JXB XXXI: 富士通フロンティアーズ戦の見所

2017/12/15

Japan X Bowl(JXB)トーナメント準決勝では、ここまで無敗のパナソニックインパルス(以下、パナソニック)と対戦し、接戦を制して5度目の対戦で初めて勝利を勝ち取り3年振り2度目のJXB進出を勝ち取ったBigBlue。その対戦相手は、3年前と同じ富士通フロンティアーズ(以下、富士通)です。富士通は、パナソニックにリーグ戦で破れたものの、5勝1敗の全体2位で通過。その後、トーナメントではエレコム神戸、オービックを破り、5年連続9回目のJXB出場となります。BigBlueと前回対戦した2014年にJXB初優勝を飾った富士通は、昨年2度目のJXB優勝に続き今回はチーム初のJXB連覇を狙っています。富士通は今回までJXBに5年連続出場しており、安定したリーグトップのチーム力を誇ります。2014年のJXBでBigBlueは大差で敗れましたが、昨シーズンのJXB準決勝では残り2秒までリードする接戦を演じるまでBigBlueも成長しており、今回は最後の1点、最後の1プレーに競り勝てる力をこの一年で得ることが出来たのか、その真価が問われる試合になります。

今シーズンのBigBlueは、チームスローガン"DOMINATE!"の下に、これまで勝ち星の無い、オービック、富士通、パナソニックの「Big-3」に勝つことをマイルストーンに設定し、日本一を目指しています。リーグ戦初戦でオービックに38-34で勝利すると、JXB準決勝ではパナソニックにも31-24と初勝利を勝ち取りJXBに進み、その最高の晴れ舞台で残る一強、富士通と対戦することになりました。初戦でオービックから初勝利を奪ったものの、その後のリーグ戦は決して順調では無く、ノジマ相模原、LIXILに敗れ、エレコム神戸戦はタイブレークでの薄氷の勝利。最終戦となったアサヒ飲料戦は、台風並みの悪天候も有り最後まで苦しい展開での勝利となりました。しかし、これを転換点として、JXBトーナメント準々決勝ではLIXILとの再戦を制し、準決勝ではパナソニックから初勝利を奪うなど、再び勢いを取り戻しています。この勢いを止めること無くさらに加速して試合に臨むことが出来るか、既に勝負は始まっています。
 

オフェンスの見所

初戦のオービック戦での勝利から、その後はやや下降気味だったオフェンス力は、JXBトーナメントに入り再び上り調子に戻ってきたと言えるでしょう。心配なのは、そのピークが前回のパナソニック戦だったのか、まだまだ上を目指して伸びるのかという点です。準々決勝のLIXIL戦では、#10末吉選手の80ヤードTDランを筆頭に、ランとパスが上手く噛み合ったオフェンスであったのに対して、パナソニック戦は徹底時にパスにこだわっていたように感じられます。その差は、やはりスカウティングによるゲームプランが成功したと想像されます。今シーズンは、社会人・大学でヘッドコーチ経験のあるカートローズオフェンスコーチが加入し、これまでのオフェンススタイルとは「ひと味違う」味付けがされていることが想像されます。その最後の仕上げの隠し味が、この試合でどの様に発揮されるのか、最後まで見逃せない内容になると予想されます。

  • クォーターバック(QB):
    パナソニック戦では、今シーズン初めてスターターQBを務めた#2政本選手。相手にとっては「奇襲」と映ったのかもしれませんが、見事にファーストシリーズでTDを奪い試合の流れを掴みました。得点機会はこの最初のシリーズのみでしたが、#3クラフト選手とほぼ同程度の時間フィールドでプレーし、昨年以上の成長が感じられます。この試合では、ランプレーでは60ヤードしか獲得していませんが、政本選手は自らのキーププレーで36ヤード獲得しており、試合序盤パナソニックディフェンスがこの対応に混乱したことが、勝因の一つと言って良いでしょう。一方の#3クラフト選手は、ショート・ミドルの早いタイミングパスに磨きが掛かっているように感じられます。また、コントロールも安定し、TE#40スタントン選手やWR#85鈴木選手へのTDパス等、ディフェンスとマッチアップしているレシーバーへもピンポイントでパスを通す場面が何度も見られました。このQB二人の持ち味をどの様に組み合わせて行くかが、オフェンス最大の見所と言えるでしょう。
  • ワイドレシーバー/タイトエンド(WR/TE):
    ホットライン#81栗原選手、#40スタントン選手に加え、さらに#85鈴木(隆)選手がシーズン後半から三本目の柱として活躍を見せており、得点力アップに貢献していると言えます。鈴木選手は大学でも一緒だった政本選手は勿論、最近の試合ではクラフト選手のタイミングにも慣れた様子が伺え、この試合での活躍が期待されます。パナソニック戦では、決勝点となった2本目のTDレシーブが印象的ですが、1本目のTDレシーブはキャッチ後相手タックルを振り切りランアフターキャッチで奪ったTDであり、そのしぶとい粘りのプレーに大きな期待が生まれます。またJXBトーナメント戦に入り、#18上廣選手が復帰してシュアなレシーブが復活しており、さらに今シーズンレシーバーユニットに入った#19鈴木(恵)選手も期待に答えるプレーを見せる一方、#40スタントン選手のジェットスイープがオフェンスのキープレーの一つになるなど、レシーバーユニットのパリエーションが増え全体の底上げが感じられます。さらなる新しいプレー、選手の活躍がこの試合でも期待されます。
  • ランニングバック(RB):
    前回パナソニック戦での吉報の一つは、故障から#21高木選手が復帰しプレーに参加したことでしょう。オフェンスチームでのキャリーは4Qの1回だけ、しかも最後にファンブルというおまけ付きでしたが、23ヤードを運んだそのプレーは、小さい体ながら当たり負けしない「高木流」の復活を十分に感じられるプレーでした。今回の試合では久しぶりに、#10末吉選手とランアタックの両輪としての活躍が期待されます。また、高木選手の不在中しっかりとその穴を埋めた#37伊藤選手にも期待が高まります。リーグ戦後半になり、Xリーグの試合に慣れ上手くOLを利用してスクリメージラインを抜けられるようになり、持ち前のクイックネスとスピードを生かしたプレーが出るようになりました。どれだけ出場機会があるかは不明ですが、少ない機会の中でも持ち前の走りを見せれば、勝利への大きな切っ掛けになることは確実です。ランの中心は#10末吉選手が中心になると予想されるものの、そこにどれだけ#21高木、#37伊藤の両選手がプラスするプレーが出来るかが、勝利への大きな布石になりそうです。
  • オフェンスライン(OL):
    オフェンスプレーの要はQBですが、オフェンスの基礎はなんと言ってもオフェンスライン(OL)の5人。センター(C)の#66伊藤選手を挟んで、両側のガード(G)には#59内尾選手、#53樋之本選手、その外側タックル(T)には#76秋葉選手、#55林選手と、ここまでシーズンを通してスタートメンバーを固定して戦ってきました。それにより、プレーが安定しQBとの信頼感も深まり、これは今シーズンの大きな強みと言って良いでしょう。富士通ディフェンスは3-4と、これまで対戦したチームとはやや異なり、前を減らして厚みを増し機動性を武器に多角的にラッシュしてQBやRBに迫ってきます。BigBlueオフェンスの核である、ノーハドルでのクイックオフェンスをするためには、ドーム内での大観衆という悪条件の中でも確実にプレーを共有して、相手の変化に対応しなければなりません。選手一人一人の能力は勿論ですが、ここまでのOLユニットとしてのチームワークを、この試合でどれだけ発揮出来るか注目されます。
     

ディフェンスの見所

記録で見る限り、ディフェンスでは富士通の後塵を拝しているBigBlue。JXB準決勝までの8試合平均で、富士通は9.6失点に対してBigBlueは21.9失点。喪失ヤードでも、富士通が203.1ヤード(ラン:73.5yd/パス:129.6yd)に対して、BigBlueは303.9ヤード(ラン:92.9yd/パス:211.0yd)と、パスディフェンスに大きな差が見られます。また富士通ランオフェンスの中心#29ゴードン選手の出場が微妙なだけに、QB#3キャメロン選手から豊富なレシーバー陣を駆使したパッシングオフェンスが予想されます。さらにキャメロン選手も、これまで対戦して苦戦した、ノジマ相模原の#98ガードナー選手、パナソニックの#5アンダーソン選手のように機動力にも優れており、これまでの試合経験をどの様にしてこの試合に反映出来るかが勝敗の分かれ目になりそうです。好材料は、被インターセプトゼロのアンダーソン選手から2インターセプトを奪ったように、DB陣の活躍が目立つシーズンとなっており、この勢いをどれだけ試合で発揮出来るかが鍵になりそうです。

  • ディフェンスライン(DL):
    #34ブルックス選手が、BigBlueディフェンスのアイコンであり、キープレーヤーであることは誰もが納得するところですが、4年目のシーズンを迎えその対策がライバルチームにも浸透してきたことも事実。しかし今シーズン加入した#92トゥアウ選手は、ライバルチームに新しい課題を与えるに十分な活躍を見せ、ここまでチームを牽引してきました。さらに、この二人が相手オフェンスラインのリソースを奪うことで、#44福岡選手、#98森田選手、#31藤井選手等他のDLメンバーの活動域が広がっています。あえて課題を挙げるとすれば、機動力に優れたQBが増えたため、これまでのように単純にスクリメージラインを割ってラッシュするだけでは、逆に空いたスーペースへランやパスを通されてしまう、すれ違いが目立つことでしょうか。LIXIL戦やパナソニック戦では、DL/LBのコンビネーションが上手く機能する場面も多くあり、その機会をどれだけ試合で実現出来るか注目されます。
  • ラインバッカー(LB):
    LBパートリーダー#5コグラン選手は、パナソニック戦で2回のQBサックを決めるなどLIXIL戦に続いて活躍し、今一番脂が乗っている選手の一人。また、相棒となる#6坂口選手は、対戦相手の富士通から今年移籍した選手で、1年目にして「恩返し」の機会を得てそのプレーに期待が掛かります。前へ前へと進むこの二人を「動のLB」と考えると、対して自分のテリトリーを確実に守る「静のLB」とも言えるのが、ベテラン#9星田選手と若手の#35高橋選手。最も警戒されるQB#3キャメロン選手のランやRBの#6神山選手、#33高口選手に対してどれだけ確実にファーストタックル出来るかが大きな見所になるでしょう。さらに、遊軍的にLBを補完しているDB#22中山選手も、隠れた好タックルをパナソニック戦でも見せており、ディフェンスに厚みをもたらしています。ゴードン選手不在の直近2試合では、ラッシングヤードは大きく減っており、それをどの様に富士通オフェンスが埋めてくるか、試合序盤の対決が注目されます。
  • ディフェンスバック(DB):
    ここまで8試合までのパス喪失ヤードの1試合平均は、富士通の129.6ヤードに対してBigBlueは211.0ヤードと大きな差があります。ただ、直近の2試合での平均を見ると、富士通は129ヤードと変わらないのに対して、BigBueは163ヤードと大きく改善してきており、それにはDB陣の成長が大きく貢献していることは言うまでもありません。試合の流れを変えた#32小林選手や#25寺中選手のパスインターセプトは勿論ですが、これまでと比べてDB陣の集まりが早く確実にカバーをしている事を感じます。しかし富士通のレシーバー陣は、ホットラインの#81中村選手を筆頭に、#1強選手、#9宣本選手、#22岩松選手とBigBlue以上に豊富であり、前節パナソニック戦以上に厳しいマッチアップが予想されます。また、ここまでの試合では4Qに入るとQBのコントロールも甘くなり助けられる傾向がありましたが、#3キャメロン選手の場合は最後のプレーまで確実に投げ込んでくることは、昨年の準決勝残り1分21秒からの反撃で経験したとおりです。接戦が予想されるこの試合、今回は前回の雪辱を果たせるかどうかがディフェン最大の見所でしょう。
     

スペシャルチームの見所

パナソニック戦の勝因は幾つかありますが、3Q序盤同点直後のオンサイドキックの成功がその一つであることに疑いはありません。成功率が20%程度言われるオンサイドキックですが、#8小田倉選手の蹴ったボールが、サイドライン沿いに走り込んできた#1中谷選手の手の中に、まるでホールインワンの様に納まった様子は、10年に一度見られるかどうかと言っても過言で無いほど「絵に描いたようなプレー」でした。さらに重要な事は、その成功したオンサイドキックをしっかりとTDに結びつけて逆転したことで、同点TD→オンサイドキック成功→逆転TDというシナリオを、3Qの初めから4分間の中で完結させた「実行力」です。また、キックカバーでは、リターナーを早く深い位置でタックルして、ボールを奪うくらいの勢いも必要。相手オフェンスをより厳しい状況からスタートさせるキックカバーチームの活躍に注目したい試合です。勿論キックリターンでは、#81栗原選手のリターンTDが最大の見所になります。また同じくリターナーとして予想される、#21高木選手、#19鈴木選手もこれまでの試合でビッグリターンを見せており、この試合でも活躍が期待されます。

昨年残り2秒からの逆転サヨナラFGで敗退したように、この試合もFGの3点、さらにはトライフォーポイント(TFP)での1点を巡って、厳しい対決が予想されます。特に、室内球場である東京ドームでは、風の影響を受ける屋外の試合以上に積極的にFGを狙うことが可能です。K#11佐藤選手は、昨年からNFL挑戦を目指してオフシーズンには米国で練習を続けています。今シーズン終了後も、再び渡米し来シーズンに向けて挑戦を継続する予定です。佐藤選手のここまでの最長FGは、パナソニック戦での46ヤードFG。この試合では、50ヤード越のFGを成功させて勝利へ貢献すると共に、渡米の弾みにして欲しいところです。またディフェンスでも#34ブルックス選手のキックブロックは、毎回のように見ることが出来、この試合でもFGやTFPキックでブロックプレーが注目されます。ブロックしたボールをエンドゾーンへ持ち込めば、6点(FGブロック)、2点(TFPブロック)を獲得出来ますから、接戦の試合では無視出来ない重要なプレーと言えます。
 

試合の見所

3年振り2度目のJapan X Bowl出場を勝ち取り、チームとしては今シーズンのスローガン"DOMINATE!"のゴールが見える位置まで進むことが出来ました。しかし何事も最後の詰めが一番難しく大変であるように、ここからのプレー、一つ一つがこれまで以上に厳しいものになります。富士通が圧倒的に有利なのは、この大舞台を5年連続して経験していることでしょう。BigBlueも3年前のJXB初出場に続き、昨年、今年とパールボウルでの経験がありますが、やはり大舞台独特の雰囲気はプレーにも影響するでしょう。どれだけ平常心を持って、これまでのプレーを確実に実行出来るか、メンタルな部分での勝負は既に始まっています。

オフェンスは、両チームともに得意なパスを中心とした、シュートアウト、打ち合いが予想されます。富士通がキャメロン選手ほぼ一人で勝ち上がってきたことに対して、BigBlueはクラフト・政本の2QB体制のため、試合の流れによってよりフレキシブルに対応が可能でしょう。また、直前の試合までRB陣に不安があった富士通に対して、BigBlueのRB陣は故障から復帰し、この試合ではほぼベストの状態で試合に参加出来ます。それらを総合すると、オフェンス力では、ややBigBlueが上回ると思われ、そのアドバンテージをどの様に生かしていくかが鍵になりそうです。

ディフエンスに関しては、ここまでの記録的には富士通に分がありますが、最近の試合ではBigBlueディフェンスが成長しておりその差は縮まっています。その勢いをどれだけ伸ばしてこの試合に臨むことが出来るか、その伸び代が勝敗への糸口になりそうです。JXBトーナメントの2試合では、ランの不調をパスで補い勝ち進んできた富士通だけに、この試合に向けての対策を色々と用意してくるでしょう。キャメロン選手は、これまでのどのQBよりも投げ込んでくることが予想され、一瞬も気が抜けないプレーが続きます。これまでで最もスリリングなDBとレシーバーのマッチアップが続く試合になることは確実です。

今シーズンのXリーグチャンピオンを決めるこの試合。再び富士通の厚い壁に跳ね返されるのか、それともチーム全員の気持ちをまとめ上げてその壁を突き破り、悲願の初優勝と今シーズンの目標であった「Big-3制覇」を成し遂げるのか、今シーズン最高の試合になることは間違いありません。DOMINATE! BigBlue!

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