第二節: ノジマ相模原ライズ戦の見所
2013/09/09
初戦を34-0と完封勝ちを収め、幸先の良いスタートを切ったBigBlue。シーズンを勝利でスタートしたのは、2007年シーズン以来6年振り。奇しくも、2007年シーズンの初戦で対戦したのも、今年と同じ明治安田パイレーツ(34-9)でした。そして続く対戦相手、ノジマ相模原ライズとの試合が近づいて来ます。実は、2007年のシーズンも第二節で対戦した相手は、オンワードスカイラークス(OS)。現在のノジマ相模原の前身チームの一つでした。東京ドームでの試合は、BigBlueが先行するとOSが追いつき、さらに逆転された4Q残り3秒でBigBlue K#11井田選手が試合を決める34ヤード逆転FGを決めて36-34で勝利した、チームにとって歴史的な試合の一つでした。
2011年にXリーグ昇格を果たしたノジマ相模原は、初年度からファイナルステージ進出を果たし、昨シーズンもファイナルステージまで進出した実力を誇ります。以前のチーム同様、豊富な選手層と堅実なチームシステムを持ち、日本のトップチームの一つです。2011年のファーストステージ第二節で対戦した時には24-31で破れましたが、昨年のセカンドステージでの対戦では48-17と大勝。強豪チームではありますが、ここ最近の試合結果を見る限りでは、決して相手に後れを取っていないと言って良いでしょう。
ディフェンスの見所
初戦では、明治安田の獲得ヤードを122ヤード(ラン:5ヤード、パス:117ヤード)として、無失点に押さえたBigBlueディフェンス。その内容は十分に満足できるものでしたが、唯一気になる点がパスディフェンスでしょう。ノジマ相模原の前節オール三菱との試合では、389ヤードの総獲得距離のうち247ヤード/21回をパスで獲得しています。平均12ヤード近いパス攻撃への対応が、BigBlueディフェンス特にDB陣の課題になります。明治安田戦では、ベテランDB#22中山選手、DB#23保宗選手のインターセプトを始めとして、相手のパスを防ぎ、相手のパス成功率を18/33とほぼ半分の55%まで押さえました。今回の相手は、QBにしてもレシーバーにしても、能力のある選手が多いため、さらに厳しい試合になるはずです。前節の結果を見る限りでは、WR#1中田選手、WR#81井上選手、WR#88大滝選手にパスが集中していますので、この試合でも要注意でしょう。また、ベテランWR#7井本選手は1回だけのレシーブですが、33ヤードを獲得しており、やはり注意が必要です。
ノジマ相模原の前節の試合は、スコアは19-0と完勝していますが、得点については1TD/4FGと言う結果です。4FGのうち、2回目以降の3回のFGは、オール三菱ディフェンスがゴール前5ヤードを死守し、4thダウンからのトライになっています。3rdダウン/2ndダウンのプレーでは、相手のパスを失敗に追い込んでおり、BigBlueとしてもレッドゾーン内側でのディフェンスについては参考になるでしょう。ただし、当然ノジマ相模原もこの試合に向けてアジャストしてくるでしょうから、油断は出来ません。今シーズンは、前節の試合でも活躍した、DL#2河合選手、DL#31藤井選手という二人のルーキーが、これまでのBigBlue DL陣に更なる厚みをもたらしており、ランデイフェンスに関しては前回同様期待が出来ます。
ノジマ相模原のランでは、今年もRB#2宮幸選手、RB#25東松選手が活躍しており、さらに前節の試合では新人のRB#29堀選手が大きく距離を獲得しています。昨年セカンドステージの試合でも、宮幸・東松両選手には合計で180ヤードを許しており、この試合でもどれだけ彼らの足を止めることが出来るかが、BigBlueのLB陣の課題です。前節の試合では、LB#13北村選手、LB#42吉津選手、ルーキーLB#47永山選手達が、スクリメージラインを超えてランナーをタックルするシーンを何度も見ることが出来ましたが、この試合でも同様の場面を大いに期待したいところです。さらに過去の試合では、ノジマ相模原QB#10小島選手、QB#5木下選手ともに、レシーバーが見つからない場合積極的にスクランブルにでる印象があります。まずはQBにプレッシャーを与えて投げさせず、走り出す前にタックルする積極的なデイフェンスが、昨年の試合のようにBigBlueに勝機を運ぶ最大の要素になります。積極的なディフェンスをさらに発展させた「攻撃的なディフェンス」こそが、この試合に勝利を呼び込み、今シーズン躍進の原動力となる力です。前節の試合では、この点やや物足りなく空回りした印象があるため、この試合ではそれを修正して実行して欲しいところです。
オフェンスの見所
昨年の試合では、1QからBigBlueオフェンスが爆発し、一気にモメンタムを掴んだことが最大の勝因でした。ただし、試合結果にかかわらず、その試合がシーズンの最終戦であったBigBlueと、仮に破れたとしても次のパナソニック戦に勝てばファイナルステージ進出が確定するノジマ相模原ライズとでは、気持ちの持ち方が違っていたことは考えないといけません。この試合では、昨年の反省もあり徹底的にQB#3クラフト選手へプレッシャーをかけてくるでしょう。スクランブル能力にも優れているQB#3クラフト選手ですから、ピンチもチャンスに変える事も可能ですが、やはりオフェンスプレーとして完結させることがシリーズ構成をする上で重要な要素ですし、試合のモメンタムを掴む切っ掛けでもあります。今シーズン、さらに厚みを増したOL陣は勿論、両サイドを固めるTE陣の踏ん張りが、オフェンス力向上の鍵です。特に、昨シーズンも大活躍したTE#40スタントン選手は、元々はLB出身だったこともありブロック力もあります。またレシーブ力に加えて、ランアフターキャッチの力もあり、この試合でも着実にゲインとファーストダウンを獲得してくれるでしょう。
ランプレーに関しては、前節同様RB#10末吉選手の走りが中心になることは間違い有りません。そこに、RB#24中野選手、RB#29原田選手というタイプの違うランナーのプレーをどう織り込んでいき、相手のディフェンスを崩すかが、この試合の見所の一つです。さらに言えば、QB#4多川選手をワンポイント、ワンシリーズで投入し、彼のオプションを入れるのも面白いかもしれません。QBキープと分かっていても止められないと言う場面を、何度も見せてくれました。当然ノジマ相模原としても注意をしてくると思いますが、ランオフェンスでの勝敗が試合の勝敗にも繋がることは、昨年の試合でも証明されているため、手持ちのカードとして準備しておくことは決して無駄では無いでしょう。昨年の試合では、パスでの獲得距離はほぼ同程度(BigBlue: 149yd / RISE: 136yd)でしたが、ランでの獲得距離は83yd BigBlueが優れています(BigBlue: 311yd / 228yd)。しかし、その83ydの差、パスも含めても96ydの差が48-17というトリプルスコアに近い点差まで広がるわけですから、これだけでもオフェンスの難しさを感じます。ただ幸いなことに、昨年対戦した経験と記憶がまだ新しいため、オフェンスコーディネーターも兼ねるQB#3クラフト選手としても、プレーを組み立てやすいのでは無いかと思われます。試合の経験知では、多分Xリーグでトップクラスのクラフト選手だけに、強豪チームとの試合でのプレー毎のクォーターバッキングに加えて、オフェンスコーディネーターとしてどの様に試合を組み立ててチームを勝利に導くのか、その点も大きな見所と言えます。
「得点」という意味では、先の試合でノジマ相模原が4FGを全て成功して確実に12点を獲得したことは、地力の強さを証明するものです。特に今回の試合会場は、ノジマ相模原のホームグランドでありかつ天然芝のフィールドである、相模原市の麻溝公園競技場での試合になります。キックの時に影響する風の向きや流れ方、さらにはボールを置きキックの軸足を踏み出すグランドの感触の違いなど、微妙な要素が重要なキッキングゲームでの影響は決して小さくありません。最近では人工芝のグランドが主流となり、天然芝グランドでの試合は、BigBlueにとっても四年前にパナソニックと対戦した長居スタジアム以来になります。K#8小田倉選手としても入念に準備をしているものと思われますが、FGの3点、TFPの1点が勝敗の分かれ目になる可能性も大きいだけに、キッキングゲームの内容がこれまで以上に重要になります。
試合の見所
この試合は、ノジマ相模原ライズのホームゲームという事で、BigBlueとして初めての会場となる相模原市の麻溝公園競技場で開催されます。ノジマ相模原は5月に交流戦を日本ユニシスBULLS(当時、現BULLS)とこの会場で開催しており、そう言う意味では文字通りホームゲームとしての地の利は相手にあります。ただ、中堅チームから上位チームを狙うBigBlueにとって、何れの試合も上位チームとの対戦=チャレンジャーとしての試合である以上、相手にアドバンテージが有る状態は当分の間続きます。そういう部分も含めて、相手に優る力を準備して試合に勝ち上がっていくことが、トップチームと呼ばれるチームになる為の条件です。その試金石の一つがこの試合と言えます。
オフェンス・ディフェンス、ともに互角と言って良い両チームだけに、試合を決めるのはキッキングゲームの結果と、反則での罰退でしょう。前節の試合でも、決して満足できるキッキングゲームでは無かっただけに、この試合では満足できる結果を見せて欲しいところです。また反則による罰退は、前節の試合結果を比較する上では、ノジマ相模原の11回80ヤードよりは少ない、9回66ヤードいう結果でしたが、決して満足できる結果ではありません。反則の内容にはいろいろ有りますが、プレーの精度を上げれば殆どの反則は避けられるはずです。強いチームは、自らミスはしませんし、相手のミスにはつけ込んできます。BigBlueがこの試合でどちらの側になるのか、今後の試合も含めて注目したい点です。
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