あるOBの呟き- 春季交流戦 vs. SEAGULLS戦観戦記
2007/05/20
春季交流戦も早くも第二戦目。前日とは打って変わり、朝から降り続いていた雨でしたが、お昼前には雨も上がり試合開始の頃には薄日も差すまずまずの フットボール日よりとなりました。対戦チームのシーガルズとは、昨年のパールボウル予選ブロックでも対戦。この時は0-24の完封負けでしたが今年こそは この差を縮め逆転を期待したい試合です。
この日は試合に先立ち、今シーズンから地元ハワイのカメハメハ高校ヘッドフットボールコーチに就任するスタントヘッドコーチをお祝いするセレモニー が開催されました。1990年に来日しリクルートシーガルズ(当時)のコーチを振り出しに、現在のBigBlueヘッドコーチまで足かけ17年間日本の フットボールを支えてきてくれたスタントコーチですが、今度は地元ハワイで若い選手育成に挑戦します。スタントコーチに縁のあるシーガルズ、 BigBlue両チームは、スタントコーチをお祝いするセレモニーを関係各位のご協力もいただき、この試合前に共同で開催しました。
中央に入場してきたスタントコーチに、両チームを代表してシーガルズから庄子選手が、BigBlueからはキャプテンの礒谷選手が、それぞれのチームのレプリカジャージを贈呈しました。背番号の#96は、スタントコーチ現役時代の番号。背中には、"DAVID" "STANT"のネームも入っています。その後、両チーム全員で記念撮影をしてセレモニーは終了となりました。また、この後のコイントスでは、審判団のご厚意でスタントチームがコイントスを行い、シーガルズのキックオフで試合開始となります。
Big PlayでBigBlueが先行
BigBlueのファーストシリーズはパント。シーガルズ先発QB村上は、自身のキープでファーストダウンを更新すると、WR#26阿南へのパスで ゴール前に進み、ここからRB#23古川がアタックして先制のTDを上げます。相手の最初のオフェンスシリーズで得点されて嫌な雰囲気が流れますが、それ を払拭する56ヤードのビッグリターンをWR#89円谷が続くキックオフで見せます。この好機に、QB#15岡村はSB#87永山に28ヤードのパスを決 めて一気にゴール前7ヤードに迫ると、RB#32飯塚がシーガルズディフェンスの密集を駆け抜け同点に追いつくTDを直ぐに返します(K#11井田の TFPキック成功)。
こ のオフェンスの動きに刺激されたのか、ディフェンスも勢いを見せます。シーガルズQB#9村上のランをルーキーDL#99南家が止めたところに、 DL#56小山がボールを掻き出しファンブルを誘います。グランドに転がるボールを、やはりルーキーLB#54池が拾い上げると、そのまま24ヤードを駆 け上がりTD。あっと言う間に試合を逆転します。
2Qに入りBigBlue最初のオフェンスシリーズはパント。このキックをシーガルズDB#7金子がブロックし、シーガルズにゴール前20ヤードか らのオフェンスシリーズを与えてしまいます。この好機にシーガルズはRB#23古川のランで攻め込みますが、BigBlueディフェンスもゴールラインを 死守。FGの3点に抑え、14-10とリードを守ります。次のシーガルズオフェンスシリーズでも再びゴール前に攻め込まれますが、これを今回はディフェン スが踏ん張りFG失敗に追い込み追加点を許しません。
こ のディフェンスの踏ん張りにオフェンスも答えます。残り3分21秒、FG失敗により自陣20ヤードからのシリーズとなったBigBlueは、QB#15岡 村がWR#87永山へ7ヤードのパスを通し、続いて自らスクランブルして1stダウンを更新。さらにWR#89円谷に14ヤードのパスを決めて敵陣に入り ます。さらに、WR#18高木、WR#81安田、WR#87永山、WR#89円谷と次々にパスが決まりゴール前14ヤードまで進みますが、ここで時間が試 合時間がほとんど無くなったためタイムアウトで時計を止めて2Q最後のプレーでFGを狙います。
ホルダーにQB#13石川、キッカーにK#11井田が入り、31ヤードのFGトライキックとともに時計は0秒に。しかし、井田の蹴ったボールはブ ロックされて戻ってきます。これをすくい上げたQB#13石川は、自らターゲットを探すとエンドゾーン右隅に居たLB#54池にパスを投げます。これを DBと競り合って池がキャッチ。2Q最後にこの日2本目となるTDを決めて、21-10と大量リードで前半を終了します。
リードするものの不安材料も
劇的なプレーの連続でリードして前半を終了するものの、手放しで喜べる状態でもありません。3TDを前半で上げたものの、うち2TDはファンブルリ カバーリターンTDと崩れたプレーからのTDであり、オフェンスシリーズで上げたものは最初の1TDのみ。パスはそこそこ決まっている印象がありますが、 パスとパスを繋ぐランプレーが止められており、シリーズが続きません。相手のシーガルズはRB#23古川のランを中心に前半の攻撃をまとめていることと対 照的です。
それはディフェンスにも言えることで、相手の得点を1TD 1FGに押さえ、十分に合格点と言えるのですが、この古川のランプレーには手を焼いている印象があります。熱い日差しとバックスタンド一杯のファンの熱い 声援で、後半も熱いプレーが登場するように期待しつつ、BigBlueのキックオフで試合が再開されます。
行き詰まる攻防の後半戦
気 持ちを切り替えてきたシーガルズは、QB#15龍村を後半投入します。続けてロングパスを決めて一気にBigBlue陣内に進みますが、ここで再びディ フェンスにビッグプレーが生まれます。この日好調なRB#23古川に、LB#5野村、LB#8二上が襲いかかりボールをファンブルフォース。これをルー キーDB#30 Rockyがリカバーし攻撃権を奪います。
この好機をしかしオフェンスは生かせず、折角のシリーズはパント。しかもP#87永山のキックは、シーガルズDB#33ケビンジャクソンがブロック しBigBlue陣奥からの攻撃権をシーガルズに渡してしまいます。この好機に、QB#15龍村はWR#85萩山に42ヤードTDパスを決め21-17と 再び点差を詰められます。
何 とか点差を広げたいBigBlueは、4Q早々にFGのチャンスを掴みますが、このスナップが外れてファンブルボールに。これを大きく戻されて、チャンス が一転ピンチに変わってしまいます。しかしディフェンスも再び踏ん張り、このシーガルズのチャンスはパントに追い込みます。ここから両チーム激しいディ フェンス戦となり試合は膠着しますが、4Qも終盤4分を切って試合が再び動き出します。
BigBlue陣内42ヤードでファーストダウンを得たシーガルズは、QB#15龍村のキープでダウンを更新すると、パ ス失敗とRB#23古川の5ヤードランで、3rdダウン残り5ヤード。ここからパスでダウン更新と思われた裏をかき、ボールは再びRB#23古川に渡され るとそのまま残りの26ヤードを駆け抜け逆転のTD。シーガルズファンで埋まるメインスタンドからは歓声が、BigBlueファンで埋まるバックスタンド からは大きな溜息に包まれます。
残り2分29秒自陣14ヤードからのBigBlueオフェンス。QB#15岡村は、WR#19右田、WR#18高木、WR#89永山と連続してパス を決め、時計を止めながらゴールを目指して前進していきます。永山がサイドラインに出たため、時計が止まり落ち着いてファーストダウンのプレーコールをし たQB岡村ですが、ここで投じたパスをDB#7金子がインターセプト。逆転の望みを断ち切られ、このままシーガルズが残りの時間を消費して試合終了となり ました。
まだまだ足りない「何か」を探して秋のリーグ戦へ
「勝てた試合を落とした」というよりも「勝たねばならない試合を落とした」と言うべきでしょう。7月のワールドカップに向けて、全日本チーム候補選 手がXリーグ各チームから選出されています。BigBlueからは、WR#44天谷選手とOL#72村上選手の2名が全日本チームの練習に現在参加してい ますが、シーガルズからは12名の選手がリストされており、それらの選手はこの試合には参加していません。それだけの戦力ダウンがありながらも、しっかり と試合を作り最後には勝利をもぎ取る地力の強さは流石に日本のトップチームと言うしかありません。
春の試合は、勝っても負けても秋に向けての課題を生むものですが、これからの三ヶ月間でそれらの課題をちゃんと解決し、さらに十分な準備もして秋のリーグ戦に臨んで欲しいと願います。Go BigBlue!
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