2021第二節: オービックシーガルズ戦の見所

2021/09/12

満を持して臨んだシーズン初戦のエレコム神戸ファイニーズ戦(以下、エレコム神戸)は、スタッツでは相手を圧倒しながらもあと一歩の所での決定力に欠け、26-26の同点引き分けとなったBIG BLUE。第二節の対戦相手は、2年ぶりの対戦となる、オービックシーガルズ(以下、オービック)との対戦です。リーグ戦では2年振りの対戦ですが、今回の試合会場となる第一カッターフィールド(秋津サッカー場)では、2013年のリーグ戦で対戦しており、この時クラフトヘッドコーチ(HC)2年目のシーズンで、両チーム共にパッシングオフェンスが冴える打ち合いとなり、最後はBIG BLUEが追い上げるも惜しくも届かず、41-42で惜敗した試合でした。相手のホームグランドへの準遠征試合とも言うべき対戦ですが、決して相性は悪くないフィールドです。

第一節の試合が対戦チームの都合により不戦勝となったオービックは、この第二節の試合がシーズン開幕戦となります。昨シーズン7年振りに社会人チャンピオンに返り咲いたオービックは、今シーズンもリクルーティングを進めてどのポジションも隙が無く、連覇に向けて準備万端の状態で試合に臨んできます。BIG BLUEの試合では、オフェンス戦で打ち勝つパターンが多いのですが、オービックを始め上位チームとの対戦ではやはりディフェンス戦で互角以上の内容を見せない限り勝利は勝ち取れません。勝利への最大の鍵は、前節の試合で良い内容を見せたディフェンスが、それ以上のパフォーマンスを発揮できるかに掛かっていると言えるでしょう。
 

ディフェンス見所

試合での失点は26点ですが、キックオフリターンTDの2本(14点)とエンドゾーン内での反則によるセーフティ一つ(2点)はディフェンスの責任とは言えず、実際には10失点がこの試合での結果と言えます。ただ、その内容を精査してみると、最初のフィールドゴール(FG)での失点は、切掛が相手チームのパスインターセプトからとは言え、自陣26ヤードからの相手シリーズなのでエンドゾーンまで十分な余裕がありましたが、結局は反則で相手に前進を許して得点に繋がりました。2QのTDにしても、これもファンブルリカバリーから相手の攻撃が始まりましたが、6プレー連続してパスが成功して最後はTDに結びついています。このシリーズについても、途中何らかの対応を考える余裕はあったはずです。後半においては、実質無得点に抑えているだけに、あと少しの努力で大化けする可能性が感じられる内容でした。

ランディフェンスでは、2年目のLB#35ガンボア選手が安定したプレーをしており、DL#34ブルックス選手とともに、スクリメージラインでの厚い壁を作っています。ただ、ディフェンスのDL/LBとして集まりは早く厚くなるものの、その分横展開は狭くなるため、その空いたスペースを利用されて前進される場面が目立ったように思われます。例えば、左サイドでラッシュをしていたDL#34ブルックス選手が、反対サイドのダウンフィールドでパシュートする場面が何度かありましたが、もっと楽にディフエンス出来るシステムを創り上げないと、オービックのようなしっかりとオフェンスをしてくるチームには中々対応出来ないでしょう。DLでは、QBサックを決めたDL#9植村選手、LBではLB#49中野選手、LB#57寺林選手らが、前節以上の好プレーを見せ、さらにそれに続く選手がどれだけ生まれるかが勝敗の鍵を握ります。

前回の対戦ではオービックオフエンスはランプレー中心に攻めてきましたが、QBも替わっておりこの試合でどの様にゲームプランを準備してくるかは不明です。ただ、総ラッシングヤードの半分近くを稼いだRB#29李選手が出場しないため、パッシングオフェンスにシフトする可能性は大きいでしょう。特に昨年加入したQBのQB#11ロックレイ選手はモバイル能力もあるパッシングQBであるため、DB陣は豊富なタレントを有するオービックレシーバー陣と厳しいマッチアップになることは確実です。その中でも、高さを生かしたTE#85ハフ選手へのパスや、メインターゲットのWR#9前田選手、WR#18木下選手、WR#81水野選手へのパスは、そのままTDに繋がる可能性も大きく、DB陣のパスディフェンスがこの試合最大の見所になるでしょう。
 

オフェンスの見所

前節でのBIG BLUEオフェンスの総獲得ヤードは485ヤードですが、オフェンスでの得点は3TD+1FGの24点。一方で同様に第一節で412ヤードを獲得したパナソニックスインパルス(以下、パナソニック)が、9TDを奪っていることを考えると、個々のプレーは良いとしても、シリーズとしての組み立て、ダウン更新や得点を獲得してシリーズを完遂するといった決定力不足が考えられます。オールジャパンクラスの、ディフェンスライン(DL)やラインバッカー(LB)を揃えているオービックディフェンスに対しては、さらに厳しい対戦になることは確実です。特に強力なDLのプレッシャーには毎回苦しめられています。前節の試合でも、QB#2政本選手が厳しいサックを受けたり、プレッシャーから走り出す場面が何度かありましたが、これまで以上にここ一番のプレーでのオフェンスラインの踏ん張りが要求されます。

そのQB#2政本選手は、パスを48回投げて30回成功し、408パッシングヤードを獲得して3TDパスを記録しました。これにより、第一節のオフェンスMVPも獲得しましたが、やはりその「燃費の悪さ」は気になります。レシービング部門では、TE#40スタントン選手、WR#85鈴木(隆)選手、WR#82白根選手が、上位を独占する結果になりましたが、その分この試合ではマークが厳しくなることが予想されます。彼らに相手ディフェンスバック(DB)のカバーが集まる分、それ以外のターゲットがどれだけ活躍できるかが、勝利に向けての見所となるでしょう。特に前節の試合で初TDを記録したWR#8スミス選手は、2捕球27ヤードレシーブと記録的にはTE#87松岡(直)選手に続いてチーム5番目でしたが、球際の強さが目立ちこの試合でも台風の目になる可能性が大きいと期待されます。

パッシングオフェンスが中心だったため、ランアタックは全体で26回72ヤードと不満の残る結果でした。1回平均2.7ヤードは、3回の攻撃でもダウン更新出来ない距離のため、さらなる改善がこの試合では望まれます。前節の試合では、RB#4鈴木(恵)選手のランプレーが目立ちましたが、確かに最長15ヤードのラッシュはあったものの、12回走り31ヤードと平均では2.6ヤード弱とまだまだ物足りなさを感じます。もう一人、RB#47山中選手はプレー機会は3回と少なかったものの、12ヤード獲得しており、平均では4ヤードと3回でダウン更新可能なものの、こちらも彼のパワーランの場面がもっと増えないとオフェンスの決定力回復には繋がりません。さらには、プレーはファンブルでターンオーバーになりましたがルーキーのRB#32遠藤選手や、キッキングリターンで活躍を見せたRB#21佐藤選手と、若手の活躍がこの試合での見所の一つになります。
 

試合の見所

前回危惧したキッキングゲームですが、ルーキーのK#16福岡選手、K#19丸山選手ともにそれぞれの出番ではきっちりとキックを決め、良い意味で予想は外れました。反面、そのキッキングゲームの中のキックオフではキックカバーが甘く、2回のキックオフリターンTDを献上。これが、最後まで試合展開で響きスタッツで相手を大きく離したけれど、勝利を手にするまでには至らなかった最大の原因と言えます。キッキングゲームでも、ディフェンスの様に集まりが早く厚く守ることは必要ですが、その為にプレーとは反対側が大きく空いてしまい、そこにリターナーにカットバックされると一気にロングゲインやリターンTDを奪われてしまいます。当然オービックも前回の内容を見て入念に準備してくることは確実で、BIG BLUEスペシャルチームとしては譲れない勝負が生まれるでしょう。

オービックとの前回の対戦では、前半は13-14と1点差まで詰め寄り折り返すものの、後半3Qに立て続けに2TDを奪われそれが響いて敗戦となりました。今回も、後半の立ち上がりと3Qの対決が大きな鍵になると思われます。前回のエレコム神戸戦でも、3Qにセーフティを奪われモメンタムが傾きかけました。しかしその直後のエレコム神戸の攻撃をDB#29米田選手のパスインターセプトでモメンタムを取り戻し、そこから逆転のTDパスへと繋がりました。課題は、その攻守連携の良いムードが一過性で終わってしまったことでしょう。この試合では、そう言ったチーム一丸となる瞬間をどれだけ数多く生み出していけるかが、大きな見所になります。前節以上のディフェンスの活躍と、少ないチャンス逃さずに掴み取るオフェンスの決定力を大いに期待したい一番になるでしょう。

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