第四節: 富士通フロンティアーズ戦の見所
2014/09/30
強豪のノジマ相模原ライズとの接戦を30-21で競り勝ち、チーム初の開幕三連勝中のBigBlue。次はいよいよ昨シーズンのXリーグ準優勝チームである、富士通フロンティアーズ(以下、富士通)との対戦となります。富士通とは、BigBlueのXリーグ昇格初年度(2002年、13-24)に初対戦し、以来2回(7-24@2009、20-24@2012)合計3回対戦していますが未だ勝星の無いチームです。2012年の試合は、QB#3クラフト選手のデビュー戦でもあり、ノーハドルオフェンスが爆発し瞬く間に2TDを奪い試合をリード。その後点の取り合いとなり17-10で前半を折り返しますが、後半に入ると富士通ディフェンスが対応し、BigBlueは1FGに終わる一方、富士通は3Qに2TDを得て20-24で敗れました。
今シーズンの富士通は、注目のQBキャメロン選手を補強。春のパールボウル予選から出場し、そのプレーや能力に多くの関係者が驚かされました。パールボウルではタイブレークの末オービックシーガルズに敗れますが、富士通のオフェンス力アップは誰もが認めるところです。またシーズン直前には、アーカンソー大学出身のDEフリン選手を補強。ディフェンス力に於いても、春のシーズンからさらに強力になり、BigBlueオフェンスにとって、これまで以上の驚異になる事は間違いありません。その強力な双方のオフェンスを、それぞれのディフェンスがどこまで耐えて押さえることが出来るか、前節以上に熾烈な試合になりそうです。
オフェンスの見所
ここまでリーグトップの918ヤード(69/102)を投げて絶好調のQB#3クラフト選手。物足りなかったパス成功率も、前節の試合で73%以上をマークし、3試合平均でも68%とかなり向上してきました。気になるのはここまでで4回の被パスインターセプト。前節では、ノジマ相模原のDB#6カノンガタ選手に2回もインターセプトを許しましたが、優秀なDB陣を要する富士通ディフェンスは、さらに警戒が必要です。また、この時のターゲットはTE#40スタントン選手とWR#81栗原選手という、メインターゲットに対してのパスだっただけに、本来ならば成功して当たり前のプレー。当日の天候や初めてのグランドと言う事もあったかもしれませんが、レシーバーとの阿吽のタイミングを、この一週間のうちに取り戻せるかどうかが気になります。ただ、WR#16梶川選手やWR#83松尾選手と言った若手レシーバー陣の活躍も目立つようになってきたので、ターゲットを上手く散らして投げ分けることが出来れば、リスクを下げて活路も開けるでしょう。QB#3クラフト選手は、この3試合でのパッシング獲得距離は918ヤードと、早くも1000ヤードに大手を掛けています。昨シーズン、クラフト選手はXリーグのパッシング記録第二位となる1264ヤードを投げましたが、この試合でその記録を更新することが出来れば、勝利もグッと手繰り寄せることになるでしょう。
グランドアタックでは、RB#10末吉選手が相変わらず好調。リーグで唯一300ヤードを超えるラッシングを記録しています。これまでは、サイズにものを言わせたパワーランのタイプでしたが、今年は体も少しスマートになり、走りにも強引さが影を潜めて柔軟性が増したように感じられます。ここまでで、38回/320ヤードと平均8ヤードを超えており、BigBlueの攻撃に厚みを加えています。課題は、ファンブル。前節の試合、ゴール前の重要な場面でのファンブルは、相手の厳しいタックルもあったとは思いますが、結果的にTDを一つ失ったことになります。接戦が予想される試合だけに、ミスは絶対に許されません。更なる確実な走りが要求されますし、それが達成出来れば勝ち星も見えてきます。さらには、RB#21髙木選手も活躍していますので、この二人がどこまで相手のディフェンスを翻弄できるかで、中心となるパッシングオフェンスも生きてくるはずです。
パスにしろランにしろ、オフェンス戦の根幹はOL陣の踏ん張りです。前節の試合では、QBサックを許すことも無く、強力なライズディフェンスを相手に耐え、BigBlueオフェンスを支えました。今回の富士通戦では、注目されているフリン選手に加えて重量級の富士通DL陣と厳しい戦いが待っています。相手のラッシュに耐えるだけで無く、いかにそのプレッシャーをそらしてRBの走路を開拓できるかが試合の分かれ目になるでしょう。DB陣にも能力の高い選手が揃っているだけに、ランで崩してパスを生かし、パスを通してランも生かす、そんなコンビネーションがリズム良く展開出来るかどうかが、この試合のオフェンス最大の見所で有り、勝利の鍵と言えます。
ディフェンスの見所
今シーズン、最大の注目株選手と言っても過言では無いQBのキャメロン選手。クラフト選手同様パッシングQBと見られますが、実際のプレーではランプレーも上手くコントロールしており、富士通オフェンスのWR/RB資産をうまく活用しているQBと言えます。実際、平均パッシング記録では、1回当たり19ヤード近くを稼いでおり、キャメロン選手のパスプレーには注意が必要です。特にレシーバーの中村クラーク選手は、リーグトップの309ヤードを獲得しており、破壊力のある武器として注意が必要です。また、QB平本選手も要所では登場してくると考えられるため、BigBlueディフェンスとしては、QBの違いによるプレーの差に注意が必要でしょう。ランプレーでも、後藤選手、高野橋選手、ゴードン選手という能力の高いRB選手だけでなく、QBのキャメロン選手自身も走力があるため注意が必要です。
これに対するBigBlueディフェンスは、注目のDE#34ブルックス選手とDE#5トゥファーガ選手が両翼を固め、中央をやはり重量級のDL#99紀平選手やDL#31藤井選手が固めます。さらに、スピードのあるDL#92諸星選手やDL#96林選手がラッシュを掛けてQBにプレッシャーを掛けるディフェンスが功を奏しているように見られます。フロントラインが安定した上に、ルーキーDB#1中谷選手が前後左右に安心出来るプレーを提供してくれるため、その分LBやDB陣が前に出て積極的にプレーできている印象があります。特に、LB#7岸本選手やDB#22中山選手のタックルシーンが昨年よりも多く感じられるのは、そう言う影響があるのではないでしょうか。課題としては、前節、RB宮幸選手や東松選手にスクリメージラインを突破された後もファーストタックルで止められなかったように、まだまだ一瞬の詰めの甘さが感じられます。前節以上に集中して、どれだけタックルミスを防ぎ、1インチでも前でランナーを止められるか、LB/DBとして厳しい試合になるとは思いますが、それが出来なければ勝利も無いでしょう。
富士通のオフェンスの組み立てとして、やはりランプレーを中心にしてシリーズ構成をしており、その上でパスプレーは最後に一気に得点を勝ち取る場面に比重があるように感じられます。ですから、ディフェンスとしてはランプレーを押さえてあえてキャメロン選手にパスを投げざるを得ない場面に追い込むことで、そこからリズムを崩しチャンスが掴めるかもしれません。また、パスの場合、前回以上にDBとレシーバーのマッチアップが重要になってきます。DB#20矢部選手、#32椙田選手らベテランに、#29後藤選手や#35渡辺選手といったルーキーと上手くコンビネーションを回していくことが出来れば、相手はパスプレーにも苦しむことになり、そこから相手のオフェンスも崩すことも可能でしょう。
試合の見所
正直なところ、総合力やこれまでの実績を見れば、相手の方が一枚も二枚も上手であることは確かです。そんな中で、あえてBigBlueのアドバンテージを見つけるとすると、前節でノジマ相模原と接戦の試合をして競り勝ち、その勢いを忘れないうちにこの試合を迎えることが出来る事でしょう。勿論、体力的には富士通よりも厳しく消耗しており不利な点も多々あると思います。ただ、BigBlueが気持ちで相手に負けず、チーム力で勝利を勝ち取った「感触」を忘れないうちに、次の強豪チームと対戦できる事は重要です。その勢いを利用して、序盤にどれだけ相手に対して優位に試合を進められるかが、この試合で一番の見所でしょう。
クラフト選手がBigBlue一年目に苦労したことを思うと、富士通のキャメロン選手は実に上手く富士通オフェンスに溶け込んでおり、効果的なプレーを展開していると感じられます。BigBlueディフェンスとしても、この相手を切り崩すのは難しいでしょう。一つ有利な点を上げれば、両DEに入っているブルックス選手、トゥファーガ選手も、USのカレッジでの試合の経験があり、これまでの日本人QBとの対戦よりも、プレーや雰囲気としては馴染みのあるやりやすい条件になるかもしれません。お互いに慣れている自分の土俵での勝負が出来る、このBigBlueディフェンスvs富士通オフェンスの対決が、この試合一番の見所になるでしょう。
いずれにしてもこの試合、接戦に持ち込み、最後の瞬間に逃げ切ることが一番勝利の確率が高いと思われます。一昨年も敗れたとは言え、20-24という僅差での勝負でした。今年は、それ以上の勝負に持ち込めるだけの力も勢いも、今のBigBlueにあることは確かです。Go BigBlue!
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