2022第四節: アサヒビールシルバースター戦の見所

2022/10/16

第三節のノジマ相模原ライズ(以下、ライズ)との接戦を制し、リーグ戦三連勝でライスボウルトーナメント進出が決まったBIG BLUE。第四節は、4シーズン振りの対戦となる、アサヒビールシルバースター(以下、シルバースター)との対戦です。2018年シーズンのリーグ戦では、前半を21-0と大量リードで折り返しますが、後半に相手の追い上げを受け、何とか追加点を重ねて振り切り31-23で勝利した試合でした。シルバースターとの対戦は、過去1TD差内の接戦の試合が多く、この試合も前節のライズ戦同様の厳しい試合内容が予想されます。

今シーズンX1 Superに昇格したシルバースターで注目されるのは、なんと言ってもオービックシーガルズから移籍したQB#11ロックレイ選手の加入でしょう。初戦のオール三菱ライオンズ戦(以下、ライオンズ)では、まだ堅さが見られたものの、2戦目のライズ戦ではシルバースターのレシーバー陣とのタイミングも合いだし、敗れたとは言え戦力に厚みが増していることは確実です。ただし、前節のパナソニックインパルス戦では殆ど出場しておらず、この試合での動向が気になります。前節4インターセプトを見せたBIG BLUEディフェンス陣との対決が、この試合での大きな見所になるでしょう。

 

オフェンスの見所

ライズ戦では、これまで以上にランプレーの比率が上がり、それが効果的に機能したBIG BLUEオフェンス。この試合で注目されるのは、そのランプレーの中心となるRB#26プレスリー選手です。ライズ戦では、2TDラン、1TDレシーブとTDを量産。特に試合を決定づける4Qの3ヤードTDランは、ワイルドキャット隊形からのダイブプレーという、新しいスタイルも見せており、この試合でも相手の意表を突くプレーが繰り出されるかもしれません。またRB#28加藤選手は、ルーキーながらもプレスリー選手にも負けない走りを見せ、ライズ戦での平均獲得ヤードは5.2ヤード(6回31ヤード)とチームトップでした。この二人の「中を抜く」走りに、「外を抜ける」RB#4鈴木選手のスピードランがどう組み合っていくか見所です。

ライズ戦では、相手の厳しいパスディフェンスもあり、パス成功率は18/32回(56%)と60%を割り、獲得ヤード数も159ヤードとこの3試合で初めて200ヤードに届きませんでした。ライズ戦では、QB#2政本選手がパスターゲットを探すために、これまでよりも長くボールを持つシーンが多かったようにも見え、優秀なディフェンスバック(DB)を擁するシルバースターとの対戦でも同じような状況が予想されます。直近の2試合では、パスターゲットが比較的絞られていたような印象も受けますが、初戦の胎内ディアーズ戦(以下、ディアーズ)の様にパスターゲットを散らせるか、あるいはライズ戦でTDを取ったRB#26プレスリー選手へのスクリーンパスのように、緩急を織り交ぜて相手のディフェンスを崩すか、この試合でのゲームプランが注目されます。

ライズ戦での獲得ヤード数が少なかった理由としては、12回の攻撃シリーズ中、敵陣または中央50ヤードから始まったシリーズが5回あり、残りの自陣からのスタートシーズも自陣30ヤード付近からのものが多かったため、ドライブするべきヤード数が少なくて済んだと言う事もあると思われます。キッキングゲームでのリターンチームが活躍したことと、5回のうち3回はディフェンスのパスインターセプトがもたらしたシリーズなので、オフェンス・ディフェンスのコンビネーションが上手く機能した結果と言えます。ライズ戦では、ディフェンスが4インターセプトがチームのリズムを作りましたが、この試合ではオフェンスの得点シーンで試合の流れを作るような内容を期待したいところです。

ディフェンスの見所

ライズ戦は、相手もオフェンス力の有るチームだけに、ディフェンスも厳しい内容が事前に想定されました。まだまだ課題も見られましたが、なんと言っても4回のパスインターセプトが大きかった事は言うまでもありません。流れが相手に傾きかけたことはあっても、相手に流れを渡さない状態を維持出来た貴重なパスインターセプトと言えます。しかも、4回のうち2回はディフェンスライン(DL)がパスをブロックしたものをインターセプトしたもので、そのうち1回はDL#99島野選手にパスインターセプトが記録される等、DL陣の活躍が目立った試合でした。ライオンズ戦では、相手を押し込んでいたものの上手くQBが前に上がりかわされる場面が気になりましたが、ライズ戦では走路を塞ぎ対応出来ていたと思います。それ以上のプレッシャーを先ずはこの試合で期待したいところです。

そのパスインターセプトですが、LB#22中山選手、DB#1中谷選手とベテランの二人が前半にボールを奪えば、後半はルーキーのDL#99島野選手、DB#30藤崎選手がパスインターセプトを奪い、ベテラン・若手問わず上手く噛み合っている印象を受ける試合内容でした。一方で、メインターゲットのWR#85八木選手、WR#81田窪選手にはロングパスを許すなど反省点も多く、シルバースター戦ではWR#83林選手、WR#18大澤選手と言ったベテランレシーバー陣との対決が注目されます。ライズ戦では、QBを追い込みながらもフリーになったレシーバーにロングパスを通される場面が何度かありました。QB#11ロックレイ選手も状況判断に優れた選手なので、最後まで相手を取りこぼさないパスカバーが出来るか注目されます。

ライズ戦でのディフェンスの勝因の一つに、相手のランプレーに対応出来た事が上げられます。初戦のディアーズ戦でも56ヤードに押さえましたが、続くライオンズ戦では291ヤードと大きく後退。一転してこのライズ戦では73ヤードに押さえました。特筆すべきは、ライズのメインキャリアーである、RB#20ウィリアム選手を9回18ヤード、RB#29吉田選手を13回29ヤードと、どちらも平均2ヤードで止めたことが大きかったと言えます。シルバースターでは、RB#6川村選手、BIG BLUEから移籍したRB#20山中選手、RB#3岩田選手等豊富なRB陣対策が鍵になります。好調なLB#57寺林選手に、DB登録ながら本来のLBよりも更に前のDLと並んでプレーする様子も見られる、DB#7テイラー選手達の活躍が、この試合での大きな見所になります。
 

試合の見所

前回のライズ戦で印象的だったのは、キックカバーチームの活躍です。試合前半のキックオフカバーでは、WR#80小鳥居選手が敵陣16ヤード、14ヤードと好タックルで2回止め、さらに2Q最初のTD後のキックオフカバーでは、LB#42酒井選手が敵陣17ヤードで止めるなど前半で若手が活躍すれば、後半はDB#1中谷選手が2回のキックオフカバーで、敵陣23ヤード、17ヤードで止めるなど、ビッグゲインを許さなかったことが勝因の一つと言えます。この試合でも、先ずは相手の攻撃開始地点をどれだけ押し込む事が出来るか、オフェンスシリーズ開始前から相手を圧倒するプレーが大きな見所になると言えます。

昨シーズンのライズ戦以来、BIG BLUEのチーム体質が、それまでの「競り合いに弱い」イメージから、「競っても負けない」粘りが出てきた気がします。特に第二節ライオンズ戦や第三節のライズ戦は、後半まで互いに点を取り合い逆転が続く展開となり、また途中ミスもありながらも焦ることなくその後に流れを取り返し、結果的に最後は勝利に繋がる試合を作る事が出来るようになりました。次は「競っても勝てるチーム」への成長が、トップチームに挑戦し勝ち上がる為には必要です。この試合の展開がどうなるかは分かりませんが、接戦だろうが点差が広がる内容だろうが、最終的にはこれがBIG BLUEのフットボールというものが感じられる試合を見せて欲しいと思います。

この試合にBIG BLUEが勝利すれば、ディビジョンAでの2位以上が確定し、最終戦でのパナソニックインパルスとの対戦はディビジョン内1位を賭けた対戦となります。ライスボウルトーナメント初戦は、ディビジョンB内チームとたすき掛けでの対戦となるため、より上位でリーグ戦を終えることがトーナメントでは有利になります。その為の勝利を是非勝ち取って欲しいと思います。

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