2022東日本交流戦: 富士通フロンティアーズ戦の見所

2022/06/12

「春季交流戦」という制限のある試合形式ですが、三年振りの開催となった春の公式戦。その第一戦となる東京ガスクリエイターズ(以下、東京ガス)との試合を、30-7と勝利したBIG BLUEは、昨年の社会人チャンピオンである富士通フロンティアーズ(以下、富士通)と第二戦で対戦します。富士通も一週間前にはディアーズフットボールクラブ(以下、ディアーズ)と春季交流戦を行い、66-0の大差で勝利を納めています。春季シーズン前には、例年よりも多い主力選手の引退・退団が話題となりましたが、入れ替わる形で加入した新人選手が活躍し、その戦力に一分の隙も無いことを証明した試合でした。

オフェンスではベテランQB#8大内選手が先発しましたが、その後ルーキーQB#15野沢選手が中心となりTDパスを量産。またランプレーでも、ルーキーRB#28香川選手と2年目のRB#21三宅選手がパワフルなプレーで相手ディフェンスを翻弄し、層の厚さを証明しました。ディフェンスに於いても、3シーズン振りにQB#10加藤選手が復帰し前の試合では4TDを奪う活躍を見せたディアーズオフェンスを、ラッシングヤードを55ヤード、パッシングヤードは118ヤード、そして無失点に押さえた、リーグトップの強力富士通ディフェンスは健在であることを示しました。コントロールの良い加藤選手のパスだけに、レシーバーには通るものの、DB陣の厚い守備ですかさずタックルして前進を許さない堅い守備は、パッシングオフェンス中心のBIG BLUEに取っても厳しい試合が予想されます。

 

オフェンスの見所

前回の試合では、1Qの間にQB#2政本選手からWR#84近江選手へ2本のTDパスが成功し、ホットラインの完成度の高さが確認出来した。バス成功率は70%近い結果だったものの、ミスコミュニケーションが原因と思われる被インターセプトがあり、更なるプレー精度の向上は秋のリーグ戦までの課題に見えます。一方で、ベテランターゲットだけでなく、WR#18井上選手、WR#86熊井選手、RB#21石川選手とルーキーにもパスを通しており、オフェンスプレーの広がりも感じられる内容でした。QB#7馬島選手も、パッシングプレーでは成功率50%と課題が残りましたが、判断良いスクランブル等「馬島らしさ」が感じられるプレーもあり、昨シーズンからの成長が感じられました。この試合でのプレーいかんでは、さらなる成長も期待出来ます。

そのオフェンスの中で最大の収穫は、ランニングバック陣だったと言えるでしょう。2TDを奪ったRB#32遠藤選手は、11回80ラッシングヤードを記録し試合のリーディングラッシャーを獲得。ルーキーのRB#21石川選手も、最後にファンブルフォースのタックルを受けて、Xリーグの洗礼を受けましたが、5回34ラッシングヤードを記録し、堂々のXリーグデビューを果たしました。ベテランRB#4鈴木選手も含めてRB陣3選手のプレーは、これまで以上に「縦に進む、前に進む」意識が強く感じられた内容でした。この富士通戦ではより厚くなった相手ディフェンスに対して、何処までOL陣が走路を開きRB陣が押し込んで前進出来るか、秋に向けて試金石となる試合になることは間違いありません。前の試合で体現した「縦へ、前へ」の気持ちとプレーが、この試合ではさらに強く感じられるか、オフェンスとしての見所になるでしょう。

オフェンスシリーズの中では、パントキックはどうしても「相手に攻撃権を渡す」と悲観的な印象を受けがちですが、東京ガス戦で登場した移籍選手のP#16近藤選手の高く滞空時間の長いパントキックは、それだけでスタンドを沸かせる魅力溢れるキックでした。試合前半はK#19丸山選手が2回パントを蹴り、飛距離合計で73ヤード、リターン分を差し引いたネットヤードでは62ヤード(-11ヤード)の好キック。後半出場したP#16近藤選手は3回のキックで、飛距離合計129ヤード、ネットヤード124ヤード(-5ヤード)、タッチバック1回とさらに相手陣地に押し込むキックを披露し、東京ガスオフェンスを苦しめました。富士通戦では、まずは接戦に持ち込むことが勝利の前提となるだけに、自陣奥まで押し込むP#16近藤選手のパントキックは、見逃せないプレーになるでしょう。

 

ディフェンスの見所

今シーズンからX1 Super所属チームが8チームから12チームと増えたため、各チームともにチーム力アップに余念が無いためか、チーム間での選手移籍や新戦力の話題が例年よりも活発に報じられています。BIG BLUEも東京ガス戦の直前に発表した、イコールワン福岡SUNSからのDL#99島野純三選手の移籍は大きな話題となり、試合でのプレーにも注目が集まりました。立命館大学時代は、当時主将だったWR#84近江選手を支える副将としても活躍。そのプレーは、日本人ディフェンスラインとしては国内トップクラスと誰もが認める実力を兼ね備えています。東京ガス戦では、途中交代しつつもほぼ最初から最後までローテーションに入り、パワフルなプレーで相手オフェンスを圧倒しました。チーム合流直後のためか、まだシステムに慣れていない印象も受けましたが、三週間後のこの試合ではそれも解消されて更なる活躍が期待されます。富士通OLをどれだけ苦しめて相手QBにプレッシャーを掛けられるか、この試合最大の見所になるでしょう。

一方で、ディアーズ戦で292ラッシングヤード、408パッシングヤード、トータル700ヤードを記録した富士通オフェンスの攻撃力は多少の事では揺るぎません。まずは、リーグトップクラスの富士通OL陣をどの様に切り崩していくかが注目されます。話題性もありDL#99島野選手の活躍が目立ちましたが、逆サイドからラッシュするDL#92草野選手、中央を詰めるDL#44福岡選手、DL#93佐久間選手と、ベテラン勢の活躍も見られました。何度も対戦して相手のプレーも良く知っているだけに、新旧のコンビネーションで相手QBへのプレッシャーをどれだけ強く大きく出来るか注目されます。また、新人選手も含めて、LB陣の厚みを前の試合では感じられました。LB#57寺林選手、LB#6大滝選手を中心に、ルーキーではLB#35大西選手、LB#42酒井選手、LB#47北島選手らの活躍が印象に残っており、この試合でさらに覚醒してる活躍するか注目されます。

勝利の鍵を握るのは、やはりBIG BLUE DB陣と富士通レシーバー陣との空中戦での勝負でしょう。富士通が奪った9TDのうち、パスによるものは6TD。そのうち4TDは10ヤードから40ヤードのロングパスによるもので、DB陣としては厳しいパスカバーが続くことが予想されます。東京ガス戦では、パスキャッチ直後のタックルで、ランアフターキャッチ(RAC)でのヤード獲得を阻止し、パッシングヤードを80ヤードに押さえました。この富士通戦でも、どれだけ同様のプレーで相手の前進を阻止することが出来るか注目されます。一方で、パスディフェンスに集中してしまうと、前の試合のように富士通RB陣による独走TDランを許してしまうため、プレー毎、シチュエーション毎に臨機応変な対応が要求されます。昨シーズンはディフェンス戦に課題が残ったBIG BLUEだけに、チャンピオンチームにどれだけ肉薄し超えることが出来るか、春一番の見所になるでしょう。

 

試合の見所

例年のように、負けたら終わりのトーナメント戦としての緊張感は無いものの、逆に少ない出場機会を生かして秋に向けての登録を勝ち取るチーム内競走の厳しさのようなものを感じたのが、前回の東京ガス戦でした。試合結果だけで判断されるものでは無いと思いますが、日頃の準備や成果が端的に表れるのも試合ではあるので、やはりこの試合でも新人選手や復帰した選手の活躍が、まず一番に注目されます。そう言う意味では、ルーキー選手が多く登録されているBIG BLUEディフェンス陣のプレーには、多くの見所が生まれそうです。また現役選手にとっては、昨シーズン24-63と敗れた雪辱を果たす試合でもあります。春の試合ではありますが、その気概が感じられるプレーを見せて欲しいと思います。

また、春シーズンはどのチームにとっても秋に向けてチーム体制を構築し方向性が決まっていく時期でもあります。富士通にしてもBIG BLUEにしても、どちらもパッシングオフェンス中心であるものの、前回の試合ではどちらのチームもRBが活躍してランプレーが注目される内容となりました。X1 Superの多くのチームで外国人RBを起用し、その対策に頭を痛める事が多い中、オフェンスとして日本人RB選手の可能性が見える試合になるかもしれません。逆にディフェンスに取っては、対策に失敗すれば秋に向けて更なる課題が増えることになり、簡単に前進を許すわけにはいきません。どの様な結果になるかは分かりませんが、X1 Superの東日本春季交流戦最後の試合として、また三年ぶりの春シーズン締めくくりの試合として、相応しい試合内容を見せて欲しいと思います。

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