あるOBの呟き- 第二節: vs エレコム神戸ファイニーズ戦
2023/09/26
開幕戦のotonari福岡SUNS(以下、SUNS)との対戦を、雷鳴による途中終了という予想外の結果ながらも46-28で勝利したBIG BLUE。第二節の相手は、昨シーズンのライスボウルトーナメントで悔しい敗戦を喫したエレコム神戸ファイニーズ(以下、ファイニーズ)です。昨シーズンまでの対戦成績は、リーグ戦では2勝2敗1分、トーナメント戦では1勝1敗と全くの五分の相手。特に昨年のライスボウルトーナメントでの対戦では、この年に加入したQB#5 Pindell選手がBIG BLUEが得意とするパッシングオフェンスを上回るオフェンスを展開し、最後まで点差を縮めることが出来ずに敗れた悔しい記憶が残ります。2年目となりリーグにも慣れたQB#5 Pindell選手対策が、この試合では重要になります。
昨シーズンも苦しめられたファイニーズのパスオフェンスですが、WR#14 Howard選手が今シーズン加入しさらに厚みを増しています。前節の試合では7回71ヤードをキャッチし試合のリーディングレシーバーを記録しています。ここにWR#7内田選手、WR#26永見選手、WR#11小田選手と昨年も苦しめられたメンバーがおり、パスディフェンスの成否は重要になります。またQB#5 Pindell選手のスクランブル能力も侮れず、ラッシングリーダーのRB#24白神選手のランプレーと共に、この試合の焦点になりそうです。対するBIG BLUEは、昨シーズン力不足を感じたランオフェンスを今シーズンは強化しており、その成果がこの試合でどれだけ発揮されるかが、勝利へ繋がる条件となりそうです。
この試合も好調なオフェンス
K#11福岡(勇)選手のキックオフはタッチバックとなり、ファイニーズは自陣25ヤードからの攻撃。1stダウンのパス失敗の後、2ndダウンではRB#28前田選手が左オープンを狙いますが、DL#44福岡(祐)選手がタックルで足を止めると、そこにDB#24岸野選手がタックルし6ヤードのロスとなります。この後のパスも失敗し、ファイニーズの攻撃は4thダウンパントとなり、BIG BLUEへ攻撃権が移動します。自陣24ヤードからのBIG BLUE最初の攻撃は、QB#2政本選手が登場しTE#40スタントン選手へのパスでダウンを更新します。前節同様QB#2政本選手の短めのパスだけでなく、自らのスクランブルでもゲインを重ねると、最後はホットラインWR#84近江選手へパスが通ると、DBのタックルを受けながらもエンドゾーンに倒れ込み先制のTDを奪います。ファイニーズ2回目の攻撃は、1stダウンのRB#24白神選手のランをLB#17茂木選手が-1ヤードで止めますが、2ndダウンではRB#28前田選手へダウン更新のパスを通されます。続くWR#7内田選手へのパスで敵陣に入りると、RB#39秋元選手のランで5ヤード前進しますが、ここからBIG BLUEのディフェンスが爆発。2ndダウンのパス失敗の後、3rdダウンのランはDL#99島野選手が1ヤードで止め、ファイニーズの攻撃をパントに押さえます。しかしK#16谷川選手のパントキックは、ゴール前1ヤードで外に出たため、BIG BLUEは厳しい位置からの攻撃開始となります。
BIG BLUE 2回目の攻撃は、QB#2政本選手からハンドオフを受けたRB#28加藤選手が、上手くリードブロッカーを使い1プレーでダウンを更新します。更に次のプレーでは、パスフェイクから走り出したQB#2政本選手が加速し、一気に敵陣42ヤードまで進むロングゲイン。ここでQBはQB#10 Viramontes選手と交代すると、まずはRB#28加藤選手へフレアーパスを通してダウンを更新。TE#40 Stanton選手へのパスの後、自らキープしてダウンを更新しところで2Qに入ります。サイドが変わると同時に、QBもQB#2政本選手に交代すると、一気にエンドゾーンを狙いますが、そのパスをDB#29村井選手がインターセプト。得点チャンスを失い、ファイニーズの攻撃に変わります。
ターンオーバーのショックか、パス、ランと1プレー毎にダウンを更新されBIG BLUE陣内に進まれます。しかしファイニーズはホールディングの反則で10ヤード罰退すると、RB#24白神選手への14ヤードパスで再び敵陣に入りますが、続くパスは厳しいラッシュを受けて失敗が続き、このシリーズもパントで攻撃権が移動します。BIG BLUEの攻撃は、WR#84近江選手へダウン更新のパスが通ると、TE#40 Stanton選手、RB#4鈴木(恵)選手とテンポ良くパスが続きエンドゾーンへ迫ります。RB#4鈴木(恵)選手がランアフターキャッチ(RAC)で敵陣29ヤードでダウンを更新すると、QBはQB#10 Viramontes選手へ交代。ピッチフェイクのQBキープから走り出すと、タックラーを片手でかわしゴール前2ヤードでダウン。さらに次のプレーでは、スナップを受けると直ぐにオフタックルへ飛び込みTDを奪います。
まずは1本返したいファイニーズ。ディフェンスの激しいラッシュの裏へのパスは通るものの、ランプレーに対してはDB#24岸野選手、DB#29米田選手、DB#1中谷選手と相手にスクリメージライン越えさせないプレーが続きます。3rdダウン12ヤードと厳しい状況から、QB#5 Pindell選手は長めのパスを投じますが、これをDB#1中谷選手がインターセプト。さらに一気に49ヤードをリターンし、ゴール前11ヤードでBIG BLUEの攻撃が始まります。絶好の追加点のチャンスからの1stダウンのパスは失敗しますが、2ndダウンではオフェンスライン(OL)が開けた中央をRB#28加藤選手が駆け抜け、11ヤードのTDランを奪います。
先ずは得点に繋げたいファイニーズの攻撃シリーズ。ここに来てQB#5 Pindell選手とレシーバーのパスのタイミングが合いだし、WR#11小田選手へのパスでダウンを更新すると、この試合初めてWR#14 Howard選手へパスも通りリズムが生まれます。残り時間も考えて、深めに守りを敷いていることもあり、徐々に前進を許すプレーが続きます。ゴール前20ヤードまで進み、タイムアウトをとり一旦時計を止めた2ndダウン2ヤードのプレー。QB#5 Pindell選手はラッシュ受けながらも、それをスピンしてかわすと、エンドゾーンに走り込んだWR#14 Howard選手へ待望のTDパスが成功。21-7と2TD差に縮めます。この後BIG BLUEは、残り1分1秒から追加点を狙いますが、タイムアウトを使い切っていたこともあり時計が進み、前半が終了します。
粘るディフェンスでリードを維持
前節同様、オフェンス、ディフェンス、ともに良い内容で前半を終え後半が始まります。キックオフがタッチバックとなり、自陣25ヤードからのBIG BLUEの攻撃。QBはQB#10 Viramontes選手が登場すると、パスを狙いますが直ぐさまQBキープに切り替えてダウンを更新。次のプレーは逆に、パスフェイクからのQBドローで、これもダウンを更新。ここでQBはQB#2政本選手に交代すると、パス失敗の後こちらもQBキープでダウンを更新して、再びQB#10 Viramontes選手へ交代します。1stダウンのパス失敗の後の2ndダウン、右スクロールからTE#40 Stanton選手へダウン更新のパスが成功します。ゴール前24ヤードからの1stダウン、QB#10 Viramontes選手はラッシュを受けて、右オープンへ走り出しますが、エンドゾーン手前に反対側から戻ってきたTE#40 Stanton選手を発見すると、スローバック気味にパスを投げます。これをキャッチしてエンドゾーンに入り、後半最初のTDを奪います。RB#20石川選手のキックオフを自陣28ヤードまで戻してファイニーズの攻撃。RB#28前田選手のランは、LB#17茂木選手、DL#92草野選手と止めますが、パスのリズムが戻ってきたQB#5 Pindell選手は、ラッシュを受けながらも左右に逃げながらパスを通して前進します。スクリーンパスのカットや、DB#24岸野選手のボールを掻き出す好プレーの一方、3rdダウンではダウン更新のパスを通されゴール前13ヤードでファーストダウンを更新します。エンドゾーン隅を狙ったパスは失敗しますが、ここでBIG BLUEにホールディングの反則。ハーフディスタンスで半分の距離を前進し、1stダウンのプレーは、QB#5 Pindell選手が左に逃げながらも奥に走り込んだWR#9内田選手へパスを通しTDとなります。
再び2TD差に点差を詰められたBIG BLUEですが、直後のキックオフではK#12東選手のキックを、WR#84近江選手がゴール前2ヤードでキャッチ。リードブロックの壁沿いに一気に加速すると、自陣47ヤードまで大きくボールを戻します。QB#2政本選手からWR#83天田選手へのパスで敵陣に入りダウンを更新しますが、その後はパス失敗が続き3rdダウンで10ヤードが残ります。ここで、頼れるターゲットTE#40 Stanton選手へダウン更新のパスが成功。今度はQB#10 Viramontes選手が入ると、スナップを受けると即座にダイブ。そのままOL陣にも押されて12ヤード進んだところで4Qに入ります。QBはそのままQB#10 Viramontes選手が残ると、ハンドオフフェイクから自らダイブでダウンを更新。5ヤードが残りますが、次のプレーではタックラーを左手で弾き飛ばしてエンドゾーンへ走り込みTDを奪います。
再び3TD差に点差が開いたファイニーズは、QB#5 Pindell選手が厳しいラッシャを受けながらも、ターゲットを見つけてショートパスで繋いで前進します。BIG BLUEディフェンスは、厳しいラッシュを仕掛ける一方、タイムコントロールを意識してか、フィールド内でボールを止めることを優先している様にも見えます。その為か、RB#28前田選手のランプレーではパスラッシュとすれ違い、一気に23ヤードの前進を許してしまいます。ファイニーズは、RB#28前田選手がQBの位置に入るワイルドキャット隊形から、ジェットスイープをしてきたWR#14 Howard選手へピッチ。しかしDB#24岸野選手がこれをロスタックルで押し戻します。これで3rdダウンで大きく下がりましたが、QB#5 Pindel選手からWR#18三木選手へ18ヤードのパスが通ると、残り5ヤードはRB#39秋元選手が飛び込みTDを奪います。
まだ2TD差が残るためファイニーズはオンサイドキックを蹴りますが、これが10ヤード進まず外に出てしまいます。そのため、反則の罰退もありBIG BLUEは敵陣39ヤードから攻撃が始まります。追加点も必要ですが、それ以上に残り時間の消費を狙うBIG BLUEは、プレークロックを目一杯使いながらRB#28加藤選手にボールを渡して9ヤード前進します。3rdダウンで2ヤードが残るとQBにはQB#10 Viramontes選手が登場。分かっていても止められないQBランでダウンを更新して、QB#2政本選手に交代します。OLの好ブロックとRB#28加藤選手の個人技で時間を使いながらダウンを更新しつつ前進。ゴール前10ヤードでファーストダウンを更新します。ここでファイニーズの守りも厚くなり、1st/2ndダウンと前進を許しません。3rdダウンでは5ヤード前進したところでファイニーズがタイムアウトで時計を止めます。BIG BLUEは、TDではなく確実に得点できるであろうフィールドゴール(FG)を選択。K#11福岡(勇)選手が22ヤードFGを狙いますが、ファイニーズの執念が勝ったか左に外れて失敗となります。
残り1分23秒からのファイニーズの攻撃は自陣20ヤードから。サイドライン際のバスで外に出て時計を止めながら前進しますが、厳しいラッシュから一つのプレーにも時間が掛かり、またスクランブルに出てタックルを受けるためタイムアウトも残り26秒で使い切ります。ここから一気にTDを狙うパスをQB#5 Pindell選手は狙いますが、ここに来てレシーバーとタイミングが合わず失敗が続きます。3rdダウンでは、ラッシュから逃げる中エンドゾーンへのヘイルメリーパスを投げますが、これはDBがカットして失敗。4thダウン残り4秒のプレーは、DL#44福岡(祐)選手がQB#5 Pindell選手の足を止めると、DL#8森田選手、DL#93佐久間選手とタックルをして試合終了となりました。
この流れをさらに加速させるために
オフェンスユニットは、前節が48点、今回は35点と、1試合平均40得点を獲得しています。その原動力はなんと言っても「重戦車QB」のQB#10 Viramontes選手の加入であることは間違いありません。2試合とも試合でのリーディングラッシャーを記録しており、分かっていても止められない重要な戦力と言えます。これまでも、スクランブル能力の高いアメリカ人QBは何名も活躍しました。QB#10 Viramontes選手の場合は、それらQBとは少し事なり、確実にショートヤード獲得が計算できる事が、これまでの課題だった肝心な場面での決定力不足を補完して余りある存在になっています。また、まだ荒削りながらもクイックで早いパス能力は、ミドルヤードでの武器にもなり、QB#2政本選手との併用は1+1=2以上の効果を上げていると言えます。
ディフェンスユニットは、DLとLBの連携プレーが大きく成長し、ディフェンスに厚みが出来たと感じます。ファイニーズ戦では、QBのスクランブルだけでなくRBのランプレーも好守で防ぎ、ラッシング喪失ヤードを41ヤード(1回平均2.6ヤード)に押さえています。SUNS戦でも32ヤードに押さえていることからも、ここまでのゲームプランは成功していると感じます。特に試合を観ていて感じるのは、DL陣が外側からでも内側からでも割って中に入りQBにプレッシャーを掛けるプレーが多く見られたことで、「強さ」とともに「巧みさ」を感じるユニットに成長している印象を受けます。欲を言えば、QBに手が掛かる場面が何度かありながら、そこで決めきれないプレーも多かったことです。難しいとは思うものの、更なる成長を強く感じさせてくれる今シーズンのディフェンスユニットと言えるでしょう。
SUNS戦では反則が1回8ヤード罰退だったものが、このファイニーズ戦では5回27ヤード罰退と悪化したことや、終盤選手交代が遅れてポジションに付く前にプレーが始まったりと、まだまだ改善・反省点も残る試合でした。ただ、例年よりもはるかに高いレベルからシーズンスタートをしている事も事実だと思います。さらに上を目指す強い気持ちを、次の試合でも見せて欲しいと思います。
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