あるOBの呟き- 2ndステージ vs LIXILディアーズ戦

2014/11/18

2ndステージは最終戦に入り、関西(キンチョウスタジアム)では、富士通vsパナソニックとOBIC vs エレコムの試合が開催され、ここ横浜スタジアムではBigBlue vs LIXILの試合が平行して開催されます。ファイナルステージへの4枚の切符のうち、富士通はすでにファイナルステージ進出を確定させており、残りは三つ。それぞの試合結果によりケースは色々ありますが、基本的には勝利しなければ次ぎに進めないのはどのチームも同じ。BigBlueもこの試合に勝利して、次のステージ進出を狙います。

昨シーズン、やはり2ndステージで対戦し10回目の対戦で56-35で勝利した鹿島ディアーズは、今シーズンから「LIXILディアーズ(以下、LIXIL)」として以前以上の力を発揮しています。クラブチーム化に伴い、20名余りの引退者の代わりに、同数に近いルーキーを獲得。その成果は昨シーズンの日本チャンピオンOBICシーガルズを1stステージで破る結果を出しています。さらに、昨年苦しめられたQB#3クラフト選手のパッシングオフェンス対策も十分に準備してきていると予想されるだけに、前節のアサヒ飲料戦以上にオフェンスの頑張りが必要です。BigBlueとしては、昨年の試合で56点を奪ったものの、今回はそれ程の失点をLIXILが許すわけでは無く、従ってディフェンスがどれだけ相手の得点を阻むかが試合の趨勢を決める要素になると考えられます。快晴に恵まれ、軽く汗ばむほどの絶好のコンディションの中、LIXILのキックオフで試合開始です。
 

攻めるオフェンス、止めるディフェンス

前節の試合で出足の悪さに苦しんだBigBlueオフェンス。ファーストプレーのWR#81栗原選手へのパスは失敗しますが、QB#3クラフト選手のランと、WR#17小川選手、TE#40スタントン選手へのパスが決まり、さらにRB#10末吉選手のロングランでゴール前9ヤードでファーストダウンを獲得します。ここからTE#40スタントン選手へTDパスが成功、幸先良く先制点を獲得します。

続くLIXILの攻撃では、予想された通りQB#9加藤選手からのパス攻撃に対応出来ずゴール前13ヤードでファーストダウンを獲得。1stプレーのランを2ヤードで止めると、続くパスを2回リフレクトし、4thダウンでの29ヤードFGで凌ぎます。

続くキックオフでは、リターナーに入ったWR#81栗原選手が56ヤードのビッグリターンを見せ、敵陣の41ヤードからの攻撃。TE#40スタントン選手へのピッチとパスでダウンを更新すると、WR#11原選手へのパスでダウンを更新。しかし、TDを狙ったTE#40スタントン選手へのパスは、LIXIL #37 大舘選手にインタープとされて得点には繋がりません。
 
タッチバックのため自陣20ヤードからのLIXILの攻撃は、ダウン更新は許すものの、LB#7岸本選手、LB#97國方選手らの好タックルで大きな前進は許さず、自陣を出る前にパントで攻守が交代します。ここからTE#40スタントン選手、TE#33森重選手、WR#17小川選手とパスで大きく前進し、試合は2Qに入ります。2Q最初のプレーでRB#21髙木選手が15ヤードを一気に進みダウンを更新してレッドゾーンに入ると、QB#3クラフト選手からTE#40スタントン選手へ17ヤードのTDパスが成功。得点を14-3として、さらにリードを広げます。

続くLIXILの攻撃では、RB#20岩倉選手のロングラン、WR#11前田選手へのロングパスが決まりゴール前24ヤードまで進まれます。ここからWR#7宮本選手への24ヤードのTDパスが決まり、すぐにLIXILは14-10と点差を縮めてきます。直後のキックオフリターンでは、WR#81栗原選手が91ヤードのリターンTDを見せましたが、これはリターン途中にセレブレーションの反則を犯して取消。敵陣22ヤードからの攻撃となったBigBlueオフェンスは、RB#10末吉選手へあえてショートパスを通して小刻みに前進。しかしゴール前3ヤード、4thダウン1ヤードとなると、ここでFGではなくギャンブルを選択。QB#3クラフト選手からTE#84小林選手に3ヤードTDパスが成功し、21-10とさらにリードを広げます。
 
前回の試合と打って変わり、手堅く得点を重ねるBigBlueオフェンス。しかし試合はここからディフェンス戦へ突入します。LIXILの攻撃を、DB#1中谷選手がパスインターセプトで絶つと、続くBigBlueの攻撃は厳しいマークでパスが通らずQB#3クラフト選手自らがパントを蹴り攻撃権が移動。続くLIXILの攻撃では、WR#7宮本選手へ37ヤードのパスが通りヒヤリとしますが、続くランプレーをDE#34ブルックス選手、LB#7岸本選手が止めパントで交代となります。

試合が再び動いたのは2Qも終盤4分を切ってから。WR#81栗原選手へ33ヤードのパスが決まり敵陣に入ると、RB#21髙木選手のねちっこい走りでゴール前14ヤードでファーストダウンを奪います。再びRB#21髙木選手が9ヤード進み、2ndダウン1ヤード。距離が短くターゲットが見つからないQB#3クラフト選手は、判断良くスクランブルしたQB#3クラフト選手がエンドゾーン右隅に走り込みTDを奪います。K#8小田倉選手のTFPキックも成功。28-10と2TD以上の差をつけ前半を終了します。
 

タイムマネージメント

後半はLIXILの攻撃から始まります。ランプレーでダウンを更新して前進するLIXILですが、一度はダウン更新を許したものの、LB#6北守選手、LB#97國方選手の好タックルで前進を許さず、またDE#34ブルックス選手のQBサックで大きく後退させてパントで終了します。続くBigBlue後半最初の攻撃では、逆にQB#3クラフト選手がQBサックを受けてヒヤリとしますが、直ぐに自らのランでファーストダウンを更新します。ここからRB#21髙木選手にボールを集めてダウンを更新しながら前進。ゴール前19ヤードでファーストダウンを獲得します。ここからのプレーでは、ターゲットを探すQB#3クラフト選手は、マークが厳しいと判断すると、丁度空いていたスクリメージライン中央を抜けそのままエンドゾーン左隅を目指して19ヤードを突進。最後は左パイロン横に飛び込みTDを奪います。

35-10と3TD差以上に開いた点差。早くTDを獲得して点差を縮めたいLIXILですが、RB#20岩倉選手のラン、WR#18永川選手へのパスでダウンは更新するものの、エンドゾーンに近づけば近づくほど厳しくなるBigBlueディフェンスに苦しみます。ゴール前18ヤード、3rdダウン残り2ヤードの場面から、QB#9加藤選手はエンドゾーンにTDパスを投じます。エンドゾーン内で競り合うDB#25小林選手とWR#11前田選手ですが、ここで前田選手にパスインターフェアの反則。15ヤード交代して再びTDを狙うものの、4thダウンギャンブルのパスも失敗し、BigBlueディフェンスチームが勝負に勝ちます。
 
ディフェンスの活躍でチャンスを得たBigBlueオフェンスですが、最初のプレーで、ターゲットのTE#40スタントン選手の前にLB#42牧内選手が入りインターセプト。僅か1プレーで攻撃権を奪われてしまいます。

BigBlue陣内37ヤードからと絶好のポジションに何とかキャッチアップを狙いたいLIXILですが、DE#5トゥファーガ選手がいきなりのQBサックで4ヤード後退。しかしここからLIXILは盛り返し、RB#20岩倉選手の好走も有りゴール前7ヤードでファーストダウンを獲得します。1stダウンのランはLB#7岸本選手がノーゲインでタックル。2ndダウンのパスは失敗。3rdダウンのランはこの日好調なLB#97國方選手が3ヤードで防ぎます。ここで3Qが終了しフィールドが入れ替わり、4Q最初のプレーは、4thダウン4ヤードからLIXILはギャンブルを選択します。激しいDLのラッシュの中、ゴールラインぎりぎりに走り込んできたWR#7宮本選手に投じられたパスは、LB#6北守選手がカット。間一髪のプレーで窮地を救います。
 
ゴール前4ヤードからという厳しいポジションからのBigBlueの攻撃は、1stダウンでRB#21髙木選手が2ヤードのロスタックルで押し戻されます。しかしWR#83松尾選手へ11ヤードのパスが通ると、続いてRB#21髙木選手が今度は3ヤードを進みダウンを更新します。ここからQB#3クラフト選手はランプレーを中心に組み立て、時間を消費しながらダウンを更新していきます。途中からQB#4多川選手に交代してさらに前進しますが、LIXILディフェンスも意地を見せ、敵陣27ヤードで4thダウン9ヤードとなります。ここからはK#8小田倉選手が登場し、45ヤードのFGを成功させ、38-10と4TD差まで点差を広げます。このシリーズ、FGで終わったものの、19プレー、10分50秒という非常に長いシリーズとなり、タイムマネージメントという意味では完全に成功したシリーズと言えます。そして、事実上この試合を決定づけたシリーズと言えるでしょう。

残り4分を切ってのLIXILの攻撃は、ディフェンスが引いて守っているためかダウンを更新して前進。ゴール前19ヤードでファーストダウンを獲得すると、ランで中央突破を狙いますが、LB#97國方選手、DE#92諸星選手の堅守で進めません。4thダウン残り7ヤードからは、WR#85鈴木選手へパスが通りますが、これをDB#32椙田選手が6ヤードでタックル。LIXILの攻撃が終了します。残り11秒は、QB#4多川選手がニーダウンし、昨年に続きLIXILに38-10で勝利しました。この結果、BigBlueは総合順位2位でファイナルステージへ進出することになりました。また敗れたLIXILも他のチームの対戦結果から3位となり、奇しくも次のファイナルステージでは、ホーム・ビジターが入れ替わった状態で再びLIXILと、この横浜スタジアムで同じ14:30のキックオフで再戦することになりました。
 

気持ちを切り替えて再戦に臨む

昨年のような点の取り合いにはなりませんでしたが、点差は昨年の21点から今回は28点に広がり、これはBigBlueディフェンスが好調な証拠と言って良いでしょう。富士通戦では、それまでのDE#34ブルックス選手、DE#5トゥファーガ選手に頼ったディフェンスが相手にコントロールされて、十分に機能発揮出来ませんでした。しかしそれが逆に相手のプレーが両選手に集中する分、他の選手が上手く間隙を突いたプレーが出来るようになり、それがLB#97國方選手、LB#6北守選手、LB#7岸本選手といった2列目選手の活躍を生んでいる気がします。やっと新規加入の選手達の特性を生かした、今シーズンのBigBlueディフェンスが形作られてきたような気がします。このスタイルをどこまで追求できるかで、次の再戦は勿論、その先の試合まで進むことが出来るか決まるでしょう。

オフェンスも、まだまだミスや力不足と感じられるプレーが散見されますが、こちらも本来のスタイルが確立されつつあるように感じられます。特筆すべきは、ルーキーのRB#21髙木選手が自分の持ち味を生かした走り方で相手を翻弄したことで、次の試合でも彼の活躍は勝利のために必須です。また、QBのクラフト選手が積極的にランプレーに参加したことは良い結果を生みましたが意外でした。デザインされたものなのかスクランブルだったのかは分かりませんが、LIXILディフェンスも対策に慌てたのでは無いでしょうか。ただ、クラフト選手あってのBigBlueオフェンスなだけに、これからの試合ではリスク管理も必要になります。スクランブルが必要にならないように、OLのパスプロテクションの強化に、レシーバー陣の一層の集中が必要になるでしょう。

二週間後に再び対戦するLIXILとしても、この試合は敗れたとは言え、次の試合に向けての対策を準備する良い機会になったと思われます。実は、午前中の試合で富士通が勝利した時点で、この試合の結果に関係無くLIXILのファイナルステージ進出が確定しており、ある程度試合の趨勢が決した後半になってからは、彼らも次を睨んだ対応をしたのでは無いかと思われます。次の試合までの二週間、どちらのチームが準備を十分に進める事が出来るか、すでに勝負は始まっています。次の試合は、さらに厳しい内容になることは確実ですが、それを乗り越えJapan X Bowlを、そしてその先のRice Bowlを必ず目指して欲しいと思います。Go BigBlue!

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