2022準々決勝: エレコム神戸ファイニーズ戦の見所
2022/11/13
リーグ戦を4勝1敗のディビジョンA 2位で通過し、次のライスボウルトーナメント準々決勝に臨むBIG BLUEの対戦相手は、ディビジョンB 3位のエレコム神戸ファイニーズ(以下、ファイニーズ)です。ファイニーズとは、昨シーズン初戦で対戦しましたが、開始直後のキックオフリターンTD(KORTD)で先制点を許すと、その後互いに追加点をいれますが、3Q終わりにやっと逆転。しかし、その直後に再びKORTDで逆転されます。4Q序盤にフィールドゴール(FG)で同点とし、さらに逆転を目指しましたが、結局攻め手に欠けて引分けた試合でした。2回のKORTDだけでなく、セーフティを許したりと、BIG BLUEらしからぬ試合展開となり、かろうじて引分けに持ち込めたという内容でした。
今シーズンのファイニーズは、新加入のQB#5ピンデル選手を中心にオフェンスを再構築し、昨年以上にパスでの得点力が上がっています。ディフェンスも、引分けとなったオービックシーガルズ(以下、シーガルズ)戦では後半を無得点に抑えるなど、昨年からメンバーは大きく変わっているものの、実力ある選手が集まっており、今シーズンも厳しい試合が予想されます。ディビジョンB 3位ではありますが、勝点では2位のシーガルズと同じであり、得失点差で3位になっているため、勝点では勝っているBIG BLUEとは言え油断できません。それ故に、昨年のリーグ戦同様に僅差でのシーソーゲームが予想されるため、最後までやり抜くまさに「COMPETE」するプレーがこれまで以上に要求される試合になるでしょう。
オフェンスの見所
今シーズンのBIG BLUEオフェンス最大の変化は、パッシング中心のハイパーオフェンスから、ランでも得点出来るハイブリッドオフェンスに進化したことです。その最大の要因は、今シーズン加入したRB#26プレスリー選手であることは言うまでもありません。RB#26プレスリー選手は、第一節の胎内ディアーズ(以下、ディアーズ)戦から第四節のアサヒビールシルバースター(以下、シルバースター)戦まで、毎試合ランでのTDを記録していましたが、残念ながら前節のパナソニックインパルス(以下、インパルス)戦でその記録は途絶えてしまいました。このファイニーズ戦で再び彼のパワフルなプレーが復活するかが、大きな見所になります。また、そのRB#26プレスリー選手に刺激を受けたRB#28加藤選手もインパルス戦で活躍しており、まずはランオフェンスに注目です。
一方でやや不安が残るのが、QB#2政本選手のパッシングオフェンスです。QB#2政本選手のパス成功率は、初戦の72%から続く2試合では共に63%でしたが、第四節は48%、第五節は47%とやや低迷しています。第四節のシルバースター戦では、ラッシングヤードがリーグ戦で最も多い153ヤードを記録していることもあり、攻撃の軸足がランオフェンスにあったのかもしれません。しかし第五節のインパルス戦では2TDパスを記録したものの、相手ディフェンスの好プレーもあり、レシーバーとのタイミングが微妙にずれている印象が残りました。クラフトヘッドコーチ(HC)が、この試合のゲームプランをどの様に準備するかは分かりませんが、QB#2政本選手の正確なパッシングオフェンスが戻ってくるかも見所になるでしょう。
ファイニーズとの過去リーグ戦の2敗は、どちらも1TD差で敗れており、この試合で勝利するためには確実に加点をしていく必要があります。インパルス戦では、4thダウンギャンブルでTDを狙う場面が何回かありましたが、この試合ではK#11丸山選手のフィールドゴール(FG)で確実に得点をしてオフェンスシリーズを完結する事も必要でしょう。リーグ戦5試合でのファイニーズのFGは、7回のトライで3回成功。一方でK#11丸山選手は、9回のトライで6回成功と優勢です。試合数の違いはありますが、昨シーズンの10回トライでの9回成功と比べると、K#11丸山選手としては物足りなさを感じているであろう現状を、是非この試合で取り返して欲しいと思います。
ディフェンスの見所
QB#5ピンデル選手は、リーグ戦序盤は実戦でのプレーにまだ慣れない雰囲気がありましたが、試合を重ねる毎にパッシングオフェンスが完成していく様子が伺えます。例えばパス成功率は、第一節では44%(11/25)でしたが、試合毎に向上し、第五節では63%(17/27)にまで上がっています。特にショート・ミドルのパスに関しては、「投げる」というよりは砲丸投げのように「打ち出す」ような素早い動作でパスパスを通しており、対するディフェンスライン(DL)としては、ラッシュでパスポケットを縮めてQBスクランブルを警戒しつつ、QB#5ピンデル選手のパスにどれだけ素早く反応してカットできるか注目されます。その点、DL#34ブルックス選手、DL#99島野選手、DL#92草野選手と高身長の選手が揃っているため、QBの前にどれだけ高い壁を築けるかが勝負になります。
一方でQB#5ピンデル選手のロングパスは、これまでの試合を見た限りでは滞空時間が長く緩やかな軌道を描くため、ディフェンスバック(DB)としてはボールに対して積極的に反応する余裕が生まれるように感じます。また、滞空時間が有る分レシーバーとマッチアップする時間も長くなるため、ホールディングやパスインターセプトの反則に対しての注意はこれまで以上に必要になるでしょう。インパルス戦でも不用意な反則から大きな前進を許し、それが得点に繋がる場面が何度かありました。この試合では、ボールに対してどれだけ意識を集中出来るか、DB陣としてその真価を見せて欲しいと思います。
昨シーズンの試合で勝ちきれなかった最大の理由は、2回のKORTDにある事は間違いありません。そのKORTDをしたオヌワー選手は移籍したため今回の試合には出場しませんが、今シーズン加入したWR#1フェルプス選手は、オヌワー選手を彷彿させる活躍を見せています。レシーバーとしてのWR#1フェルプス選手対策も重要ですが、やはり昨年の内容を考えるならば、キッキングゲームでどれだけ主導権を取れるか、特にKORTDやパントリターンTDの様な、一瞬で立場が変わるプレーは絶対に阻止する必要が有ります。今シーズンのキッキングチームは、キックリターン、キックカバー、ともに良いプレーを見せているだけに、是非この試合ではこれまで以上の結果を見せて欲しいところです。
試合の見所
ライスボウルトーナメントからは、リーグ戦のような引分けは無くなり、同点の場合はオーバータイムで決着が付きます。オーバータイムに苦手意識は無いBIG BLUEですが、やはり4Q終了までにしっかりと点を積み上げて、試合を決定づけたいところです。特に今回の試合の相手が、昨年引分けたファイニーズとなれば尚更です。ファイニーズは、勝点こそBIG BLUEよりも少ない10点ですが、トップ3と呼ばれるシーガルズとはロースコアの接戦で引き分けており油断できません。特にシーガルズ戦では、前半14-0とリードされていた状態から後半に2TDを取り、またディフェンスも無失点に抑えて14-14の引分けに持ち込んでいます。昨年のリーグ戦でも最後まで粘り強いプレーが続きましたが、今シーズンはそれ以上にがっぷりと四つに組んだ試合が予想されます。
ファイニーズは2試合続けての遠征試合になりますが、試合会場はどちらも横浜スタジアムで、試合開始時刻も同じ11:00のため、3シーズン振りに横浜スタジアムで戦うBIG BLUEに比べて、地の利は相手にあると言えます。パスオフェンスへの影響は少ないと思いますが、キッキングゲームでは浜風の影響も考えられ、K#11丸山選手、P#16近藤選手は、どれだけ的確に状況を把握してプレーに繋げられるかが、試合前半の見所になるでしょう。チーム力では、オフェンスでリードするBIG BLUEに対して、ディフェンスではファイニーズがリードしており、この試合も昨年同様拮抗した展開が予想されます。だからこそ、今シーズンチームとして目指してきたものを、全てこの試合で実現するような、シーズン最高の試合を見せて欲しいと思います。
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