2019第五節: オール三菱ライオンズ戦の見所
2019/10/14
今シーズンのリーグ戦を、1勝3敗と苦しい状態が続いているBigBlue。第五節の対戦チーは、昨シーズンのJapan X Bowl(JXB)ワイルドカードを勝ち上がってきた、オール三菱ライオンズ(以下、オール三菱)との対戦です。オール三菱とは、BigBlueのXリーグ昇格初年度2002年に対戦し、その後8戦して5勝2敗1分の対戦成績。今回は、2013年シーズン以来6年振りの対戦となります。最初の2年は力の差が大きく大差で連敗しましたが、2004年に引き分けとなると、以後はBigBlueが5連勝中です。しかし当時のオール三菱は、東京三菱銀行(当時)、東京海上(当時)、三菱電機の三社合同企業チームとして活動しており、リクルート等に制限があったものの、近年クラブチーム化してチーム力向上に務め、昨年の躍進に繋がっています。
ここまでのオール三菱は、勝ち星無く4敗中。第二節で東京ガスクリエイターズと接戦を繰り広げるも終盤あと一歩届かず、さらに上位チームとの対戦にも苦しむ試合が続いています。オフェンスは、QB#9齋藤選手が中心となり、そこにベテランQB#15谷口選手と若手のQB#17笹木選手が交代で入りリズムを作る印象があります。一方ディフェンスでは、サイズの大きいオフェンスライン(OL)が揃う上位チームとの対戦ではパスディフェンスに苦しんでおり、ここにBigBlueとしても活路を見いだしたいところです。
オフェンスの見所
前節のエレコム神戸ファイニーズ(以下、エレコム神戸)戦では、ラン、パス、ともにスタッツでは上回るものの、あと一歩の決定力不足でTDに繋げることが出来ず、1TD差での敗退となりました。理由は色々あると思うものの、キッキングゲームの結果BigBlueのオフェンスのスタート位置が相対的に押し込まれていたため、その分オフェンスドライブが長くなったことが大きな理由の一つと言えます。スペシャルチームが、リックリターン、パントリターンで良いプレーをしてくれることは勿論、オフェンスとしても厳しいボールポジションからでも確実にゲインが得られるゲームプランが必要になります。
そんな状況で期待したのは、今シーズン試合ごとにランプレーが成長している、RB#47山中選手と、RB#28伊藤選手の活躍です。特に山中選手は、エレコム神戸戦では14回/102ラッシングヤードと、一人でほぼエレコム神戸のチームラッシングヤードに匹敵する活躍をしています。今シーズンはスクリメージラインの突破力が増し、体格を生かしたパワーランナーとして試合ごとに成長を見せています。また、レシーバーとしても活躍が目立つRB#28伊藤選手のランプレーも効果的に出るようになり、復調したRB#4鈴木選手も含めて、ラッシングユニットとしての底上げが出来ています。この試合では、RB陣の活躍が大きな見所になるでしょう。
レシーバー陣では、メインターゲットのTE#40スタントン選手、WR#84近江選手の活躍が目立つものの、相手チームのマークも試合ごとに厳しくなり、パッシングオフェンスとしては、ターゲットを広げてパスを有効に活用する必要があります。前節では、WR#14前田選手がチーム最長となる59ヤードパスレシーブを記録しましたが、他のレシーバー達もこれに続くプレーを出す事が出来るか注目されます。ここまでの試合でのパス成功率は、50~60%と不満が残る成績になっています。QB、OL、レシーバー、それぞれの気持ちがピタリと嵌まる瞬間を、どれだけこの試合の中で作り出すことが出来るか、一つ一つのプレー精度が問われる試合になるでしょう。
ディフェンスの見所
これまで、ランプレー対策がディフェンスの課題と思われていましたが、少なくとも前節ではその成果が出ていたと言えるでしょう。ランプレーでは17回で119ヤードを許し、これは許容範囲内ではあるけれど、2本のTDランはいずれも45ヤード以上の独走TDランを許しており、一瞬の脆弱性に対してはこの試合でも注意が必要です。これまでも、他チームの外国人RBにロングゲインを奪われる場面は多くありましたが、それらはどちらかというと選手の個人技、カットバックで交わされてヤードを奪われていました。今回は、少なくとも2回のTDランは、タックルミスや、タックルしてもダウン出来ずにリカバリーされてからのプレーで、そう言う意味では確実に相手をタックルしてダウンさせる「フィニッシュ」の気持ちが重要になります。
一方で、パッシングディフェンスでは、WR#21アヌワー選手が、10補給/185レシービングヤード/3TDと、この選手一人に翻弄されてしまいました。オール三菱のこれまでの試合では、WR#19吉田選手とWR#25クック選手の二人がメインターゲットになっており、まずはこの二人をどれだけカバー出来るか、DB陣のプレーが注目されます。ここまでの試合では、マンツーマンカバーでレシーバーがDBを奥に引っ張り、それで生まれた手前のスペースに遅れてレーシーバーが入りロングゲインを許すシーンが何度もありました。ディフェンスのプラン上仕方ないのかもしれませんが、DEあるいはLBが残り、カバーするなど工夫が必要と思われます。
前節では、1インターセプト、1ファンブルリカバーと、二つのターンオーバーを奪ったBigBlueディフェンス。その積極的なプレーは良いとしても、やや前のめりになりオフサイドの反則や、タックルミスに繋がっているようにも感じられます。よりオフェンシブ(攻撃的)なディフェンスがBigBlueの信条と思われますが、接戦になったときにはそれがやや空回りする印象も受けます。メリハリのあるプレーをどれだけ試合に集中して出す事が出来るか、キャプテンDB#1中谷選手、バイスキャプテンLB#5コグラン選手のリーダーシップにも大いに注目したい試合になります。
試合の見所
ここまでの4戦で、1勝3敗と厳しいシーズンとなったBigBlue。JXBトーナメント進出の為には、この試合も含めて残り3試合全て勝利が必要になります。一つも落とせない事はプレッシャーではありますが、逆にそれを試合に対してのエネルギーに変える位のしぶとさが無ければ、Japan X Bowlの頂点に立つことは出来ません。まずは気持ちを切り替えて、この試合にどれだけ集中できるか、チーム全員のベクトルを合わせる事が重要。その為にも、オフェンス・ディフェンス、そしてキッキングゲームと、相手を最初からリードして試合を"DOMINATE!"出来るか真価が問われます。
またここまでの試合を振り返ると、反則をどれだけ減らせるかという事も重要です。勝利したノジマ相模原戦では3回25ヤード罰退でしたが、続くパナソニック戦では9回65ヤード罰退、エレコム神戸戦では11回72ヤード罰退と、徐々にプレー精度が落ちていることが伺えます。勿論、反則を犯してしまう、反則になってしまう理由は多々ありますが、自分のやるべきプレーをやり切っていれば反則が発生する余地はないはず。フットボールでは"Discipline(規律)"と言いますが、テンポ良くキビキビとプレーを決めてTDを奪う、「これがBigBlueのフットボール」という試合を見せて欲しいと思います。 Go BigBlue!
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