あるOBの呟き- 1st Stage Week 1: vs. 富士通フロンティアーズ

2012/09/02

いよいよ始まるXリーグ2012年シーズン。BigBlueは、開幕戦に登場しますが、対戦チームは昨年の社会人準優勝チームである富士通フロンティアーズ。ここ数年、Final-4は勿論、Japan X Bowlにも何度も進出しているトップチーム。さらには、同じIT業界でのライバル企業チーム同士と言う事もあり、過去二回の対戦時にも多くの注目が集まった対戦です。
 
過去の対戦では、まずBigBlueのXリーグ昇格初年度の対戦では13-24、2009年の二度目の対戦では7-24と、決して失点は多くは無いものの得点力が及ばずに敗退しています。今シーズン期待出来る要因は、その得点力の大幅な成長です。ルーキーQB#3ケビン・クラフト選手は、UCLAで活躍した実力派のQB。登録の関係で春の試合には出場出来ませんでしたが、練習などではその能力を存分に発揮しています。さらにRB陣には、日本のトップRBの一人と言っても良いRB#10末吉選手が参加。春の試合では、新入社員として研修や業務で忙しく十分に練習もままならない中、その非凡な才能を存分に見せてくれました。この二人以外にも、今シーズンは18名のルーキーがチームに参加し、非常に若返った印象の今シーズンのBigBlueです。
 
両チーム共に、今シーズン新ユニフォームを導入するということで、入場時には旧ユニフォームをプレゼントする抽選券配布や、さらにはファンクラブ会員への東京ドーム見学ツアーの開催といったイベントを共同で開催。マッチメイクの妙だけでなく、両チームで試合そのものを盛り上げる努力が感じられます。その努力が功を奏したのか、東京ドームにはいつもより多くの両チームのファンがスタンドに詰めかけ、いつも以上の歓声が感じられます。そんな中、いよいよBigBlueのルーキーキッカーK#8小田倉選手のキックオフで試合開始です。


1Qはパーフェクトシリーズ


富士通最初のオフェンスシリーズを、手堅い守備で4thダウンパントに押さえたBigBlueディフェンス。続いて期待のQB#3クラフト選手の登場です。注目が集まる最初のプレーはWR#17小川選手への7ヤードパス。続く2ndダウンはRB#10末吉選手のダイブで敵陣に入りダウンを更新。ここからは、RB#10末吉選手、WR#1岸選手へのパスが続けて成功し、ゴール前11ヤードでファーストダウンを獲得します。ここから投じたパスは、やはりルーキーTE#40ジョン・スタントン選手がキャッチし、そのままエンドゾーンに倒れ込みTDとなります。1分30秒の華麗なパッシングシリーズが見事に決まり先制点を奪います。
 
続く富士通のオフェンスは、WR#4宜本選手からWR#17秋山選手への32ヤードフリーフリッカーパスが成功して大きく攻め込まれますが、相手の反則もあり大きく後退。ここでBigBlueディフェンスがダウンの更新を許さず、FGの3点に押さえます。
 
失点は許したものの、リードは保ってBigBlueの2回目のオフェンスシリーズ。ファーストプレーはRB#24中野選手のランで6ヤードを奪いますが、その後はパスシリーズ。WR#18高木選手、WR#17小川選手、RB#10末吉選手、WR#16梶川選手と7回連続してパスが成功し、ゴール前4ヤード。ここでRB#10末吉選手の突進は止められますが、次のプレーでは再びTE#40スタントン選手に4ヤードTDパスが成功し、14-3と点差を広げます。
 
BigBlueディフェンスも好調。3rdダウン残り2ヤードのコンパージョンでは、ルーキーDB#23ジャバリ・ミラー選手がレシーバーをロスタックルし見事に相手の攻撃を押しとどめ、4thダウンパントに追い込みます。この後のBigBlueオフェンスで、WR#89円谷選手に2回続けてパスが成功したところで1Qが終わり、2Qに入ります。結局1Qは、パスの失敗無し、パントキック無しのパーフェクトシリーズで終了します。
 
2Qに入り、2ndダウンで投じたパスがこの試合初めてインコンプリートになります。3rdダウンではWR#18高木選手にパスが通りますが、ファーストダウンに届かず、4thダウンで3ヤード残り。ここでベンチはギャンブルを選択し、パスでダウン更新を狙いますが、これが失敗。敵陣44ヤード地点で攻守が交代します。1Qがほぼ完璧な内容だっただけに、少し意外な展開です。その不安が的中したのが続く富士通のオフェンス。ランプレーで手堅くダウンを更新すると、今度はRBがQBの位置に入るワイルドキャットフォーメーションで意表を突くと、ゴール前6ヤードまで前進を許してファーストダウンとなります。この6ヤードを1stダウンのプレーでTDパスが通り、ここで点差が14-10と縮められます。
 
まだまだ2Qも早い時間帯で、これから追加点も大いに期待出来るBigBlueのオフェンスシリーズ。QB#3クラフト選手のパスは好調で、WR#1岸選手、RB#10末吉選手、SB#39中濱選手と続けてパスが成功し、2ndダウン残り3ヤード。スナップを受けたQB#3クラフト選手は、ここでターゲットが見つからずスクランブルに出てファーストダウンを更新しますが、タックルを受けるとボールをファンブル。攻撃権が移動してしまいます。ため息が漏れるスタンドですが、続く富士通の攻撃は、LB#13北村選手が-8ヤードのロスタックルを見せてパントに追い込みます。
 
追加点を狙うBigBlueオフェンスは、RB#10末吉選手がこの日最長となる27ヤードの独走ランで一気に敵陣に進むと、再びQB#3クラフト選手のパスが冴え前進。しかし、反則で罰退しRB#10末吉選手のランもゲイン無しで止められ4thダウン12ヤードとなります。ここでK#10小田倉選手が登場し、47ヤードのFGを成功させ、点差を17-10と広げます。
 
2Qも残り2分を切り、QB#3クラフト選手のパスがインターセプトされますが、続く富士通の攻撃を今度はルーキーDB#25面條選手がインターセプトしリカバー。結局どちらのチームも決め手に欠き、17-10で前半を折り返します。


逆転、そして反撃も及ばず
 

後半開始の富士通のキックオフをWR#18高木選手が大きく26ヤード戻し、BigBlue後半最初のオフェンスがスタート。前半同様、WR#1岸選手、WR#17小川選手とダウンを更新しながら前進して敵陣に入るものの、敵陣に入ったところで今度はパスが3回続けて失敗。パントで攻守が交代します。
 
この日のBigBlueは、オフェンスも好調ですが、ディフェンスも好調。最初のランプレーこそファーストダウンを許してしまいますが、続くプレーでは相手のパスを失敗に追い込み4thダウン残り9ヤードでパントになります。キックされたパントボールを、リターナーに入ったWR#16梶川選手がフェアキャッチのシグナルを出しながら捕球に入りますが、これをファンブル。直前にまで迫ってきていた富士通のカバーチームにリカバリーされてしまい、ゴール前21ヤードで再び富士通の攻撃となります。これで一瞬気が緩んだのか、最初のプレーでレシーバーを止めることが出来ず、21ヤードのTDパスを許してしまい17-17の同点に追いつかれます。
 
同点に追いつかれたものの、まだまだ試合時間は残っている3Qの序盤。QB#3クラフト選手のパスは精確にWR#18高木選手、TE#40スタントン選手とターゲットを捉えて前進。特にこの日のメインターゲットであるTE#40スタントン選手に21ヤードのパスが成功すると、ゴール前6ヤードでファーストダウンを奪います。再びTDのチャンス。しかし、1stダウン、2ndダウンとディフェンスに阻まれて前進出来ず、3rdダウンではWR#18高木選手にパスが通るものの4ヤードの前進。4thダウン残り3ヤードとなり、再びK#1小田倉選手が登場して25ヤードのFGを成功させます。
 
20-17と再び試合をリードしたBigBlue。しかし次のキックオフでのK#8小田倉選手のキックは距離は伸びたもののアウトオブバウンズの反則で5ヤード後退して蹴り直し。2回目のキックも同じくアウトオブバウンズの反則となり5ヤード後退しての蹴り直しとなります。3回目のキックオフは成功したものの、大きく後退してのキックもあり、自陣中央付近まで大きく戻されてしまいます。ここで富士通オフェンスが息を吹き返し、QB#18出原選手から、まずはWR#81中村選手に26ヤードのパスが成功し前進。次は、TE#87大矢選手に20ヤードのTDパスが成功して、この試合初めて逆転を許してしまいます。
 
逆転されてやや沈んだ雰囲気が影響したのか、BigBlueの歯車が少しずつ狂い出します。3Q終盤のBigBlueのオフェンスシリーズ。QB#3クラフト選手が自らスクランブルして5ヤード前進し、3rdダウン残り3ヤードの場面。富士通スタンドから激しいクラウドノイズが出る中、3rdダウンコンバージョンのために、左右に動いてオーディブルを出すQB#3クラフト選手。しかし、クラフト選手がオーディブルを出している間にクラウドノイズに間違ってセンターがボールをスナップしてしまいプレーが始まってしまいます。ボールは確保されたものの、イリーガルモーションの反則で罰退し不本意な形でオフェンスシリーズが終了してしまいます。
 
嫌な雰囲気の中、試合は4Qに入り富士通の攻撃。ここでLB#9鄭選手がQBサックで相手の攻撃を断ち切り再びBigBlueの攻撃に。WR#18高木選手、WR#80瀧選手、WR#16梶川選手と、再びQB#3クラフト選手のパスが冴え、ゴール前11ヤードで向かえた2ndダウン5ヤードの攻撃。ハンドオフを受けて右オープンに流れたRB#10末吉選手は、途中で止まるとエンドゾーンに走り込んできたWR#1岸選手へTDパスを投じます。しかし、これを読んでいたのか富士通DB#7藤田選手が無情にもインターセプトしてタッチバック。折角のTDチャンスを逃します。
 
得点チャンスは逃したものの、BigBlueディフェンスは元気。富士通の攻撃を、今度は今シーズンLBにコンバートされたLB#42吉津選手がQBサックで大きく後退させると、これをリカバリー出来ずに富士通はパント。続くBigBlueのオフェンスシリーズでは再びパスが通り前進するものの、4thダウン4ヤードのコンバージョンでQB#3クラフト選手が今度はQBサックされて攻守交代。さらに残り2分を切ってBigBlueが攻撃権を得るものの、ゴール前7ヤードからの厳しいシチュエーションもあり、ロングパスが通せず時間との闘いとなります。残り10秒を切り、QB#3クラフト選手がスクランブルからサイドラインに逃れようとしますが、ここでタックルを受けてヘルメットが外れてしまいます。最低でも1プレーはサイドラインに出る必要があり、交替して入ってきたQB#14多川選手ですが、大きく前進を狙って投じたパスはこの日3回目のインターセプト。反撃の芽を摘まれて試合終了となりました。


練度の差を感じた試合
 

獲得距離でも支配時間でも、相手を圧倒していたこの試合。しかし、例え99ヤード前進しても、最後の1ヤードを取れなければ得点には繋がらないわけで、その「最後の詰め」が物足りない試合でした。オフェンス、ディフェンス共に、決して富士通に劣っていたとは感じられません。ディフェンスは、過去の試合同様24失点に終わりましたが、3TDのうち3Q最初のTDは、パントリターン失敗からのプレーですから、これは仕方無かったかと思います。一方オフェンスは、好調なときには全く相手を寄せ付けない力強さを感じるシリーズ展開を見せましたが、少しプレーに躓きが出ると、そこからリカバリー出来ない虚弱さも感じる内容でした。同じような状態に富士通側も何度か直面するわけですが、やはり厳しい試合を何度も経験しているだけに、そこから回復する力、言ってみれば練度の高さを感じました。
 
「れば」「たら」の話ではありますが、もしクラフト選手が春の試合から出場でき、実戦の経験を積んでおくことが出来れば、あるいはこの開幕戦が第三節位のタイミングであったならば、もっと彼のプレーコールも生きたように感じられます。ただ、彼にしても、ビデオからは得られない日本のトップチームの様子を実際に肌で感じることで、試合には敗れたけれど残る試合に対しての準備は逆にしやすくなったのでは無いでしょうか。実際、強力なディフェンス力のある富士通相手に、83%のパス成功率、439ヤードを獲得することは非凡な力が必要なはず。残り4試合で、この試合での悔しさを是非爆発させて結果を出して欲しいと思います。Go BigBlue!

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