試合が始まります。
 

一気呵成に攻め立てる

富士フイルム海老名のK#94大野選手のキックオフを、リターナーに入ったRB#21平松選手が30ヤード戻し、自陣37ヤードからのBIG BLUE最初の攻撃。1st/2ndダウンとゲイン無しで止められますが、3rdダウンでQB#2政本選手からRB#21平松選手へダウン更新の11ヤードパスが成功。次のプレーでは、QB#2政本選手が判断よくスクランブルに出て右オープンを独走し、一気にゴール前14ヤードまで38ヤードの前進をします。次のプレーでは、左コーナー際に14ヤードTDパスがWR#82白根選手へ通りまずは7-0と先制します。K#11福岡(勇)選手のキックオフは、高くボールが上がると風に影響されて軌道が変わり大きくバウンドします。このフリーボールをDB#25土窪選手が確保して、BIG BLUEの攻撃が続きます。その後3rdダウン1ヤードから、今度はWR#85鈴木(隆)選手へ12ヤードTDパスが成功し、1Q序盤で早くも14-0とリードを広げます。

富士フイルム海老名の2回目の攻撃は、3rdダウン6ヤードからの右オープンへのパスを、LB#22中山選手、LB#57寺林選手と直ぐさまタックルしパントに追い込みます。しかし続くBIG BLUEの攻撃も、パスが続けて失敗となりパントで攻撃権が移動します。自陣40ヤードからの富士フイルム海老名の攻撃は、2ndダウンでRB#43井上選手が上手く縦に切り上がり9ヤード前進すると、RB#37篠生選手も同じく縦に切り上がり8ヤード前進し敵陣43ヤードまで前進します。RB#43井上選手へのスクリーンパスで5ヤード進むものの、ここからBIG BLUEディフェンスが踏ん張り、LB#52山本選手、DL#91佐久間選手とダウン更新を許さず4thダウン3ヤードが残ります。富士フイルム海老名は、K#94大野選手が登場すると、52ヤードのフィールドゴール(FG)を狙います。強めの追い風にも乗り、キックされたボールは余裕を持ってゴールポストを通過し、14-3と反撃の狼煙を上げます。

富士フイルム海老名のキックオフを、WR#85鈴木(隆)選手が23ヤード戻し、更にTE#89戸澤選手が12ヤードパスをキャッチしてダウン更新したところで、試合は2Qに入ります。WR#82白根選手へのパスで7ヤード進むと、QB#2政本選手のキーププレーでダウンを更新して敵陣45ヤードに入ります。次のプレーでは、QB#2政本選手が左にロールアウトしながら、ゴールライン手前でDB二人に挟まれたWR#82白根選手へパスを通すと、そのままエンドゾーンに入り45ヤードTDパスとなります。このオフェンスの勢いはディフェンスにも伝搬します。続く富士フイルム海老名の攻撃では、DL#19植村選手がRB#43井上選手の中央ダイブをゲイン無しでタックルすると、次のWR#11小山選手へのクイックスクリーンでは、素早く反応してダウン更新を阻止。その後富士フイルム海老名は、パントで攻守交代となります。

BIG BLUEの攻撃は、ロスタックルで一旦後退するものの、QB#2政本選手がラッシュを受けてながらも右サイドのWR#86熊井選手へパスを投じると、25ヤードのダウン更新レシーブとなります。これで敵陣30ヤードまで前進すると、再びWR#86熊井選手のパスで前進。さらにRB#20石川選手が2回ダイブをしてダウン更新をし、ゴール前18ヤードまで前進します。次のRB#20石川選手のランは横走りとなり2ヤード後退。続くWR#82白根選手へのパスは、ランアフターキャッチ(RAC)でヤードを伸ばしますが、ダウン更新には1ヤード足りません。次のプレーでは、RB#20石川選手がフレアーパスをキャッチしますが、早いタックルで後退。4thダウンとなり、K#11福岡(勇)選手が登場し、28ヤードのFGを確実に蹴り込み、24-3と点差を広げます。

何とか追加点を上げて折り返したい富士フイルム海老名。1stダウンでは、RB#37篠生選手がオープンを駆け上がりますが、ホールディングの反則で罰退します。やり直しの1stダウンのプレーでは、センタースクリーンで前進を狙いますが、DL#19植村選手がすかさずレシーバーのRB#43井上選手にタックルしノーゲインで止めます。2ndダウンでは、QB#12鈴木選手がターゲットを探す間もなく、一直線にLB#45酒井選手がラッシュしQBサックでさらに6ヤード後退させます。これが響き、3rdダウンではランで前進を許しますがダウン更新には至らず、パントで攻撃権がBIG BLUEに移動します。タイムアウトを使いタイムコントロールをしていたBIG BLUEには1分19秒が残り、前半最後の攻撃を開始します。

1stダウンのスクリーンパスは、富士フイルム海老名のラッシュが早くノーゲイン。しかし、2ndダウンでは、この試合好調なWR#86熊井選手へ19ヤードのパスが通るとすかさずサイドラインへ出て時計を止めます。これで敵陣に入りファーストダウンを更新したBIG BLUEは、RB#20石川選手のドローの後、WR#82白根選手へのパスでダウンを更新しますが、インバウンドでタックルされたため審判のレディーフォープレーと同時に時計が動き出します。直ぐにスナップを受けてWR#80小鳥居選手へのパスが成功。RACでエンドゾーンを目指しますが、ゴール前6ヤードで止められます。BIG BLUEは最後のタイムアウトをとり時計を残り5秒で止めると、K#11福岡(勇)選手が再び登場。富士フイルム海老名もタイムアウトをとり揺さぶりを掛けますが、確実にゴールポストに23ヤードFGを蹴り込み、27-3とさらに点差を広げて前半が終了します。
 

後半もモメンタムを離さず

3QはK#11福岡(勇)選手のキックオフで再開します。自陣28ヤードからの富士フイルム海老名の1stプレーは、DL#99島野選手がロスタックルで押し戻すと、続く攻撃も防ぎきり4thダウンパントで交代します。続くBIG BLUEの後半最初の攻撃は、RB#21平松選手のランとパスで3rdダウン1ヤードとなりますが、ここでQB#2政本選手が強烈なQBサックを受けて9ヤードの後退となり、4thダウンでK#11福岡(勇)選手がパントを蹴ります。しかしこのボールをキャッチしたWR#3安達選手がファンブルをしてしまい、それをDB#27田尾選手がリカバーし攻撃権を奪い返します。敵陣からの攻撃は、QB#2政本選手から、TE#81鞍谷選手、WR#82白根選手とパスが通りレッドゾーンに入ると、RB#4鈴木(恵)選手が4ヤード進めます。最後はWR#83天田選手へ14ヤードの後半最初のTDパスが通り、後半最初のTDを獲得します。

続く富士フイルム海老名の攻撃は、QB#12鈴木選手が奥へ投げ込んだパスを、DB#1中谷選手がインターセプトし、直ぐさま攻撃権を奪います。1stダウンのパス失敗の後、WR#80小鳥居選手へ9ヤードのパスが成功。3rdダウン残り1ヤードからは、ピッチを受けたRB#32柴田選手が、一旦タックルを受けながらもそれをかわし、上手くスクリメージラインを抜けると19ヤードのロングランでレッドゾーンに入ります。ここからQB#2政本選手は、右サイドラインへ走るWR#14遠藤選手への9ヤードパスを通すと、次は自ら左にスクランブルと見せかけてポストパターンで走るWR#14遠藤選手へ10ヤードのTDパスが成功。41-5とさらに点差を広げます。

何とか反撃の糸口を掴みたい富士フイルム海老名は、QBをQB#17吉田選手に交代します。しかしロングスナップされたボールを後ろにそらし、何とか自分が確保しますが9ヤードの後退となります。ロングゲインが残りますが、WR#22桑原選手へ22ヤードパスが通り、さらにここにDL#99島野選手の反則も重なり、一気に敵陣43ヤードでファーストダウンを更新します。嫌な流れに傾きかけますが、ここからBIG BLUEディフェンスが本領発揮。1stダウンのパス失敗の後、2ndダウンではLB#41本田選手が背後から強烈なQBサックで押し戻します。3rdダウンのパスも失敗し、パントで攻撃権が移動しますが、K#94大野選手のキックは上手く転がり、ゴール前4ヤードからBIG BLUEの攻撃となります。

ゴール前4ヤードと厳しい状況ながらも、QB#2政本選手はこの試合好調なWR#82白根選手へのプレーアクションパスで6ヤード前進。2ndダウンでは、ラッシュを受けてQB#2政本選手がスクランブルで走り出しますが、スクリメージラインの手前でRB#20石川選手へボールをトスしてダウン更新。ここで3Qが終了し、試合は最終4Qに入ります。点差も考えて、早くもタイムコントロールに入ってもおかしくない展開ですが、QB#2政本選手はパスに拘ります。相手のオフサイドの反則でダウンを更新すると、石川選手の3ヤードランを挟み、WR#86熊井選手へのパスでさらにダウンを更新。RB#20石川選手、RB#4鈴木(恵)選手と、RBへのパスでダウンを更新して敵陣に入ると、WR#82白根選手、WR#14遠藤選手と続けてパスが成功。QB#2政本選手がラッシュを受けて下がりながらも、セーフティバブルでフィールドに出ていたRB#20石川選手へ23ヤードパスが成功し、ゴール前2ヤードでダウンを更新します。ここでQBはルーキーのQB#15平岡選手へ交代。ハンドオフを受けたRB#20石川選手は、そのままエンドゾーンへ飛び込みTDを奪います。

K#11福岡(勇)選手のキックオフを、WR#23近藤選手が25ヤードまで戻して富士フイルム海老名の攻撃が始まります。1stダウンのRB#37篠生選手のオープンランをDL#93佐久間選手が5ヤードで止めると、2nd/3rdダウンのパスはラッシュが厳しく続けて失敗。4thダウンもプレーを選択しますが、レシーバーが取り切れずに失敗し、敵陣30ヤードラインで攻撃権がBIG BLUEに移動します。QBは引き続きQB#15平岡選手が登場すると、RB#4鈴木(恵)選手へパスを通してダウンを更新します。しかし、この後RB#4鈴木(恵)選手がランで9ヤード進むものの、ゴール前10ヤードで4thダウン1ヤードが残ります。ここでFGではなくギャンブルを選択。ロングスナップを受けたQB#15平岡選手は、ターゲットを探すうちにDL#55山崎選手の強烈なQBサックを受けて、9ヤード後退して攻撃権が移動します。

デフェンスの好プレーに応えたい富士フイルム海老名オフェンス。QBをQB#13藤田選手に交代して前進を狙いますが、ラッシュを受けて逃げながら投げ捨てたように見えるパスを、DB#42村岸選手がインターセプト。1プレーで攻撃権を奪い返します。敵陣16ヤードからのBIG BLUEの攻撃は、RB#32柴田選手のランで2ヤード進むと、WR#86熊井選手への11ヤードパスでダウンを更新。最後は、再びRB#32柴田選手が残り3ヤードを駆け抜けてTDを奪い、55-3と更にリードを広げます。残り1分3秒からの富士フイルム海老名の攻撃は、ランプレーが続く間に時計が進み、試合終了となりました。
 

結果に奢らず、謙虚に振り返りを

例年春の初戦は、勝利する場合でも苦労する試合が多いのですが、この試合は予想以上に点差がついた試合となりました。オフェンスの殆どを指揮したQB#2政本選手は、39回投げて32回成功と80%を越える成功率とともに360ヤードをパスで獲得し好調さをアピールしました。今シーズンは、昨年レシーブヤードでチームNo.1/2だった糸川選手、スタントン選手が退団し、昨年の成績を当てはめると4割近くも獲得ヤードが減ることになります。しかしその穴を埋めるように、WR#82白根選手、WR#86熊井選手が好調さをアピール。さらに、ルーキー選手も含めて12名のレシーバーがキャッチし、総獲得ヤード(458ヤード)の83%にあたる380ヤードをパスで獲得しました。一方でランプレーはスクリメージラインを越えることに苦労している様子が伺えるプレーが多く見られ、メンバーの半数が入れ替わったオフェンスライン(OL)の更なる頑張りが期待されます。パスプロテクションでも、3回のQBサックを許しており、こちらも次の試合までの課題と言えるでしょう。

ディフェンスは、FGの3点は許したものの、総喪失ヤードは68ヤードに押さえ、十分に機能したと言えるでしょう。2回のQBサックとともに、2回のパスインターセプトはいずれも1stダウンのプレーで奪っており、シリーズの最初から集中している証拠とも言えます。また、キックオフでも、2回相手のリターン機会を奪い攻撃権を得ており、スペシャルチームの活躍も良かったように思います。特筆すべきは、ダウン更新を3回(反則での1回を含む)に押さえた事で、相手にシリーズ構成をさせる余裕すら与えなかった事は自信になると思われます。ただ富士フイルム海老名のオフェンスも、X1 Superのスピード感にまだ慣れていない印象もあり、それに助けられていたことも忘れてはいけないと思います。

フェアーHC体制として、最初の試合で幸先の良いスタートを切ったBIG BLUE。しかし次の対戦相手は、昨シーズンのチャンピオンであり今シーズンも充実した戦力を誇っている富士通フロンティアーズに決まりました。秋のリーグ戦に向けて、フェアーHCの真価が問われる試合になると予想されます。この3週間のインターバルで、どれだけ成長して次の試合に望むことが出来るか期待したいと思います。

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