パールボウル2018: 電通クラブキャタピラーズ戦の見所

2018/04/16

今年もパールボウルの開幕とともに始まる2018シーズン。昨シーズンのBigBlueは、連覇を目指したパールボウルではオービックシーガルズ(以下、オービック)に27-29と惜敗。秋のリーグ戦でも、オービックパナソニックインパルス(以下、パナソニック)から初勝利を挙げて3年振りのJapan X Bowl(JXB)に進出するも、前回同様富士通フロンティアーズ(以下、富士通)の厚い壁は破れず、23-63の大差でシーズンを終えた悔しい一年でした。「日本一」という目標達成が、十分視野に入るだけの力は付けてきたものの、まだ届かないもどかしさを残した悔しい一年だったと言えるでしょう。あらためて「日本一」を目指す2018シーズンは、昨年入替戦に勝利しXリーグ初昇格を勝ち取った電通クラブキャタピラーズ(以下、電通)との対戦で始まります。

電通は2009年に初めて入替戦(7-13ブルザイズ東京)に挑戦すると、その後2013年(9-10ハリケーンズ)、2015年(14-20警視庁)と何れも僅差で昇格のチャンスを逃していました。満を持して臨んだ2017年の入替戦では、前回タイブレークの末敗れた警視庁を、今度は逆にタイブレークの末17-14で破り初昇格を勝ち取りました。その原動力は、ベテランQBの山城選手。日本大学、鹿島ディアーズ(当時)で活躍し、一度は引退したものの3年前から再び選手に復帰。そのパッシング能力でX2を勝ち抜き、またBattle-9で2勝をあげた警視庁ディフェンスを翻弄してきました。BigBlue OBも含めて、Xリーグ経験者も多く所属し、攻守ともに「初昇格チーム」と侮れない力を持っているチームと言えます。

オフェンスの見所

昨年まで、QBとオフェンスコーディネーター(OC)を兼任していた#3クラフト選手は、今シーズンからはさらにヘッドコーチ(HC)としてディフェンスも含めたチームマネージメントにも責任を負うことになります。HCとしての責任も加わるため、必然的にQB#2政本選手、QB#17岸村選手へプレーの比重が移る事が予想されます。3年目の政本選手は、すでにXリーグでもトップクラスQBの評価を受けており、サイドラインから出されるプレーコールを、どれだけスムーズに実行出来るか経験値の醸成が望まれます。同じ事は2年目の岸村選手にも言えますが、さらに岸村選手の場合は試合出場機会を積み、Xリーグのプレースタイル・雰囲気に慣れる必要もあります。そう言う意味で、春のパールボウルは、この二人のQBにとって絶好の機会と言え、これまでに無い新鮮なプレーが期待されます。

気になるのは、昨シーズンまでオフェンスを支えた、ベテランオフェンスラインの#53樋之本選手、#76秋葉選手、#55林選手が引退したこと。その穴は、中堅の#61坂口選手、#71永山選手、#77進藤選手に、2年目の#55荒井選手、#58泉二選手、#69高橋選手と言った若手が埋めることになりますが、ローテーションも含めて、まずは昨年のレベルに到達することが課題となります。QB/OL共に秋のリーグ戦に向けて、新しいフォーメーションでどれだけ結果を出せるかが、まずは見所と言えるでしょう。

また、BigBlueのグランドアタックの中心であった#10末吉選手が引退し、さらにFBの#31森重選手、WR#80瀧選手、TEの#84小林選手とこれまでのオフェンスを支えてきた中堅選手も引退。オフェンススキームの大きな変更が予想されます。昨シーズンもよく使われた、RB/RWポジションに拘らず、パス・ランを組み合わせるマルチアタックが今年も中心になると思われますが、新体制での最初の試合として、クラフトHCの采配とともに若手選手の活躍が大いに注目されます。

ディフェンスの見所

昨年のJXB富士通戦は言うまでも無く、リーグ戦6試合の平均失点を見ても、パナソニック、富士通、オービックという上位チームが一試合平均10失点であるのに対して、BigBlueは平均20失点しており、これを改善することが今シーズンの最優先課題と言えます。ディフェンスでは、DLから#90村橋選手、#99中村選手、DBから#24齋藤選手、#32小林選手の4名が引退しましたが、オフェンスと比べると戦力ダウンは少ないと言えます。とはいえ、DLから二人が減るため、バイスキャプテンの#98森田選手を中心に、ローテーションをどの様に再編するかが春の課題の一つと言えるでしょう。

一方で、昨年のメンバーがそのまま残留したLB陣は、ディフェンスキャプテンを務める#5コグラン選手を中心にさらに成長が期待されます。昨シーズンは、キャプテンの#1中谷選手や、ベテラン#22中山選手等は、DB登録ながらも実質的にはLB的なプレーでディフェンスを支えてきており、LB/DBのシナジーがどれだけ発揮されるかが、今年の課題になるでしょう。LBに関しては、昨年苦労した大型RBに対しての対応が今年も課題になりそうですし、DBはミドル・ロングパスに対しての対策が昨年の20失点を改善する課題になりそうです。そう言う意味では、パスオフェンスが中心になると想定される電通オフェンスは、絶好の対戦相手と言えるでしょう。

そのBigBlueディフェンスのさらなる改革を託されたのは、昨年まで富士通でコーチを務めたトム・カウマイヤー(Thom Kaumeyer)ディフエンスコーディネーター(DC)です。NFLでの選手・コーチ経験だけでなく、日米のチームでのコーチ経験も豊富で、ディフェンス改革だけでなく、ライバルチームのディフェンスコーチとして見続けてきたBigBlueオフェンスへの助言も含めて、クラフトHCの頼れる右腕になる事は間違いありません。試合までの準備期間はまだ短いものの、得意とするセカンダリー(LB/DB)への指導が試合の中でどれだけ発揮されるか、こちらも注目です。

試合の見所

山田晋三前HCのシニアディレクター就任に伴うクラフト新HCを頂点とした新チーム体制だけでなく、チームの活動拠点を2001年からお世話になった千葉県八千代市から茨城県つくば市に移動。さらには、スポーツイノベーションカンファレンスへの参画や、筑波大学アスレチックデパートメントとの協業など、変化を恐れず改革を進めながら2018シーズンが始まります。その改革はまだ始まったばかりですが、同じようにXリーグに新風を吹込むであろう初昇格のチームとの対戦は、今シーズンの幕開けに相応しいと言えるでしょう。

電通の昨シーズンの結果を見る限りでは、電通のパッシングオフェンスに対して、BigBlueデイフェンスはDLのラッシュでの早いプレッシャーが鍵になりそうです。そこから投じられたパスを、どれだけターンオーバー出来るかが一つの見所になるでしょう。また、電通のランディフェンスでは、平均4~5ヤードの前進を許しており、OL/RBとしてはどれだけスクリメージライン上での勝負に勝ち、ダウンフィールドに抜け出せるかに注目が集まります。また、BigBlueオフェンスは、得意のアップテンポなプレーの完成度が課題であり、またそれに対してどれだけ電通ディフェンスが対応出来るかが、秋のリーグ戦に向けてどちらのチームにとっても試金石となる試合になりそうです。

色々な意味で注目の集まる2018シーズンの初戦、まずはさらなる成長への糸口が感じられる試合を見せて欲しいと思います。 Go BigBlue!

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