第六節・パナソニック電工インパルス戦の見所

2009/11/04

この週末から始まる2009シーズン・セカンドステージ。ファーストステージを3勝2敗、ディビジョン3位で終了したBigBlueは、初戦でウエストの第一位チームパナソニック電工インパルスとまず対戦します。

Xリーグ・ウエストディビジョンを代表するチームの一つパナソニック電工インパルスは、過去3度の日本チャンピオン(ライスボウル優勝)経験を誇る 強豪チーム。昨シーズンこそ、最終戦でアサヒ飲料チャレンジャーズに敗れてディビジョン2位でレギュラーシーズンを終了しましたが、Final-6では初 戦のオービックシーガルズを20-14で破ると、準決勝のオンワードオークス(当時)に44-17と圧勝。社会人チャンピオンを決めるJapan X Bowlでは、鹿島ディアーズを28-14で破り、2年連続で社会人チャンピオンの座を手にしました。ライスボウルでは学生チャンピオンの立命館大パン サーズに惜しくも13-17で破れて4度目の日本チャンピオンは逃しましたが、今年も昨年以上の好調さをファーストステージで見せています。その証拠の一 つが、得失点差。総得点の228点と総失点の20点は、どちらもXリーグ18チームのトップ。もっとも破壊力があり、もっとも守りも堅いチームにどのよう に対応していくのか、BigBlueにとっても、関東地区の強豪チームとの対戦とはまた違ったプランが要求されるであろう、ハイレベルの内容となりそうで す。

オフェンスの見所

前 節の明治安田戦で先発し、4TD(2TDパス、2TDラン)を演出したQB#14多川選手。QB#15岡村選手と比べて、やや線の細さが気になるものの、 ルーキーとは思えない落ち着いたクォーターバッキングを見せ、BigBlueのオフェンスプレーに厚みを感じさせてくれました。QB#15岡村選手と似た プレースタイルのように思えますが、パワーでは岡村選手、クイックネスでは多川選手という印象を受けた試合でした。特に、QBキープと決めた瞬間の加速力 とスピードは、自ら1TDを獲得したように相手ディフェンスを混乱させる有効なプレーになると思われます。今回のスターターは経験のある岡村選手が予想さ れますが、ファーストステージの富士通戦でゴール前オフェンスで見せたようなワンポイントの起用や、途中シリーズでの起用など、相手チームに的を絞らせな い手段として活躍が期待出来そうです。

パナソニック電工のディフェンスメンバーを見ると、もっとも驚異的なところはDLの選手達。今年春に招集された、Notre Dame Japan Bowl(NDJB)のオールジャパンメンバーには、DL 10名のうち4名がパナソニック電工の選手です。これら強力なDL陣と、や はりオールジャパンメンバーであったBigBlue OL#72村上選手を初め、頼れるOL#66パット選手、さらにベテランOL#77田村選手、好調なOL#79田代選手を初めとするBigBlueのOL 陣とのバトルには注目です。今シーズンは、ランプレーにも力を入れているBigBlueオフェンスチームですから、シリーズのリズムを作る上でも基本とな るランプレーで、RB#24中野選手、RB#30工藤選手、RB#26吉津選手といった前回活躍した選手達の活躍を、再びフィールドで見ることが出来るよ うに期待します。

さらにパスプレーで言えば、昨年までとはやや異なり、ショート、ミドルレンジのパスを中心にオフェンスが組み立てられている様子が伺えます。この場 合、QBとレシーバーの「あ・うん」の呼吸が全てと言っても過言ではないので、この二週間の準備期間で、さらにどれだけ精度が上がってきたか、試合を決め る重要な要素と言えるでしょう。逆に、それをフェイクにして、本来のWR#17小川選手、WR#3サンプル選手へのロングパスというシナリオも考えられま す。ただ、パナソニック電工のDB陣も強力なだけに、相手にパワーに対しては、プレーの素早さ・クイックネスでかわすことが有効かもしれません。破れはし ましたが、昨年の鹿島戦のようにノーハドルオフェンスを用いて、こちらのテンポでプレーを進めることで相手に余裕を与えない事が勝利への道に繋がるかも知 れません。

ディフェンスの見所

X リーグ随一の得点力を誇るパナソニック電工。そのオフェンスの中心はQB#8高田選手。隊形が崩れた中からでも的確に通すパス力はDB陣に取っても驚異と なるでしょう。高田選手は、レギュラーシーズン中唯一800ヤード台のパッシング記録をしているだけに、DB陣としても気が抜けない試合になりそうです。 パスターゲットでも、ウエストのレシーブ部門の1位(WR#5本多選手)、2位(WR#86野口選手)、3位(WR#7長谷川選手・同率)を占める強力な パッシングオフェンスを持っているだけに、DB#20古川選手、DB#22中山選手、さらにDBポジションに入るWR#3サンプル選手らの運動能力と相手 レシーバーとのマッチアップは、毎回スリリングなプレーになること予想されます。

一方地上戦では、パナソニック電工RB#20石野選手がやはりウェストのラッシング部門でトップ。さらにそのランプレーを支えているパナソニック電 工のOL陣は、巨漢ライン選手が揃っていますので、BigBlueのDL陣は苦労しそうです。明治安田戦で見せた、プリッツを多用しての相手オフェンスの 切り崩しが今回も効果がありそうですが、QB高田選手のスキルも高いだけに、一 度崩した後で相手にリカバリーを許さない、セカンド、サードエフォートまでしっかりフォローできるDL/LB陣の連携がなんと言っても重要でしょう。前節 の試合では、DL#58松浦選手や、LB#97國方選手が、相手QBにプレッシャーを掛けるシーンを多く見ましたが、一方で中央を固めるDL#90小山選 手やDL#99南家選手、サイドを固めるDL#96佐藤選手やLB#47池選手などのプレーでしっかり守らないと逆にそこからロングゲインの可能性がある わけで、これまで以上にコミュニケーションが重要になるでしょう。

ファーストステージでパナソニック電工は一試合あたり平均46点を上げています。セカンドステージに進出したアサヒ飲料チャレンジャーズ、吹田マー ヴィーズに限っても、30点以上の得点を記録しています。この得点力をどれだけ押さえられるか、春から、新しいディフェンスチーム作りに力を注いできた久 保コーチの努力が、この試合で大きく実ることを期待したい試合です。

試合の見所

セ カンドステージに入り、これまでの1Q=12分制から、1Q=15分制へと変わります。これにより、試合時間としてはこれまでよりも1Q分増えたようにな ります。天候的に暑さでのスタミナ不足はあまり考えなくて良いと思われますが、長くなる試合時間でどれだけ集中力を維持出来るか、BigBlueとしても これまであまり経験がないだけに注意が必要でしょう。そのためにも、フィールドにいる11人の選手以上に、サイドラインからチーム全体で気持ちを盛り上げ る「チームプレー」が要求されると想像されます。

前節のパナソニック電工の試合では、パナソニック電工32得点のうち、18点がFGによるものでした。最長49ヤードのFGも含め、ゴール前30 ヤード前後から確実に得点できる攻撃力は要注意です。一方で、BigBlueのキッカー#8崔選手も、過去50ヤード以上のFGを成功させており、実力的 には引けを取りません。BigBlueの勝機としては、ロースコアの接戦に持ち込むことが必要なだけに、最後はこのFGで勝敗が決まる試合になるかも知れ ません。経験と力でパナソニック電工が押し切るか、地の利を生かしてBigBlueが勝利を掴むか、見逃せない一戦になりそうです。

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