ファイナルステージ: LIXILディアーズ戦の見所
2014/11/22
2ndステージを2戦2勝で勝ち上がり、2010年シーズン以来2度目のファイナルステージ進出を決めたBigBlue。対戦するのは、2ndステージで対戦したばかりのLIXILディアーズ(以下、LIXIL)です。前回はHC就任初年度であった山田HCが抽選でワイルドカードを引き当ててのファイナルステージ進出でしたが、今回は自ら勝ち取ったファイナルステージだけに前回とは違った重みがあります。ただし、これまでの試合結果から、BigBlueの試合に先立ち開催された富士通対パナソニックの試合で富士通が勝利したため、この試合開始前にLIXILのファイナルステージ進出が確定していました。しかも、ファイナルステージでは再びBigBlueと対戦する可能性が高く、従ってLIXILとしては、勿論勝ちを狙うにしても無理をせずにその先の試合を考えての対戦となりました。
これは試合時間に表れています。BigBlue対LIXILの試合時間は2時間20分。これは2ndステージ9試合中最短で、最長試合はパナソニック対富士通の3時間7分、9試合平均時間は2時間56分であることを考えると、いかに前回の試合が早く終了したか分かります。さらに前回の試合時間(実時間)をQ毎に振り返ると、1Q=31分、2Q=36分、3Q=28分、4Q=22分と後半に行くほど短くなっています。前半で28-10と点差が開いていたところに3Q序盤にBigBlueが追加点を上げて試合の流れをほぼ掴んだことから、以後のプレーは時間消費を意識した進行になったと考えられます。大きく点差は開いたとは言え、勝利確定まで気が抜けないBigBlueに対して、LIXILは余裕を持って試合を進める事が出来たと言えます。そう言う意味で、4Q初めから19プレー、10分50秒のドライブで時間消費できたことは、BigBlueにとって大いに助けになりました。
オフェンスの見所
2ndステージの2試合で、再びオフェンス力が安定してきたBigBlue。しかし不安な点は、70%にやっと届いたパス成功率とこの試合でも2被インターセプトをしたことです。アサヒ飲料戦での3被インターセプト、2ファンブルロストから見れば改善していますが、強豪チーム相手の試合では試合の流れを変える大きな分岐点になり得ます。それでも、5TDを奪うBigBlueオフェンスの実力を誉めるべきかもしれませんが、次の試合ではそう都合良く行くとは限りません。パス成功率については、その数字よりは「どこで成功したか」が重要です。この試合での10回のオフェンス機会(シリーズ)のうち、得点以外で終了した4回のうち、パスインターセプトで2回、パントで1回、試合終了のニーダウンで1回という内容を見ると、その中身は濃かったと言えるでしょう。
22回のパス成功のうち、8回はTE#40スタントン選手へのパスです。当然次の試合ではLIXILの厳しいマークが付く事が予想されます。大学時代はLBであったスタントン選手だけに当たり負けしない強さはありますし、この3年間で十分にレシーバーとしての技術にも磨きが掛かり、この試合でも彼へのプレーが基軸の一つになると予想されます。攻撃の核としてメインターゲットとして利用するのか、逆に相手の裏をかきスタントン選手を囮に他の選手へのパスでエンドゾーンを目指すのか、オフェンスコーディネーターも兼ねるQB#3クラフト選手のプレーコールがこの試合オフェンス最大の見所です。
レシーバー陣では、TE#40スタントン選手、WR#17小川選手、WR#81栗原選手の三本柱がメインターゲットになると予想されますが、最近の試合では若手のWR#11原選手やTE#84小林選手、そしてRBでありながらRB#10末吉選手や#21髙木選手へキープレーとしてパスが通っており、これはLIXILディフェンス陣にとって悩みの種となるかもしれません。パス攻撃の出来不出来が、そのまま試合結果にも結びつくだけに、序盤でどの程度の結果がでるかで、試合の行方が見えてくるはずです。
ランプレーでは、QB#3クラフト選手自らのランが光りました。スクランブル気味に走り出た場面もありましたが、自ら狙ってプレーした場面もあり、これはLIXILにとっては意外だったかもしれません。相手ディフェンスのラッシュでパスポケットから追い出されても、そこからTDを奪うQB#3クラフト選手の機動性に対してどの様なディフェンスを用意してくるかが見所の一つです。もう一人、RB#21髙木選手も粘り強い走りを見せてくれました。19回/96ヤードは十分に次の試合でも期待が生まれる記録です。RB#21髙木選手が次の試合でTDを奪えば、その時には試合の流れが大きくBigBlueに傾いたときと言えます。
ディフェンスの見所
アサヒ飲料戦に続いて、この試合でも失点を10点に押さえたBigBlueディフェンス陣。TDを回避してFGに止めたのはディフェンスの勝ちといえるものの、この試合では2Q序盤に相手のオフェンスシリーズでTDを奪われています。鍵となったのは、LIXIL RB#20岩倉選手の23ヤードラン、WR#11前田選手の28ヤードキャッチ、そしてWR#7永川選手の24ヤードTDキャッチの三つのロングゲインプレーでした。ランプレーに関しては、綺麗に走路が開きランナーの個人技もあり大きく前進を許し、パスではQBにプレッシャーを掛けながらも冷静にターゲットを探す余裕を許してしまい、そこにDBのマークを振り切ってそれぞれのレシーバーが走り込んでいます。ディフェンスとしては、いかにもっと速いラッシュでQBに早く投げさせるかが重要な課題になるでしょう。前回の試合では、今シーズンのディフェンスの要でもあるDE#34ブルックス選手とDE#5トァファーが選手が相手にブロックされる場面が多く見られたものの、その分LBの#6北守選手、#7岸本選手、#97國方選手が自由に動くことが出来、良いプレーをしていました。LIXILとしても、機動力が向上したLB陣に集中すれば、両DEとさらに中央のDL#99紀平選手、#31藤井選手に潰されるリスクが大きくなりますし、その逆は前回の轍を踏むことになります。クレバーなチームだけに、予想できないオフェンスを準備している可能性もあり油断は出来ませんが、前回同様それぞれの選手が自分の仕事を実行すれば、LIXILの攻撃にも十分対応出来るのでは無いでしょうか。ランプレーでは36回/121ヤードと前回は押さえましたが、今回も同様に相手のグランドアタックをどれだけ止められるかが、ディフェンスの見所の一つです。
方やパッシングゲームでは、QB#9加藤選手がクラフト選手を上回る、21回成功(32回試投)286ヤードを獲得しています。クラフト選手とは逆に、4thダウンギャンブル時等、必要な時にパスが成功しなかったため得点結果は大きく違いが生まれました。この二週間の間に、当然レシーバーとのタイミングは念入りに調整してくるでしょうから、DB陣としてはさらに慎重かつ大胆な守備が要求されます。前回の試合で印象的なプレーの一つである、4Q最初の4thダウンギャンブルからのTD狙いのパスをLB#6北守選手がカットしたような、ショート・ミドルのパスディフェンスには安定感と信頼性が感じられますが、さらに長いパスに対してはDBが競り負けるシーンが多かったように感じられます。QBのパスリリースをプレッシャーで早くさせ、そのタイミングのずれに合わせてインターセプトをしたDB#1中谷選手のようなプレーがこの試合でも生まれれば、BigBlueの勝利はぐっと手元に手繰り寄せられます。
昨年の2ndステージでは56-35で3TD差だったものが、前回の試合では38-10と4TD差に点差は広がっています。LIXILとしては、得点力強化をし競り合いに持ち込むのが必要と考えるでしょう。当然、先ずは得意なパッシングオフェンスを今回はいろいろと準備をしてくるでしょう。最終的にはDBとレシーバのマッチアップでいかに相手を抑えるかの勝負ですが、BigBlueが勝つためにはその前にQBにどれだけプレッシャーを与え続けられるかが重要です。今シーズン満を持して強化されたDL/DE、そしてLB陣がどれだけスクリメージラインを超えて踏み込めるかが、ディフェンスでの最大の見所になるはずです。
試合の見所
LIXILのこれまでの試合での得点経過を見ると、FGでの得点が多くまたそれが勝敗の分かれ目になっていると言えます。BigBlueでもK#8小田倉選手が好調なプレーを見せていますが、LIXILのK#14青木選手はそれ以上の飛距離と確実性を残してきています。通常、ゴールラインから20ヤード迄を「レッドゾーン」と呼ぶ得点の可能性が高くなる領域です。しかし、この試合では30ヤード迄をレッドゾーンと考え、ディフェンスもそれに応じたプレーが必要になるでしょう。
さらに、前回の試合で戦力や戦術を温存できた相手に対して、BigBlueは3Qまでは全力でプレーする必要があり、スカウティングの面では相手に有利な状態です。BigBlueとしては、それでもいかに相手を出し抜くプレーを準備出来るかが重要ですし、LIXILにしても特にオフェンスに関しては何がまずかったのか徹底的に修正してくるでしょう。そう言う意味では、どれだけ両チームのコーチ、スタッフが準備をしてこの試合に臨むのかがそのまま試合に反映される厳しい試合になると思われます。その為、試合の流れは前回とは異なる方向に向くと思われます。
その場合でも、前回の試合の記憶はまだ生々しいでしょうから、BigBlueとしては先制点を早いタイミングで奪い、出来ればある程度の点差を付けて前半を折り返すことが出来れば、LIXILとしても無意識に前回のことを想像しプレーにも影響するかもしれません。どんなに小さな切っ掛けでも利用して勝負するのがこの試合に勝つ重要な要素ですし、逆に自らそう言うミスを起こさない事はそれ以上に重要です。チーム力、個人の力、経験値では相手にまだ及ばないものの、ここまでの試合で尻上がりに勢いを増しているのが、今のBigBlue最大の武器です。その勢いをさらに加速させて、未知の領域に臨んで欲しいと期待します。Go BigBlue!
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