あるOBの呟き- パールボウル: vs オービックシーガルズ戦

2023/05/29

4年振りの開催となった第43回パールボウルトーナメント(※2020年第42回大会は開催中止)。初戦の東京ガスクリエイターズ戦(以下、クリエイターズ)では、先制TDを奪うものの前半は同点で折り返す厳しい内容になりました。後半に入り、2TDを奪いリードを広げて逃げ切ることは出来ましたが、攻守ともに歯車が今ひとつ噛み合わない反省点の多い試合となりました。その試合から3週間のインターバルがあり、見つかった課題に対して修正や準備が出来たと思われるこの試合。対戦相手は、前回まで3回のパールボウル決勝戦で対戦しているオービックシーガルズ(以下、シーガルズ)です。

シーガルズとの春の対戦は、2014年まではパールボウルトーナメントの予選で対戦し、2017年の第39回パールボウルからは3年続けて決勝で対戦していますが、未だ勝ち星のない対戦が続いています。春の公式戦はルーキー選手の加入が多く、チームとしてまだまだ体制が整わない状況での試合になりますが、特にシーガルズは今シーズン前にコーチ陣の刷新が行われ、これまでとは異なったチームとしてスタートしています。とはいえ、実績のある豊富な選手層は変わりなく、また既に多くの有望選手の加入も発表されており、戦力的には大きな変化は無いと言えます。BIG BLUEとしては、クリエイターズ戦で苦しめられたランオフェンスで、特にRB#29李選手、RB#32西村(七)選手二人のランプレーをどれだけ阻止できるかが勝利への鍵になるでしょう。オフェンスでは、QB#2政本選手のパッシングオフェンスがどれだけ通用するか、秋のリーグ戦に向けて貴重な試金石になると思われます。試合は、シーガルズK#12山崎選手のキックオフで開始されます。
 

一つの反則で流れを失う

キックオフはタッチバックとなり、BIG BLUE自陣25ヤードからのオープニングドライブ。まずはQB#2政本選手からRB#28加藤選手へのハンドオフから、さらに意表を突いてWR#84近江選手へボールが渡るリバースプレーで15ヤードの前進となります。ここからRB#28加藤選手のラン、WR#14遠藤(健)選手へのパスと前進するものの3rdダウンで6ヤードが残ります。3rdダウンのプレーは、WR#85鈴木(隆)選手へダウン更新のパスが通ったように見えましたが判定はパス失敗。4thダウンとなりますが、QB#2政本選手は残ったままです。このままギャンブルかと思われましたが、QB#2政本選手がパントを蹴ると、これがゴール前5ヤードまで転がる好パントキックになり攻撃権が移動します。

続くシーガルズのファーストドライブは、QB#15小林選手が登場。WR#81佐久間選手へダウン更新のパスを通すと、RB#32西村(七)選手のランに続き、次もWR#81佐久間選手へのパスでダウン更新となります。その後RB#29李選手のランが続き敵陣に入ると、さらにRB#32西村(七)選手のランで5ヤード進み、BIG BLUEディフェンスの対応が遅れ気味になった所で、BIG BLUEが早くもタイムアウトを取り呼吸を整えます。タイムアウト開けのプレーは、右サイドへのスクリーンパスで、これでシーガルズはダウンを更新します。ここからシーガルズはRB#32西村(七)選手、RB#29李選手と確実にゲインを獲得してレッドゾーンに入りゴール前16ヤードでファーストダウンを更新します。次のプレーはTDを狙ったWR#83山中選手へのパスですが、これをDB#1中谷選手がゴール前1ヤードでタックル。しかし次のプレーではRB#32西村(七)選手が左オフタックルを突き先制のTDを許してしまいます。

次のBIG BLUEの攻撃では、クリエイターズ戦でも活躍したWR#86熊井選手へのパスでダウンを更新しますが、3rdダウン3ヤードのパスが失敗し4thダウンに。再びQB#2政本選手がパンターの位置に入りますが、ここでBIG BLUEにフォルススタートの反則で5ヤード罰退。今度はP#16近藤選手が入り、ボールを敵陣24ヤードまで戻して攻撃権が移動します。シーガルズ最初のプレーは、RB#32西村(七)選手のダイブですが、中央を割って入ったDL#44福岡(佑)選手が4ヤードのロスタックル。しかしWR#82成田選手へ11ヤード、TE#0植原選手へ5ヤードのパスが通りダウンを更新。RB#29李選手が5ヤード進めますが、RB#32西村(七)選手のランをLB#10小阪田選手が2ヤード戻し4thダウン7ヤードとなったところで試合は2Qに入ります。4thダウンパントの隊形のシーガルズは、反則でさらに5ヤード罰退。4thダウン12ヤードとなりシーガルズはパントキックをするものの、ここでBIG BLUEがラフィングザキッカーの反則。相手に15ヤード前進とファーストダウンを与えてしまいます。息を吹き返したシーガルズオフェンスは、この後ラン・パスで畳み掛けるとTDを奪い、0-14と点差を広げます。

シーガルズK#12山崎選手のキックオフは外に出たため、5ヤード下がって蹴り直し。2回目のキックは、リターナーに入ったWR#84近江選手がキャッチすると、上手くリードブロッカーに守られつつサイドライン際を駆け上がり、自陣49ヤードまで大きく戻します。絶好のフィールドポジションからのBIG BLUEの攻撃。スナップを受けたQB#2政本選手は、ドロップバックするとフィールド奥に縦長に走り込むTE#40スタントン選手へパスを投じます。高めに浮いたパスはスタントン選手の手の上を通り過ぎると、後ろでカバーをしていたDB#16坊農選手がインターセプト。一瞬でチャンスを失ってしまいます。しかしシーガルズの攻撃を、DB#10小阪田選手、LB#17茂木選手がRB#32西村(七)選手のランを止めると、3rdダウン9ヤードでのTE#92野宮選手へのパスをLB#47市橋選手が7ヤードで止めてパントに追い込み攻撃権を奪い返します。

何とか得点に繋げたいBIG BLUEのオフェンスは、WR#84近江選手、WR#85鈴木(隆)選手、TE#40スタントン選手とテンポ良くタイミングパスが成功しリズムを掴み敵陣に入ります。RB#4鈴木(恵)選手へのスイングパスはロスタックルされますが、相手のオフサイドの反則で2ndダウン8ヤードとなります。次のプレーでは、ハンドオフフェイクを受けたRB#4鈴木(恵)選手がするすると抜けると、その鈴木選手へパスが成功。ランアフターキャッチ(RAC)で更に前進してゴール前10ヤードでファーストダウンを更新します。しかしここから3回のパスが失敗。4thダウン10ヤードからK#11福岡(勇)選手がフィールドゴール(FG)を狙います。距離は問題無かったものの、キックは右に外れて失敗。得点のチャンスを逃します。逆にシーガルズは、パスが続けて成功すると、BIG BLUEのパスインターフェアの反則もあり更に前進。最後はパスを受けたRB#29李選手が12ヤードを飛び込みTDを奪われてしまいます。

2Qも残り2分を切り、何とかして得点を入れて前半を折り返したいBIG BLUEは、自陣26ヤードからの攻撃。シーガルズは一発TDを警戒してパスディフェンスをやや深めに配置したためか、WR#85鈴木(隆)選手のパスキャッチの後のRACで大きく前進します。再びその鈴木選手へのパスでダウンを更新すると、今度はWR#84近江選手への21ヤードのパスが成功。次も近江選手へ11ヤードのパスが成功し、ゴール前14ヤードでファーストダウンを更新します。時間との競争の中、TE#40スタントン選手へのパスでTDを狙いますが、フィールド内でタックルされてしまい最後のタイムアウトを取り時計を残り10秒で止めます。3rdダウンのパスはオーバースローで失敗。4thダウンはFGではなくギャンブルでTDを狙います。QB#2政本選手はラッシュを受けて右から左に逃げながらターゲットを探します。エンドゾーンギリギリのレシーバーに向けてパスを投げますが、これをDB#6スミス選手がインターセプト。タイムアップとなり、0-21で前進を折り返します。
 

やっとリズムを取り返す

後半はK#11福岡(勇)選手のキックオフで再開します。大きくフィールド奥に蹴り込んだボールを、リターナーに入ったRB#29李選手がゴール前1ヤードでキャッチすると、タックルに迫るキックカバーチームの選手よりも一瞬早く前に抜けて置き去りにすると、巧みなリードブロックにも助けられて独走状態に。そのままエンドゾーンまで運ばれ、開始早々99ヤードのキックオフリターンTDを奪われてしまいます。

出鼻を挫かれた格好のBIG BLUEの後半最初の攻撃は、WR#84近江選手が16ヤード戻して自陣16ヤードから。RB#28加藤選手が15ヤード前進しダウンを更新。この後TE#88三浦選手へパスが通りますが、反則で15ヤード罰退。しかし次のプレーではシーガルズにパスインターフェアの反則で15ヤードの前進を貰い相殺する形になります。RB#4鈴木(恵)選手で2ヤード進むも、次のWR#3遠藤(太)選手へのパスが-2ヤードと後退し3rdダウン10ヤードの場面。QB#2政本選手はラッシュを受けて苦しい体制から右サイドライン奥にパスを投じます。これをWR#84近江選手が見事にジャンピングキャッチをして32ヤードのロングゲインとなります。ここから畳み掛けたいBIG BLUEですが、この後パス失敗が続きFGトライに。K#11福岡(勇)選手のキックは、今度は左にそれて失敗しオービックに攻撃権が移ります。オービックはゴール前11ヤードまで迫りますが、3rdダウンでDL#99島野選手が5ヤードのロスタックルでTDを阻止。何とかK#98中山選手のFGの3点に押さえます。

さらに点差が広がった3Q終盤BIG BLUEの攻撃は、この試合好調なRB#20石川選手がダウンを更新してボールをフィールド中央付近まで一気に進めます。さらにWR#18井上選手、RB#32柴田選手とパスが続けて成功し敵陣に入ると、RB#37平松選手が相手のタックルを掻い潜り21ヤードのロングゲインを記録したところで、試合は4Qに入ります。RB#20石川選手が4ヤード進めて、レッドゾーン20ヤードの内側に入ると、QB#2政本選手からTE#40スタントン選手へのパスでゴール前9ヤードでファーストダウンを更新。更に続けてエンドゾーン中央に走り込んだTE#40スタントン選手へ9ヤードのTDパスが成功し、待望の得点を奪います。

まだまだ点差は大きく、まずは早く攻撃権を取り戻したいBIG BLUE。K#11福岡(勇)選手のキックオフはゴール前6ヤードでWR#84西村(有)選手がキャッチしてリターンを開始しますが、LB#47市橋選手のタックルにWR#85鈴木(隆)選手もセカンドタックルで止め、シーガルズ自陣25ヤードからの攻撃開始となります。QB#15小林選手は、RB#31川上選手に続けてパスを通してダウンを更新すると、今度はパスラッシュからスクランブルに出て、自らボールを敵陣に運びます。敵陣42ヤードからのファーストダウンの攻撃は、パスラッシュを受けながらもターゲットを探すと、右から奧に走り込んできたWR#81佐久間選手にパスがヒット。タックルに集まるDB陣を振り切ると、そのままエンドゾーンにボールを運び、7-38と再び点差を広げられてしまいます。

次のBIG BLUEの攻撃は、焦りも出たのかこの試合三つ目のパスインターセプトで攻守交代。しかし続くシーガルズの攻撃をディフェンスが押さえ、さらにシーガルズのFGは失敗し、自陣21ヤードからのBIG BLUEの攻撃となります。RB#20石川選手のランの後、今度はRB#32柴田選手が大きく前進してダウンを更新。続けてRB#32柴田選手が9ヤード進むと、WR#18井上選手へのパスが成功してフィールド中央でファーストダウンを更新します。再びパスを受けたWR#86熊井選手は、相手タックルを振りほどきさらに左オープンに走り出てRACで29ヤードと大きく前進します。ゴール前15ヤードからの攻撃は、RB#37平松選手、RB#20石川選手と中央を突きますが3rdダウンで4ヤード残ります。ここからWR#84近江選手へのパスで一気にTDを狙いますがゴール前2ヤードでタックルとなりますが、ダウンは更新します。この2ヤードを、RB#20石川選手がスクリメージライン中央にダイブすると、OL全員が前へ押し出しTDを奪います。

続くキックオフでは無理をせずに、K#11福岡(勇)選手が奧に蹴り込みますが、これをリターナーに入ったWR#81渡邊選手が一気に加速してフィールド中央付近まで大きく戻します。相手の反則で10ヤード下がってのシーガルズの攻撃ですが、点差もあり無理をしないシーガルズはランプレーで時間を消費。結局14-38でシーガルズの勝利で試合終了となりました。
 

秋に向けての課題と期待

スタッツを見る限りは、オフェンス・ディフェンスほぼ互角であったと言えるでしょう。ただ、まだまだ実力差のある相手だけに、全てにおいて相手を上回るプレーをしなければ勝利を掴むことは出来ない訳で、さらに記録には表れない「プレーの精度・確度」もまだまだ劣っています。シーガルズはオフェンス7シリーズ(最後の時間消費シリーズを除く)のうち、5シリーズで得点を上げており(4TD/1FG)、残り2シリーズも1回はパントでしたが、1回はFGの失敗と得点に繋がるシリーズでした。一方BIG BLUEは9回のオフェンスシリーズのうち、3回がインターセプトによる交代(うち1回は2Q終了のプレー)、2回がパント、2回がFG失敗、2回がTDと決定力不足は否めません。試合前のパス練習では、パスが通らないシーンが何度も見られましたが、試合でもその様子が再現されてしまいました。ランオフェンスが実を結びつつあるだけに、秋までの3カ月でどれだけパスオフェンスを改善できるか、大きな宿題が与えられたと感じた内容でした。

ディフェンスは、相手のランプレーを25回100ヤードに押さえた内容は良かったと思います。ただ、ファーストタックルで相手に触ることは出来ても、押さえるところまでは届かず、更なるスピードとパワーは必要です。また、相手のゲームプランとしてパス中心のプレーを準備してきたと思われるため、それも加味する必要は有るでしょう。DL陣のラッシュは強力でしたが、上手くQBの視界の外に受け流されて、QBは余裕を持ってパスを通していたように感じられます。またパスポケットから逃げる場合も、しっかりとOLがルートを確保しているようにも見られ、プレーをプラン通りに実行する決定力だけで無く、臨機応変に動く対応力もトップとの差を感じた内容でした。学生チームと事なり練習時間が限定されるXリーグの各チームですが、練習量の差というよりは、練習密度の濃度の差を改めて感じた試合だったように思います。秋のリーグ戦までの3ヶ月、量でも質でも相手チームを凌駕する準備をして、開幕に臨んで欲しいと思います。

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