あるOBの呟き- 1st Stage Week3 vs. 日本ユニシスBULLS

2011/09/25

1stステージは早くも折り返しの第三節。数日前に日本を縦断した台風15号の影響か、久しぶりに夏を思わせる厳しい日差しが朝から照りつけるなか、日本ユニシスとの試合が開始されます。奇しくも、両チームともにここまで試合を落としてのシーズンとなり、今シーズン初勝利を互いに賭ける試合となります。

Xリーグ昇格3年目となる日本ユニシスは、昇格初年度には3勝を上げて地区3位となり、いきなり2ndステージ上位リーグに進出し大きな話題になりました。しかし昨年シーズンの勝ち星は1勝にとどまり、今シーズンも厳しい試合が続いています。日本ユニシスとは、これがリーグ戦での初対戦。しかし、今年春の東日本交流戦で一足早く対戦しており、その時には42-17で勝利したものの、課題も多く見つかった試合になりました。日本ユニシスQB#12藤澤選手のパスプレーを中心に、粘り強いオフェンスを見せ、波に乗ると油断できないチームです。

一方BigBlueにとっても、前節のノジマ相模原戦で後一歩のところで競り負けてしまい、そのショックがこの試合に影響しないか不安も乗り込ます。ただ、確実な事はこの試合も含めて残り3試合に勝たなければ、次の道も開けないと言うこと。この試合は、勝つことは勿論重要ですが、どのように4Qを戦い抜くのか、メンタルな面での勝負も重要になります。そんな不安と期待が入り交じった気持ちの中、日本ユニシスのキックオフで試合開始です。

物足りなさの残るオフェンス

キックオフのボールは短く、前列にいたTE#98浜崎選手がややジャッグルしたものの何とか確保。自陣40ヤードからBigBlue最初のオフェンスシリーズが始まります。まずはQB#15岡村選手からWR#1岸選手への7ヤードのパスが成功すると、今度はWR#89円谷選手への7ヤードパスでこの試合最初のファーストダウンを獲得。ワンポイントで登場したQB#14多川選手からRB#30工藤選手へのギブで10ヤードすすみダウンを更新。この後WR#18高木選手への10ヤードパスの後、再びRB#30工藤選手が20ヤードを独走して、ゴール前2ヤードでファーストダウンを獲得します。しかし日本ユニシスディフェンス陣もゴールラインを死守。RB#30工藤選手、RB#24中野選手のダイブを防ぎきり、4thダウン1ヤードと粘ります。ここで溜まらずタイムアウトをとるBigBlueベンチ。まずは手堅くFGの3点かと思われましたが、早くもギャンブルを選択。意地でもTDを狙って選んだプレーは、SB#39中濱選手をアップバックに入れたパワーオフタックル。RB#30工藤選手が、相手ディフェンスのタックルを受けながらも、からくも振り切りエンドゾーンに飛び込み先制のTDを獲得します。

く日本ユニシスのオフェンスは4thダウンパントに押さえるものの、このパントがエンドゾーン8ヤードという絶妙のパントになります。厳しいボールポジョンからのスタートですが、しかしQB#15岡村選手は、RB#30工藤選手への10ヤードパス、RB#29原田選手への10ヤードパスと続けてダウンを更新して陣地を挽回。このまま再びオフェンスシリーズが続くかと思われましたが、3rdダウンコンバージョンでQBスクランブルでダウンフィールドに走り出たQB#15岡村選手がボールをファンブル。これを日本ユニシスがリカバーし攻撃権が移動してしまいます。

自陣内で相手に攻撃権を渡してしまう厳しい状況ですが、BigBlueディフェンスも力を見せます。ファーストダウンの更新は一度許しますが、その後LB#4坂本選手のQBサックで大きく後退させるとパントに追い込み危機を脱出します。2Qに入りこの後お互いにパントを交換した後、再びBigBlueのオフェンスシリーズ。WR#18高木選手がパントリターンで55ヤードのビッグリターンを見せ、ゴール前14ヤードからの絶好のポジション。1stダウンではQB#14多川選手が登場し、QBキープで一気に9ヤード前進。しかし、ここで再び日本ユニシスの固いディフェンスを崩すことが出来ず、4thダウンでファーストダウンには2ヤード、エンドゾーンまで6ヤードの状態。今度は無理をせずに、K#8崔が登場し、23ヤードのFGを成功させ2Q中盤で10-0と点差を広げます。

何とか早く得点を入れて追撃態勢を見せたい日本ユニシスは、パスで活路を開こうとしますが、BigBlueの厳しいプレッシャーもあり不成功が続きます。残り3分18秒で再び攻撃権を得たBigBlueは、1stダウン、2ndダウンと相手の厳しいタックルで後退しますが、3rdダウンではRB#30工藤選手がこの日最長となる77ヤードの快走を見せて一気にゴール前3ヤードまでボールを進めます。ここからRB#24中野選手が2回続けて突進し、2Q終了間際に1ヤードのTDランを記録。このまま17-0とBigBlueリードで前半を折り返しますが、内容的にやや物足りなさを感じる前半でもありました。

逆転のピンチに起死回生のプレー

K#8崔選手のキックオフで始まった後半3Q。日本ユニシス最初のシリーズは4thダウンパントに押さえ、BigBlue後半最初のオフェンスシリーズには、QB#13澁井選手が登場します。WR#17小川選手へのスクリーンパスで大きく17ヤード前進すると、WR#1岸選手へのパスでダウンを更新。さらに続けて、TE#98浜崎選手、WR#88瀧選手と、ルーキーレシーバーに続けてパスが通りゴール前11ヤードでファーストダウンを獲得します。ここからやはりルーキーRB#21小椋選手にハンドオフしてエンドゾーンを狙いますが、やはり日本ユニシスのゴールラインディフェンスの壁を破ることが出来ず、4thダウンで5ヤードが残ります。ここで再びK#8崔選手が登場し、22ヤードのFGを個々でも成功させ、20-0と点差を広げます。

追加点は得たもの何かしっくり来ない雰囲気。その不安が的中したのか、ここから試合の流れは日本ユニシスに傾き始めます。3rdダウン5ヤードの場面から、ミドルインのパスが通り27ヤードと大きく前進してダウンを更新。続くファーストダウンのプレーでは、右に流れたQBから逆サイドに遅れてパスコースに出たレシーバーにパスが通ると、そのままサイドイランを一気に駆け上がり39ヤードのTDパスを許してしまいます。

この後、両チームとも攻めあぐねる状態となり試合は4Qに入ります。自陣35ヤードからオフェンスを始める日本ユニシスは、BigBlueディフェンスのプレッシャーを受けながらも、要所でロングパスが決まりダウンを更新しながら前進。ゴール前14ヤードでファーストダウンを獲得します。1stダウンのランプレーはゲイン無しでブロック。続く、2nd/3rdダウンのパスも失敗に追い込み、4thダウン10ヤードでゴールまで14ヤード。ディフェンスとして意地でも死守しなければならないこの場面ですが、日本ユニシスは見事にコーナーへのTDパスを成功させ、20-14と1TD+2点TFPで逆転も可能な点差にまで追い上げてきます。

まだ4Qも半分近くが残る時間帯。出来るだけ時間を消費して、少なくともFGの3点を追加して1回では逆転されない点差にする必要があるBigBlueオフェンス。しかし、3rdダウン1ヤードからQB#13澁井選手が飛び込むもののゲイン無し。続いて4thダウン1ヤードから再びQB#13澁井選手飛び込みますが、これも日本ユニシスの執念のディフェンスに阻まれてゲイン無く、3分40秒という微妙な時間を残して攻守が交代します。

このまま時間を消費しながら、TDを奪われて同点、TFPでキック成功なら逆転という最悪の場面も頭に浮かぶ状況での日本ユニシスのオフェンスシリーズ。悪いときにはつまらないミスが重なるもので、パスインターフェアの反則で相手にBigBlue陣内へ前進を許してしまいます。先に与えたTDのような、ロングパスで一気に決められないように、DL陣がQBにプレッシャーをかけ前進を許さずに向かえた3rdダウンの攻撃。プレッシャーを受けながら投げられたパスは、レシーバーが弾いてしまいボールが宙に浮きます。これをLB#4坂本がキャッチすると、フィールド中央まで戻す、まさに起死回生のパスインターセプト を久しぶりに見せてくれます。

これで息を吹き返したBigBlue。続くオフェンスシリーズの3rdダウン11ヤードの場面で、QB#13澁井選手からWR#18高木選手へルックインのクイックパスがヒット。そのまま斜めにフィールドを横切ると、WR#1岸選手のリードブロックにも助けられ、エンドゾーンまで51ヤードのTDキャッチを見せました。2点を狙ったTFPは失敗するものの、26-14と1TDでは逆転出来ない点差に広げます。この後の日本ユニシスの攻撃をパントに押さえ、最後は残り時間を消費し、苦しみながらも何とか今シーズンの初勝利を勝ち取った試合になりました。

紙一重の勝利

試合には勝ったものの、その内容は決して満足できるものではありませんでした。4Q終盤での坂本選手のインターセプトが無ければ、あのまま逆転されて敗れていた試合だったと思います。それだけ、試合の流れは後半日本ユニシスに傾いていたし、それ以上に相手チームには何とか勝利を手繰り寄せようという強い気持ち・気力があったと感じます。勿論BigBlueが油断していたとは言いませんし、どの選手も勝つために一生懸命頑張っていたと思います。ただ、どんなに自分が頑張っていても、そのベクトルがチーム全員で同じ方向を向かなければ大きな力にはなりません。また、ただ頑張るだけでなく、ちゃんと 結果を出すのが本当に強いチームと言えます。

次の試合は、昨シーズンのチャンピオンチーム、オービックシーガルズです。昨年も春と2ndステージで対戦しどちらも力の差を実感させられた試合でした。今シーズンも、その力の差はまだまだ縮まっていないでしょう。ただ、この試合で相手チームが見せてくれたような強い気持ちを、次の試合までにBigBlueももう一度思い出して全員が共有出来れば、その時には違った結果が得られるかもしれません。そうなることを是非期待して、厳しい内容ではあったけれど、それでも最後は勝利を勝ち取ったBigBlueを今は喜びたいと思います。

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