あるOBの呟き- RBT準決勝: vs パナソニックインパルス戦
2023/12/31
ライスボウルトーナメント(RBT)準々決勝を、最後にフィールドゴールで逃げ切り勝利をした今シーズンのBIG BLUE。RBT準決勝の相手は、昨シーズンリーグ戦最終戦で敗れたパナソニックインパルス(以下、パナソニック)との対戦です。Division-Aを全勝の1位で勝ち抜いたパナソニックは、RBT準々決勝でアサヒビールシルバースターと対戦。1Q序盤に先制のTDを奪うと、試合を終始リードして27-0で勝利し、この準決勝に駒を進めました。昨シーズンもRBTの決勝に進出して富士通フロンティアーズ(以下、富士通)と対戦。序盤は2TDを上げて先行しますが、後半富士通が強力に巻き返して逆転され勝利を逃す悔しい結果に終わりました。今シーズンは、更に戦力を充実させて強力なチームに成長している相手です。
オフェンスはベテランQB#12荒木選手を中心に、ラン・パス共に強力なオフェンス力を誇ります。さらに今シーズンは若手のQB#8石内選手を積極的に登用し、二人QBに近い形で起用することで、オフェンス力の幅が広がっています。さらに今シーズン加入したTE#80 Raymond選手は、その高さを生かしたパスレシーブが大きな武器になっており、パスオフェンスには昨年以上に苦しめられそうです。ディフェンスでは、強力なDL陣は言うまでも無く、LB陣でもCFLから帰国したLB#10丸尾選手等、リーグ戦時から戦力はさらに充実しており、点の取り合いに持ち込みたいBIG BLUEとしてはいかに堅固なディフェンスを切り崩していくか、大きな工夫が求められる試合になります。
リードを許して折り返す
コイントスで前半の攻撃を選択したBIG BLUEは、キックオフがタッチバックとなり自陣25ヤードからの開始。QB#2政本選手が登場すると、まずはWR#84近江選手へパスを投じますがこれは失敗。さらに3rdダウンでは強烈なQBサックを受けて大きく後退し、4thダウンパントで好守が入れ替わります。P#16近藤選手のパントは短く、パナソニック最初の攻撃は敵陣の44ヤードから。QB#12荒木選手のキープでダウンを更新すると、RB#42立川選手のランで20ヤード近くまで進みダウンを更新します。ここからディフェンスが粘りを見せ、DB#1中谷選手がRB#42立川選手を2ヤードロスでタックルすると、RB#26藤本選手のランもDL#44福岡(祐)選手がゲイン無しでタックル。3rdダウンのパスも、LB#57寺林選手が3ヤードでタックルし4thダウンとなります。パナソニックは、K#16佐伯(眞)選手が登場し、39ヤードFGの3点で最初のシリーズを終わります。パナソニックのキックオフをDB#37 Stewart選手が戻しますが、早いタックルを受けてゴール前10ヤードからBIG BLUEの攻撃。RB#21平松選手が大きくゲインをした後は、QB#2政本選手からTE#40 Stanton選手へ27ヤードのパスが通り、中央付近まで大きく前進をします。WR#14遠藤選手へのパスでフィールド中央までさらに進むと、ここからはRB#21平松選手のランで敵陣に入ります。再びWR#14遠藤選手へバスが決まると、ゴール前18ヤードでファーストダウンを更新します。1stダウンのパス失敗の後、WR#85鈴木(隆)選手へのパスが通りゴール前11ヤードまで前進。3rdダウンの3ヤードを、交代したQB#10 Viramontes選手が突破を狙いますが、これを予想していたパナソニックに逆に1ヤード戻されてしまいます。4thダウンでは、K#11福岡(勇)選手が登場し、29ヤードFGを成功させ、3-3の同点に追いつきます。
続くパナソニックの攻撃は、RB#42立川選手のランプレーを、DL#6 Onyechi選手が止めるものの、QB#12荒木選手から、WR#14プレナン選手、TE#80 Raymond選手とパスを通され前進を許します。また、BIG BLUEのパスインターフェアの反則も重なり、ゴール前8ヤードでファーストダウンの更新を許します。この8ヤードをRB#42立川選手がカットバックで切り込み1プレーでTDとなり、再びパナソニックがリードを奪います。続くBIG BLUEの攻撃は、キックオフがタッチバックとなり自陣25ヤードからスタート。まずはRB#4鈴木(恵)選手がダウン更新の10ヤードランプレーで進むと、今度はそのRB#4鈴木(恵)選手へ、QB#2政本選手がタックルを受けて倒れ込みながらも投じたパスをキャッチしてランアフターキャッチ(RAC)でフィールド中央付近まで前進をしてダウンを更新します。しかし次のプレーでは、ラッシュを受けてスクランブルに出たQB#2政本選手はファンブルを奪われ一気に攻守交代となります。
敵陣48ヤードからのパナソニックの攻撃は、RB#26藤本選手へのパスで5ヤードの前進。次の2ndダウンでは、TE#6成田選手へのパスでダウンを更新します。敵陣26ヤードからの1stダウンのプレーでは、QB#12荒木選手が一気にエンドゾーンを狙って縦に駆け上がるTE#6成田選手へロングパスを投じますが、これをマンツーマンでカバーしていたDB#24岸野選手が左手を伸ばしてカット。しかし、このプレーがパスインターフェアの反則となり、パナソニックがゴール前11ヤードでファーストダウンを更新したところで、試合は2Qに入ります。エンドゾーンを背にしてBIG BLUEディフェンスは踏ん張り、DB#1中谷選手、LB#57寺林選手と、RB#42立川選手のランを封じ、4thダウンで4ヤードが残ります。ここで再びK#16佐伯(眞)選手が登場すると、22ヤードのFGを成功させ、3-13と点差が広がります。さらに次のBIG BLUEの攻撃が4thダウンパントで終了すると、パナソニックはQB#8石内選手が登場。RB#26藤本選手のロングゲインで一気に敵陣に入ると、TE#80 Raymond選手への34ヤードTDパスが成功し、さらに3-20と点差が広がります。
先ずはTDを奪いたいBIG BLUEは、QBにQB#10 Viramontes選手が登場すると、RB#21平松選手、TE#40 Stanton選手とダウン更新のパスが続いて敵陣にはいります。しかし次のWR#82白根選手へのパスがオフェンスのパスインターフェアの反則となり、大きく15ヤードの罰退。この後ディフェンスの守りも厚く、3rdダウンで19ヤードが残ります。しかし今度はパナソニック側にパスインターフェアの反則があり、これで敵陣に入りファーストダウンを更新します。QBがQB#2政本選手に交代すると、WR#82白根選手へのパスで、パナソニックが今度はホールディングの反則。更に前進すると、WR#84近江選手、WR#14遠藤選手とタイミングパスが通り出し、ゴール前13ヤードからRB#21平松選手が左外を回り込みゴール前5ヤードまで進みます。TDの期待が高まりますが、ここからのエンドゾーンを狙うパスは失敗が続き、さらにQB#2政本選手も強烈なQBサックを受けて交代。K#11福岡(勇)選手が再び登場し、34ヤードFGを成功させて6-20とします。
TDには繋がらなかったものの、少し流れを取り戻したBIG BLUE。自陣25ヤードからのパナソニックの攻撃は、RB#42立川選手の中央突破をLB#22中山選手が1ヤードで止めると、2ndダウンのパスは失敗。3rdダウンでは、WR#88木戸選手へのパスは通りますが、ダウン更新には至らず4thダウンで1ヤードが残ります。フォルススタートの反則もあり、さらに後退したパナソニックは、パントを外に蹴り出し攻守交代となります。1stダウンでは、QB#2政本選手からWR#85鈴木(隆)選手へのパスが通ると、上手くステップを踏んでDBをかわすと大きく前進し、一気に敵陣にはいります。しかしここからのパスが通らず、4thダウンで5ヤードが残ると、このギャンブルプレーでのパスは失敗。一歩届かずパナソニックの攻撃へと変わります。逆にパナソニックはRB#42立川選手へのパスでゴール前30ヤードまで進むと、K#16佐伯(眞)選手が46ヤードFGを成功させ、6-23と点差が広がります。この後のBIG BLUEの攻撃もパスが通らず前半はこのまま6-23で折り返します。
モメンタムを掴むビッグプレー
後一歩が届かないもどかしさの中折り返した前半。後半はBIG BLUE RB#20石川選手のキックオフで始まります。タッチバックにオフサイドの反則が重なり、パナソニックの攻撃は自陣35ヤードから。1stダウンのパス失敗の後、QB#12荒木選手のハンドオフフェイからのプレイアクションパスがTE#80 Raymond選手に決まり敵陣に入ります。更に前半は止めていたRB#42立川選手に中央を突かれると、テンポ良くパスがWR#82大塩選手に決まりダウンが更新されます。積極的にパスで攻め込むパナソニックオフェンスに対して、DB#5小阪田選手がカットで対応するものの、これがパスインターフェアの反則となりファーストダウンとなります。ゴール前22ヤードからのパナソニックの攻撃は、左サイドラインをコーナーに向けて真っ直ぐ上がるWR#18桑田選手へのTDパス。DB#23玉川選手もマンツーマンでカバーしていたものの、一瞬カットが間に合わずTDを許してしまいます。6-30と更に点差が広がり、パナソニックのキックオフで試合再開。パナソニックはK#11佐伯(栄)選手が大きくボールを蹴り込みます。このボールをゴールライン上でキャッチしたWR#85鈴木(隆)選手は、右サイドから左サイドに斜めに走り始めリバースと見せかけると、丁度中央付近で真っ直ぐ縦に切り込みます。これがパナソニックのキックカバーチームの間隙を突く形になり、密集を抜けた先にはキッカーのK#11佐伯(栄)選手しか残っていません。レシーバーのWR#85鈴木(隆)選手は、スピードでK#11佐伯(栄)選手をかわすと、後は右サイドラインを独走。100ヤードのキックオフリターンTDという形で、待望のTDをBIG BLUEにもたらしました。直後のトライフォーポイント(TFP)では、そのWR#85鈴木(隆)選手がホルダーに入り、K#11福岡(勇)選手がキックを成功。13-30と点差を縮めただけで無く、明らかにスタジアムの空気が変わったことが感じられたスーパープレーとなりました。
オフェンスのビッグプレーにBIG BLUEディフェンスも応えます。RB#42立川選手の外に流れるランプレーを、LB/DBと次々にタックルに向かい前に出さず、最後はDB#24岸野選手が2ヤードのロスタックルで止めます。2ndダウンでは、QBにバスを投げさせないプレッシャーからパナソニックがホールディングの反則で罰退。下がってやり直しとなる2ndダウンでは、DL#6 Onyechi選手が外から回り込んでラッシュを掛けると、背後からのQBサックでさらに8ヤード後退させます。自陣6ヤードまで下がったパナソニックは、RB#42立川選手が中央ダイブで5ヤード進め、パントキックのスペースを作るのが精一杯の状態となります。P#35小林選手のパントはやや短く、パントキャッチをしたWR#15九里選手が早いタックルを受けながらも6ヤード戻し、敵陣36ヤードからBIG BLUEの攻撃が始まります。
ディフェンスの好プレーで絶好のボールポジションから始まるBIG BLUE後半最初のオフェンスは、QB#2政本選手が登場します。後半最初のプレーは、RB#21平松選手の中央へのダイブ。これで4ヤード進み、2ndダウンの攻撃。ドロップバックしたQB#2政本選手は一呼吸おくと、左サイドから斜めに走り込んできたWR#82白根選手へパスがヒット。パスキャッチと同時にWR#82白根選手が真っ直ぐ縦に切れ上がると、そこが丁度ディフェンスゾーンの切れ目となり、そのままエンドゾーンへ走り込み二つ目のTDを奪います。K#11福岡(勇)選手のTFPキックも成功し、20-30と試合のモメンタムを掴みつつじわりと点差を縮めていきます。
WR#85鈴木(隆)選手のビッグプレーから試合のモメンタムを掴んだBIG BLUE。続くパナソニックの攻撃も、RB#26藤本選手のランを外からフリーで飛び込んできたDL#99島野選手がロスタックルで阻止。2ndダウンのパスは、DL#6 Onyechi選手があわやパスインターセブトというパスカットで失敗。3rdダウンでは、ラッシュを受けたQB#12荒木選手の手元がやや狂ったか、タイミングが崩れてアウトオブバウンズで失敗。4thダウンパントできっちりと相手の攻撃を押さえます。自陣47ヤードからと絶好のポジションを再び獲得したBIG BLUEオフェンスは、QB#2政本選手が登場し2本目のTDを狙います。1stダウンのパスがややタイミングがずれてしまい失敗しますが、2ndダウンではTE#40 Stanton選手へ7ヤードのパスが成功。しかし3rdダウンでは、WR#18井上選手へのバスが通らず、4thダウンのギャンブルもレシーバーとタイミングが合わずに失敗。今ひとつモメンタムを掴み切れていない印象を受けます。しかし、この後のパナソニックの攻撃も、53ヤードのFG圏内まで進まれますが、K#16佐伯(眞)選手のキックは失敗と、まだまだ流れはBIG BLUEにあります。
BIG BLUEの攻撃は、QB#2政本選手のパス失敗の後、QB#10 Viramontes選手に交代。自身のQBキープで敵陣に入ると、TE#40 Stanton選手へのパスのあと、4thダウンギャンブルではQB#2政本選手からWR#84近江選手へダウン更新のパスが成功しエンドゾーンに迫ります。しかしここからパナソニックのデイフェンスも厚みを増し、パス失敗が続きます。4thダウン9ヤードが残ると、K#11福岡(勇)選手が登場。この試合3本目となる、45ヤードFGを成功させ、23-30と1TD差迄点差を縮めます。しかし地力に勝るパナソニックは、4Qに入るとRB#42立川選手のダイブでTDを奪うと、次の攻撃ではK#16佐伯(眞)選手がこの試合4本目のFGを成功させ、23-40と再び点差が広がります。BIG BLUEは、TE#88三浦選手への30ヤードロングパスで大きく前進すると、WR#81糸川選手への21ヤードパスが成功し、ゴール前10ヤードでファーストダウンを更新します。しかし、ここからの距離は遠く、4thダウンギャンブルではQB#2政本選手がQBサックを受けて攻守交代となります。この後パナソニックは、RB#27岩月選手が59ヤードの独走TDで更に追加点を上げると、最後はニーダウンで時計を進め、23-47で試合終了となりました。
粘りは見せたが、さらに強くなるためには
厳しい試合が予想されましたが、その通りの試合展開だったと言えます。ただ、負け惜しみで無く多くの収穫も感じられた試合だったとも言えるでしょう。最大の収穫は、これまでで有れば前半折返し時点での6-23のように大量点差から、さらに後半3Qスタート直後にもTDを奪われてさらに6-30と点差が広がった場合、気持が切れてそのままズルズルと行くのがこれまでのパターンでした。しかし昨シーズン辺りから、粘りのようなものが出始め、以前のように簡単に気持が折れることは無くなったように思います。今回の場合も、WR#85鈴木(隆)選手の100ヤードキックオフリターンTDというビッグプレーが切掛でしたが、そういうプレーをここぞという場面で出す事が出来る選手が居て、それを切掛に試合のモメンタムを引き寄せて掴めるチーム力を持つまでに成長したと言えるでしょう。特に3Qに限って言えば、攻守ともにBIG BLUEがパナソニックを圧倒していたと言えると思います。課題は、それが最初から出せないことと、折角3Qに掴んだチャンスを4Qに入ると失って行く確実性に掛ける事でしょう。パナソニックの対応力の強さもあると思いますが、やはり3Qでチャンスを掴んだならば、それを最後まで離さず逆転に繋げる強さが、来シーズンは切望されます。
ディフェンスでは、課題であったランオフェンス対策であったり、マンツーマンでのパスカバー等、しっかり対策出来ていた部分は評価されるべきでしょう。ただ、パスカバーに関して言えば、相手レシーバーの能力も高いだけにどうしても紙一重での接戦となるため、それが反則と判断される場合もあるし、相手が上まわる場面も多く、更に選手一人一人のスキルアップと、相手に付け入る隙を与えない緻密なシステム構築は来シーズンも続く課題になるでしょう。オフェンスでは、QB#10 Viramontes選手の加入は大きく、プレーの選択肢も広がりました。ただ、これまでクラフトHCとQB#2政本選手の二人三脚で創り上げてきたシステムに対応するには、準備時間が足りなかった印象を受けます。来シーズンのオフェンスシステムがどうなるのかは分かりませんが、荒削りながら大きな期待感が感じられた今シーズンのオフェンスシステムを、来シーズンはさらに磨き上げて洗練されたシステム構築を目指してほしいと感じます。
残念ながら、今シーズンも目標である「日本一」には届かなかったシーズンとなりましたが、課題も多いけれど手応えも感じられたシーズンだったと言えます。来シーズンからは、リーグ戦の形式も新しくなり、より厳しいシーズンが予想されます。挑戦者としての気持ちを忘れず今シーズン以上の成果を上げて、来シーズンこそは目標達成を実現して欲しいと思います。
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