あるOBの呟き- チャレンジボウル川崎2006観戦記
2006/01/12
昨シーズンから始まった、Xリーグ・イースト、セントラルディビジョンのオールスター戦となる「チャレンジボウル」。今シーズンは、Xリーグ各チー ムからの選抜選手にX2リーグからの推薦選手も加わったオールスター戦として開催されました。しかも今シーズンは、イースト/セントラル・ディビジョンで それぞれ三位となった、イースト・富士通、セントラル・BigBlueがホストチームとなり、それぞれの合同チームをまとめることになりました。
Game Day -30 : 12/10/2005
まだXリーグのFinal-6開催中の12月初旬、チャレンジボウルのノミネーションが行われ、各チームの参加選手、コーチ、スタッフが決まりまし た。事前にコーチ陣が集合し、「オールセントラル」の骨組みを作り、オールセントラル2006がスタートしました。その週末の12月10日には、コーチ、 選手、スタッフがBigBlueの八千代台グランドに集合。オールセントラルのコンセプトとプレーブックが配布され、チャレンジボウルへ向けての第一歩が 踏み出されました。
Game Day -2 : 01/07/2006
実 質的に合同チームとしての活動初日となるこの日、晴天に恵まれる物の厳しい冷え込みの中オールセントラルメンバーが八千代台グランドに集合します。スタン トH/Cから、この試合に向けての意気込みとこれからの予定が説明され、直ぐにプレーブックの確認に移ります。約一時間強のミーティングの後、お昼前から グランドに出て実際の練習がスタートします。
昨年と違い、今年は試合前の二日間しか準備期間がありません。事前にプレーブックを配布して、プレーのインストールは済んでいるはずですが、ウォー ムアップを兼ねて一つ一つプレーを確認していきます。プレーだけでなく、スタントH/Cがシーガルズから持ち込んだ練習方法もかなりユニークで、 BigBlue以外のチームの選手・スタッフにとっては最初は戸惑い気味のように感じられました。とはいえ、それぞれのチームを代表するメンバーですか ら、次第に要領を飲み込んで行きます。
まずは入念にウォームアップとストレッチを実行して体をほぐすと、直ぐにパートに分かれてプレーの確認に入ります。最初はハーフスピードで一つ一つ 確認しながらメニューを消化していきますが、体が温まるに連れてフルスピードでのプレーに入り、またラインの選手はブロックの練習で早くも激しいあたりを 見せています。
こ の後、入念にキッキングゲームの確認をした後、一度パート練習に戻りそれぞれのプレーやフォーメーションを確認した後、この日の仕上げとなるオフェンス vs.ディフェンスのスクリメージ練習にはいります。オフェンスでは、BigBlue・岡村選手、アサヒビール・金岡選手、東亜建設・大澤選手の3 QBが順番にオフェンスチームに入り、順番に予定されたプレーを消化していきます。タイミングが重要なオフェンスでは、合同チームのためにプレーが合わな い場面もありましたが、だからこそ一つ一つ確認しているような印象です。寒さのためか、QB陣もWR陣も今ひとつボールが手に付かない感じでしたが、合同 チームとして初めての実戦練習という事を思えば、さらにこの厳しい寒さを考えればまずまずの内容と言えるのかもしれません。ウォームアップも含めて、みっ ちり四時間の練習が終わると。さらに練習中に撮影したビデオを使ってのミーティングを行い、長い一日目が終了しました。
Game Day -1 : 01/08/2006
合 同練習二日目ながら、すでに試合前日です。前日よりは暖かく、また風も穏やかですが厳しい寒さにあまり違いはありません。この日はショルダーとメットだけ のスタイルで、プレーの確認に重点を置いてメニューが組まれているようです。前日同様入念にストレッチを行い怪我を予防すると、まずはキッキングゲームの 確認から練習をスタートします。通常のキックオフ、キックリターンは勿論、最後の逆転狙いのオンサイドキックも含めて選手を交代しながらメニューをこなし ていきます。
その後オフェンスチームでは、プレーのタイミング合わせを何度も繰り替えしています。ディフェンスも、プレーサインの確認と実戦を思い出させるよう なタックリング練習で感を取り戻しているような印象でした。この日は試合前日ということもあり、練習時間も前日の半分程度に抑え、さらに内容も「オールセ ントラル」としてプレーの一つ一つを共有するように、場合によっては二度三度と繰り返して確認している場面が見られました。最後は、全員で集合し気持ちを 一つにしてハドルをかけ、短い合同練習の二日間が終了しました。
Game Day : 01/09/2006
三 連休の最終日。11時キックオフのため、早朝から川崎球場に集合したメンバーは、早速準備に入ります。参加チームからサポートに来てもらっているトレー ナー陣総出で、60名近い選手達をどんどんテーピングしていきます。幸いにも、合同練習中の怪我人も無く、殆どの選手がベストの状態で試合に臨めそうで す。
あっと言う間に試合開始となり、オールセントラル全員がサイドラインに整列して、フィールド中央のコイントスを見つめます。チームキャプテンの礒谷選手が前半リターンを選択し、いよいよ試合開始です。
オー ルセントラル最初のオフェンスチームは、岡村選手がスターターとなりリードします。学生援護会・川崎選手へのロングパスが決まり、一気にゴール前に迫る と、パスオフェンスから一気にスクランブルで飛び出した岡村選手がゴール右隅に走りこみ、先制のTDを上げます。鹿島・鹿島選手のTFPキックも決まり、 7-0と試合を先行します。しかし、この後オールイースト・冨澤選手のTDパスが決まり、1Qは7-7の同点で終了します。
2Q に入りサイドが変わると、オールスター戦らしい演出が。1980年代の日本大学フェニックスを知る世代には懐かしい「ゴールデンドラゴンフライ」フォー メーションが登場します。Cの後ろに礒谷選手が入り、その右手には岡村選手、左手には金岡選手というW-QBフォーメーション。ロングスナップを受けた礒 谷選手から岡村選手にハンドオフでボールが渡りますが、残念ながらタックルされて奇襲戦法は通じませんでしたが、オールスター戦らしい演出にスタンドも大 いに盛り上がります。この後、学生援護会・小山選手の39ヤードFGで逆転する物の、2Q最後にオールスースとが再びTDパスを決めて、前半は10-14 とリードされて終了します。
オー ルセントラルのキックオフで始まる3Q。BigBlue二上選手、小山選手が好タックルを決めてオールイーストの前進を阻みます。しかし、オールセントラ ルオフェンスも厳しいディフェンスに止められ、前半のモメンタムを掴むことが出来ずに3Qが進んでいきます。そんな中、オールイーストはQB冨澤選手のパ スが決まりだしゴール前に攻め込みますが、そのパスを阿部選手が値千金のインターセプトを決め窮地を救います。
ここでリズムを掴んだオールセントラルは、ベテランQB・アサヒビールの金岡選手が堅実なオフェンスドライブを見せ敵陣に入った4Q早々に、円谷選 手に32ヤードのTDパスを決めて試合を逆転します。TFPキックも成功し、17-14と試合を三度リードして終盤に入りまする
こ こからオールイーストのQB龍村選手のパスが決まりだしますが、運動量豊富なDB陣がロングゲインを許さず、試合時間を消費させていきます。ゴール前の TDチャンスもDL/LBのプレッシャーとDB陣のカバーで守り抜き、FGに追い込みます。ここで同点という空気が球場に流れた瞬間、キッカーにラッシュ をかけたオールセントラルディフェンスチームの迫力に押されたのか、FGのボールはゴールポストを逸れて失敗。執念で同点のチャンスを潰します。この後、 再びゴール前に攻め込まれますが、オールセントラル一丸となり守り抜き、17-14の僅差でこの試合に勝利しました。
試 合はオールセントラルの勝利で終わりましたが、前回のチャレンジボウル同様中身の濃い試合でした。両チームとも短い準備期間ながら、オールスターチームと は思えない息のあったプレーを随所に見ることが出来ました。前回は、みぞれ混じりの厳しい天候での試合となり、プレーする側も観戦する側も厳しい試合でし たが、今回は天候にも恵まれ厳しい寒さを除けばシーズンを締めくくるに相応しい試合だったと言えます。
試合終了後ベンチに戻り、コーチそれぞれからメッセージがありましたが、単に試合に勝利した以上に得る物が多かったように感じられました。また、選 手同士、スタッフ同士での交換も試合後多く見られ、日本のフットボール普及・向上というもう一つの目標も達成されたように思います。オールスター戦という 単なるお祭りで終わるのではなく、日本のフットボール技術向上の場として是非来シーズンも開催して欲しいと願います。選手、コーチ、スタッフの皆さん、お 疲れ様でした!
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