第36回パールボウル二回戦: 鹿島ディアーズ戦の見所

2013/05/08

 

第36回パールボウルは、今週末から二回戦に入ります。一回戦の試合では、前年の地区3/4位チームと5/6位チームが対戦しましたが、やはり前年の実績が反映され、3/4位のチームが勝ち上がり、二回戦では前年1/2位のチームとの試合が待っています。BigBlueの対戦チームは、昨シーズンの東地区優勝チームであり、Xリーグの準優勝チームである鹿島ディアーズです。
 
鹿島との対戦は、2010年シーズンの開幕戦で対戦して以来3年振りの試合になります。実は、鹿島はBigBlueがXリーグに昇格して最初に対戦したチーム。この試合では4Q途中までBigBlueが14-13でリードするものの、最後に逆転のTDを許して破れました。以後、2010年シーズンまで毎年リーグ戦で対戦し、9戦して0勝9敗と最も多くの黒星を献上している相手です。春の試合ではありますが、初の勝星を上げて今シーズンの勢いを付けたい相手です。
 

オフェンスの見所

前回の試合では、Xリーグに再昇格したばかりのハリケーンズに対してチーム最高得点である83点を叩きだしたBigBlueオフェンス。合計12TDのうち、2TDがキックリターンTDですが、残り10TDはランとパスで5TDずつとバランスよく得点しました。まだまだシーズンも入ったばかりで荒削りな場面も見られましたが、昨シーズン一年を掛けて成長してきたBigBlueのオフェンスシステムが、次のステップに踏み出した事を確信させる内容でした。パスシーンでは、ベテランWR#17小川選手に、昨年のホットラインTE#40スタントン選手に加えて、ルーキーWR#81栗原選手が光る活躍を見せてくれました。レシーバー陣は、昨年の陣容からほぼ替わらないメンバーが残っているために、QBの#3クラフト選手とのコミュニケーションも春から好調さを見せてくれています。鹿島の厳しいディフェンスが予想されるものの、QB#3クラフト選手のプレーコールと鹿島ディフェンスの鬩ぎ合いが、この試合最大の見所であることは間違い有りません。
 
一つ不安を感じるのは、試合当日の天候が「雨」の予報となっていることです。多少の雨には影響されないクラフト選手の力強いパスですが、雨がレシーバーに有利に働くことはほとんどありません。天候にも寄りますが、RB#10末吉選手、そして前回の試合でTDを含む活躍を見せたルーキーRB#35土井田選手のRB陣が確実にゲインを重ねることが出来るかが、試合の行方を決めると考えられます。前回の試合では、1回あたり6.9ヤードの獲得距離を記録したRB陣が、鹿島の厳しいディフェンスの中平均5ヤード獲得を目標に活躍すれば、大いに勝利に近づくことが出来ると言えます。
 

デイフェンスの見所

ハリケーンズ戦では、総喪失ヤードを55ヤードに押さえ、ファーストダウンを許したのも2回だけで相手オフェンスを完封したBigBlueディフェンス陣。記録だけ見れば、昨年の状態から大きく成長したように感じられますが、それがそのまま通用するほど鹿島のオフェンスは甘くありません。
 
最大の不安は、相手のプレーをファーストヒットで確実に止める、確保する力。前回の試合でも、ファーストコンタクトで確実に決まらずに、サポートタックルを受けて何とかキャリアーを止めた場面が何度かありました。アスリートが揃っている鹿島に対しては、さらに厳しい場面が想像されます。今シーズン、ディフェンスの最前線のDLに多くの新人が加入していますが、まずは彼らのパワーに大いに期待したいところです。そこに、#42吉津選手、#92諸星選手、#96林選手、#98瀧川選手といった前回の試合でも活躍した選手の堅実なプレーで守りの壁を厚くし、鹿島のオフェンスに対抗する場面がまずはディフェンスの見所です。
 
これまでの試合を見る限りでは、どちらかと言えばランプレーに比重を置く鹿島オフェンス。今シーズン厚みを増したDL陣と協力して、LB陣がどれだけスピードと機動力を生かしてサポートしていけるかが、昨シーズンの100点台の失点を大きく減らすための鍵です。前回の試合での不満の一つに、このスピード感の物足りなさを感じたことがあります。その為、ディフェンスとして相手の前進は阻むことは出来たものの、よりアグレッシブなプレーでボールを奪うという「貪欲さ」には欠けていたように思います。堅実なプレーでは、強力な鹿島の前進を押さえることは出来ても止めることは出来ません。必要な事は、相手の突進力を上回りボールを奪うようなアグレッシブなディフェンス力。これは、鹿島以外の1/2位チームと対戦するために必ず必要なものです。より「攻撃的な守備力」が出るかどうかが、この試合でのもう一つの見所です。
 

試合の見所

「鹿島ディアーズ」という名前は、日本のフットボールを代表する名前の一つですが、いろいろな事情から今シーズン限りの名前になります。最大で、春は3試合、秋はRice Bowlまで含めて10試合が残された試合になります。新しいチームがスタートしたばかりの春の試合ではありますが、彼らにとってはどの試合も重要な意味を持つ試合です。当然、そこに吹き込まれる「気持ち」の強さは、パールボウルに参加した12チーム中、最大と言って良いでしょう。BigBlueの全員が、それを凌駕するだけの「気持ち」を持って試合に臨めるか。それは試合の結果が証明してくれると信じています。
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