第44回パールボウル準々決勝: 富士フイルム海老名Minerva AFC戦の見所
2024/04/26
第44回パールボウルと共に始まる2024年シーズンは、BIG BLUEにとって新たなスタートのシーズンになります。2012年のチーム加入以来、選手としてだけで無く2018年からはヘッドコーチ(HC)とオフェンスコーディネーター(OC)を兼任し、文字通りチームの要の存在であったケビン・クラフト氏が昨シーズン限りで退団。新たに、NFL(National Football League)、CFL (Canadian Football League)、米国カレッジで、コーチ/スカウトとして多くの実績を積み重ねてきたマイク・フェアー氏(Mike Phair)が、新ヘッドコーチとして今シーズンからBIG BLUEの指揮を執るからです。フェアーHCは、アリゾナ州立大学でラインバッカー(LB)としてプレー後、母校のコーチを皮切りに、NFLでのコーチ経験を積み重ね、2年間のCFLでのコーチ経験の後、今シーズンからBIG BLUEのHCとしてチームの指揮を執ることになりました。まずはこの試合で、どの様な「フェアースタイル」を見せてくれるのか、このデビュー戦が注目されます。
フェアーHCのデビュー戦の相手は、昨シーズンX1 Areaを勝ち抜き、入替戦で電通キャタピラーズを破りX1 Superへ初昇格をした、富士フイルム海老名Minerva AFC (以下富士フイルム海老名)です。直近の対戦は2018年パールボウル予選ブロックでの試合で、この時はオフェンスが前半で3TD/1FGをあげて24-0とリードすると後半も2TDを奪い、ディフェンスは危なげない守備で無失点に抑え、37-0で勝利した試合でした。この頃からリクルートに力を入れてチーム戦力アップを進めていた富士フイルム海老名は、昨シーズンX1 Areaを6勝1敗のリーグ2位で通過すると、続く入替戦でも1TD差の接戦を競り勝ちX1 Super初昇格を掴み取りました。オフェンスは、唯一1,000パッシングヤードを越えX1 Areaのリーディングパスを記録したベテランQBの鈴木選手を中心に、パスオフェンスに強みがあります。ディフェンスでも、LBの安東選手が昨シーズンのタックルリーダーを記録するなど、スピードとパワーを兼ね備えたチームと言えます。
オフェンスの見所
今シーズンの最大の課題は、昨シーズンでチームを退団したTE#40スタントン選手の穴を、どの様に埋めるかです。スタントン選手は、昨年のリーグ戦5試合で205ヤードをキャッチ。これはチームの総パッシングヤード1,210ヤードの17%に相当します。さらにスタントン選手は、4thダウンギャンブルや、ショートヤード等、確実にダウン更新が必要な場面でのレシーブ機会が多く、実際に結果も出せるプレーヤーとしてチームを支えてきました。同じタイトエンド(TE)では、TE#88三浦選手が昨シーズンから頭角を現しており、さらに2年目となるTE#86戸澤選手の成長に期待が掛かります。そこにワイドレシーバー陣全体での底上げがどこまで出来るかが、今シーズンの最優先目標と言って良いでしょう。
ランプレーでは、パワーランのRB#28加藤選手、RB#32柴田選手に対して、技巧派のRB#4鈴木選手、RB#21平松選手というバランスの良いユニットが生まれました。しかし、リーグ戦途中での故障もあり、ランユニットとしての強みを発揮できずにシーズンが終了した印象があります。特にRB#21平松選手は初戦で負傷すると、リーグ戦期間はほぼ治療に専念。ライスボウルトーナメントでは復調して貴重なTDランを奪うなど活躍を見せましたが、不本意なシーズンであったことは間違いありません。それ故今シーズンに対しての期待値は大きくなります。またRB#28加藤選手のランプレーは、オフェンスシリーズを組み立てる体幹とも言うべき存在感がありました。今シーズンはオフェンスプランがこれまでとは変わることが予想されますが、彼の存在感は変わらず重要な要素です。
オフェンスに関しては、QB#2政本選手を中心としたパッシングオフェンスからの大きな変更は、この春のシーズンでは無いと思われます。スタントン選手の退団はあったものの、WR#84近江選手、WR#85鈴木(隆)選手といったワイドレシーバー(WR)陣は今シーズンも健在。課題は、よりパスオフェンスの精度を高めるために、若手レシーバー陣の底上げがどこまで出来るかでしょう。その為にも、この春の試合でどれだけ存在感を示すことが出来るか注目されます。X1 Superでの初シーズンを経験するフェアーHCに取っても、これまで自分が指導してきたディフェンスとは対峙する側のオフェンスを新たに構築するためにも、この試合での全ての選手のプレーが、秋のリーグ戦に繋がる重要な要素になります。
ディフェンスの見所
昨シーズンに続き、今シーズンのBIG BLUEディフェンスも、馬場翔健ディフェンスコーディネーター(DC)が務めるため、少なくとも春のシーズンは大きな変化は無いと思われます。しかしフェアーHCは、ディフェンスコーチとして複数のNFLチームでの経験があり、その貴重な知識と経験が今シーズンBIG BLUEディフェンスに反映されることは確実で、その第一歩がどの様にこの試合で表れるかが最大の見所と言えるでしょう。特に所属した五つのNFLチームでは、いずれもディフェンスラインコーチを経験しており、今シーズンのBIG BLUEディフェンスライン(DL)が更に強化されることが期待されます。特に昨シーズン移籍加入し活躍したDL#31菊池選手は、昨年以上の活躍が期待されます。富士フイルム海老名のパスオフェンスにどれだけプレッシャーを掛けることが出来るか、まずはDL陣のプレーが大きな見所になるでしょう。
フェアーHCは、選手時代はLBとしてプレーし、またLBコーチとしての経験もあるため、その知見が今シーズンのBIG BLUE LBユニットに反映されることも大きな期待値の一つです。昨シーズンの試合では、ショートヤードやゴール前ディフェンスで相手の前進を阻む好プレーが何度か見られ、プレーに厚みが増した印象を受けました。今シーズンはさらに粘り強いプレーを目指すとともに、よりQBにプレッシャーを掛けられる「攻めのディフェンス」が要求されるでしょう。特に登録ポジションはディフェンスバック(DB)ながらも、前に出てプレーすることも多いDB#1中谷選手やDB#5小阪田選手等との連携が、今シーズンも大きな鍵になります。
そのDB陣の昨シーズンのプレーを振り返ると、パスカバーの精度が上がりレシーバーとのマッチアップで勝てる場面が増えています。特に、DB#23玉川選手、DB#24岸野選手、DB#33藤田選手等若手の台頭が目だった1年だったと言えます。さらに昨シーズン加入したDB#37スチュワート選手のプレーが刺激になり、相乗効果で他の選手のプレーが活性化された印象を受けました。スチュワート選手の球際での反応の素早さだけで無く、相手のプレーを先読みして対策する能力などをさらに体験出来るとともに、ディフェンスコーチ経験の豊富なフェアーHCの指導も加わり、今シーズンのBIG BLUEデイフェンスが一回り成長することは確実です。その「期待感」がどこまで「確信」に変わるか、注目されるシーズン初戦になるでしょう。
試合の見所
オフェンス出身のクラフトHCから、ディフェンス出身のフェアーHCに代わり、BIG BLUEのフットボールがどの様に変革していくのか、その兆しを見つけることがこのシーズン開幕戦最大の目的と言って良いでしょう。とは言っても、チームに合流してまだそれほど時間も経過しておらず、プレースタイルやゲームプラン等での大きな変化はまだ見られないと思います。ただし、昨年まではサイドラインからクラフトHCがハンドサインでプレーを入れると、フィールドでは即座に反応をしてプレーが始まるのがBIG BLUEオフェンスの特徴でしたが、今シーズンからどの様な形でプレーコールが実行されていくのか注目されます。特に、アップテンポなノーハドルオフェンスはBIG BLUEの代名詞的な存在でもあり、その特徴を継承しつつ、どの様な新しい要素が加わるかが見所になるでしょう。
ディフェンスでは、やはりフェアーHCのNFLやカレッジフットボールでの経験値や知識がどの様に反映されるか注目されます。こちらもオフェンス同様、まだこの時点では大きな変化は無いと思いますが、長くDLコーチの経験があるフェアHC故に、DLのプレーに関しては何か新しい試みが見られるのでは無いかと期待も膨らみます。相手オフェンスはパス中心の内容が予想されるので、それを想定した対策は当然準備するでしょう。さらに前回の対戦では相手のオフェンスを無失点に押さえただけに、今回もそれ以上の結果を期待したいところです。しかし富士フイルム海老名もチーム力を整備し、それ故に今回X1 Super昇格を勝ち取ったチームだけに、X1 Super昇格初戦に掛ける思いも大きく、十分に準備をして試合に臨むことは確実です。お互いに新しい環境での初の公式戦という事から新規加入選手の登用など新鮮味の多い内容が予想されますが、秋のリーグ戦に向けて確実に最初の一歩を確立するために、どちらのチームに取っても重要かつ激しい試合が予想される、見逃せない試合になるでしょう。
- 2024年11月(1)
- 2024年10月(6)
- 2024年9月(5)
- 2024年8月(2)
- 2024年7月(4)
- 2024年6月(1)
- 2024年5月(5)
- 2024年4月(4)
- 2024年3月(2)
- 2024年2月(4)
- 2024年1月(2)
- 2023年12月(5)
- 2023年11月(7)
- 2023年10月(10)
- 2023年9月(9)
- 2023年8月(3)
- 2023年7月(4)
- 2023年6月(2)
- 2023年5月(5)
- 2023年4月(4)
- 2023年3月(2)
- 2023年2月(4)
- 2023年1月(3)
- 2022年12月(2)
- 2022年11月(7)
- 2022年10月(6)
- 2022年9月(7)
- 2022年8月(3)
- 2022年7月(5)
- 2022年6月(4)
- 2022年5月(6)
- 2022年4月(3)
- 2022年3月(2)
- 2022年2月(1)
- 2022年1月(1)
- 2021年12月(5)
- 2021年11月(8)
- 2021年10月(6)
- 2021年9月(6)
- 2021年8月(4)
- 2021年7月(2)
- 2021年6月(1)
- 2021年5月(1)
- 2021年4月(7)
- 2021年3月(3)
- 2021年2月(1)
- 2021年1月(2)
- 2020年12月(3)
- 2020年11月(7)
- 2020年10月(9)
- 2020年9月(2)
- 2020年8月(7)
- 2020年7月(6)
- 2020年6月(3)
- 2020年5月(3)
- 2020年4月(4)
- 2020年3月(7)
- 2020年2月(4)
- 2020年1月(1)
- 2019年12月(2)
- 2019年11月(4)
- 2019年10月(5)
- 2019年9月(7)
- 2019年8月(2)
- 2019年7月(2)
- 2019年6月(9)
- 2019年5月(4)
- 2019年4月(3)
- 2019年3月(3)
- 2019年2月(1)
- 2019年1月(1)
- 2018年12月(3)
- 2018年11月(5)
- 2018年10月(5)
- 2018年9月(7)
- 2018年8月(6)
- 2018年7月(2)
- 2018年6月(9)
- 2018年5月(3)
- 2018年4月(4)
- 2018年3月(4)
- 2018年2月(3)
- 2018年1月(2)
- 2017年12月(7)
- 2017年11月(10)
- 2017年10月(13)
- 2017年9月(12)
- 2017年8月(10)
- 2017年7月(3)
- 2017年6月(16)
- 2017年5月(12)
- 2017年4月(12)
- 2017年3月(8)
- 2017年2月(4)
- 2017年1月(4)
- 2016年12月(2)
- 2016年11月(7)
- 2016年10月(8)
- 2016年9月(7)
- 2016年8月(4)
- 2016年7月(4)
- 2016年6月(5)
- 2016年5月(12)
- 2016年4月(10)
- 2016年3月(4)
- 2016年2月(5)
- 2016年1月(3)
- 2015年12月(1)
- 2015年11月(6)
- 2015年10月(7)
- 2015年9月(8)
- 2015年8月(4)
- 2015年7月(8)
- 2015年6月(2)
- 2015年5月(4)
- 2015年4月(8)
- 2015年3月(2)
- 2015年2月(4)
- 2015年1月(5)
- 2014年12月(13)
- 2014年11月(9)
- 2014年10月(6)
- 2014年9月(8)
- 2014年8月(6)
- 2014年7月(3)
- 2014年6月(5)
- 2014年5月(7)
- 2014年4月(4)
- 2014年3月(6)
- 2014年2月(2)
- 2014年1月(3)
- 2013年12月(5)
- 2013年11月(8)
- 2013年10月(10)
- 2013年9月(7)
- 2013年8月(3)
- 2013年7月(3)
- 2013年6月(4)
- 2013年5月(4)
- 2013年4月(6)
- 2013年3月(4)
- 2013年2月(2)
- 2013年1月(3)
- 2012年12月(6)
- 2012年11月(5)
- 2012年10月(11)
- 2012年9月(8)
- 2012年8月(10)
- 2012年7月(4)
- 2012年6月(4)
- 2012年5月(10)
- 2012年4月(4)
- 2012年3月(2)
- 2012年2月(3)
- 2012年1月(5)
- 2011年12月(3)
- 2011年11月(9)
- 2011年10月(11)
- 2011年9月(12)
- 2011年8月(4)
- 2011年7月(4)
- 2011年6月(11)
- 2011年5月(4)
- 2011年4月(2)
- 2011年3月(2)
- 2011年2月(7)
- 2011年1月(3)
- 2010年12月(4)
- 2010年11月(6)
- 2010年10月(6)
- 2010年9月(8)
- 2010年8月(3)
- 2010年7月(1)
- 2010年6月(3)
- 2010年5月(3)
- 2010年4月(4)
- 2010年3月(2)
- 2010年2月(1)
- 2009年12月(2)
- 2009年11月(5)
- 2009年10月(7)
- 2009年9月(4)
- 2009年8月(2)
- 2009年7月(3)
- 2009年6月(3)
- 2009年5月(3)
- 2009年4月(4)
- 2009年3月(4)
- 2009年2月(3)
- 2008年11月(1)
- 2008年10月(2)
- 2008年9月(2)
- 2008年6月(1)
- 2008年5月(1)
- 2008年4月(1)
- 2007年11月(1)
- 2007年10月(2)
- 2007年9月(2)
- 2007年5月(2)
- 2006年11月(1)
- 2006年10月(3)
- 2006年9月(1)
- 2006年5月(2)
- 2006年1月(1)
- 2005年11月(1)
- 2005年10月(2)
- 2005年9月(2)
- 2005年5月(1)
- 2005年4月(1)
- 2005年1月(1)