2024 RBT準々決勝: 富士通フロンティアーズ戦の見所
2024/11/17
2024リーグ戦が終了し、BIG BLUEは2勝3敗1分(勝点7)で全体8位という結果に。その中には、劇的なサヨナラフィールドゴール(FG)で7年振りにオービックシーガルズ(以下、オービック)に勝利した試合もあれば、これまで無敗だった東京ガスクリエイターズとSEKISUIチャレンジャーズには初白星を献上。また、今季X1 Super初昇格した富士フイルム海老名ミネルヴァAFCとは、最後に逆転を許し、何とかFGで同点引き分けに持ち込むなど、出入りの激しいシーズンとなりました。リーグ戦最終節では、昨シーズンのリーグチャンピオンの富士通フロンティアーズ(以下、富士通)と対戦。試合開始直後のキックオフリターンTDから畳み掛けるオフェンスで前半で14-42と大差の展開となり、試合は14-63と一方的な内容で終了しました。その結果、8位のBIG BLUEは1位の富士通と二週間のインターバルののち再び対戦することになります。
リーグ戦での富士通は、全勝で勝点18を獲得。同じくパナソニックインパルスも勝点18で並びますが、各試合の得失点差(最大+/-20点)合計では、118点とほぼ全ての試合を20点差以上で勝利し全体で1位の成績でライスボウルトーナメント進出を決めています。6試合での総得点・総失点もトップの成績で、オフェンスではQB#18高木選手のパスに、RB#2ニクソン選手のランを中心とした得点力は盤石。ディフェンスも、DL/LB/DBとどのポジションにも全日本クラスの選手が揃い、1試合あたりの平均失点は「7.3」とほぼ1TDに押さえています。その強力なオフェンス・ディフェンスの感覚がまだ残っているこの再戦で、どれだけその経験を生かすことが出来るか、BIG BLUEとしては大きな挑戦となる試合です。
オフェンスの見所
昨シーズンと比較して、本来のパフォーマンスが出来ているとは言いがたい今シーズンのBIG BLUEオフェンス。理由は色々あるかとは思いますが、チームの特徴である思いきりの良さ、追い詰められれば逆にそれを発憤材料にして吹っ切れたプレーを成功させる、瞬発力のようなものが感じられる場面が少ないように思います。第三節のオービック戦での4Q終盤の反撃は、そのまさに「瞬発力」で追いつき逆転した事例で、それ以外の試合でもそれに近い場面は何度か生まれたものの、これまでと比べてその持続力も最大値も弱く、結果的に不発に終わるケースが今シーズンは多いように感じます。
パスオフェンスでは、前節富士通戦でQB#2政本選手がほぼ全てのシリーズでプレーコールをしましたが、その経験値を是非この試合で生かして欲しいと思います。厳しいディフェンスもあり、富士通戦では12/29回成功1インターセプトと、決して満足出来る内容ではありませんでしたが、シリーズの中にはショート・ミドルパスを繋いでTDを獲得したものもあり、本人としても結果は兎も角プレー内容としては本来の感覚を掴みかけてきたのでは無いでしょうか。富士通DB陣の厳しいマークもあり、ターゲットとしてパスキャッチ出来たレシーバー数にはまだ物足りなさが感じられますが、その経験値をどの様に昇華させてこの試合に生かすか、パッシングユニットとしては正念場となる試合になります。
ランオフェンスでは、RB#21平松選手、RB#28加藤選手が同時にセットするなど、新しい試みも見られた前節の試合でした。結果としては、厚い富士通ディフェンスの壁に苦しみスクリメージラインを突破することも苦労するプレーが多くありましたが、いったん抜ければ個人技を生かした前進もあり、その「後一歩」をこの試合でどの様に実現するか注目したいところです。富士通ディフェンスのプレーを見ていると、単に力勝負で走路を潰すだけで無く、走路が空いたと見せかけてそこにRBが飛び込むとすかさずLBが反応するような、力と技の組合せが非常に効果的に機能していたように感じます。そのためオフェンスとしてもプレー選択に迷いが生まれて、さらに相手の術中にはまるような場面が続きます。オフェンスの特にランプレーに関しては、スナップ直後の動作でそのプレーの成否が決まると言って良く、そのためには迷い無く自分がやるべき動作をいかに確実に遂行出来るか、OL、RB、そしてリードブロッカーとなるレシーバー全員の気持ちが重要です。厚いディフェンスの壁に、どれだけ楔を打ち込むことが出来るか、力と技とスピードの鬩ぎ合いが見所になるでしょう。
ディフェンスの見所
試合開始直後のキックオフリターンTDを除いて、8TDを許してしまった前節のBIG BLUEディフェンス。「力の差」と言ってしまえば簡単ですが、それではどれだけ時間を費やしても富士通に勝利することは出来ません。ランディフェンスでは、197ヤードを許していますが、このうち82ヤードはRB#21三宅選手の82ヤード独走TDなので、これを防ぐことが出来れば喪失ランヤードは115ヤードとなり、優秀なRB陣を要している富士通オフェンスに対して、そんなに悪い結果とは言えません。RB#21三宅選手のTDプレーを見てみると、試合序盤という事もあり、スクリメージライン付近で綺麗にブロックが決まっており、これは富士通が準備したゲームプランが見事に嵌まった結果とも見えます。別の言い方をすれば、BIG BLUEディフェンスとしては本来やるべきことが出来ていればしっかり止めることも出来たはずで、この試合では最初から最後まで緊張感を維持してプレーに集中出来るか、ディフェンスとしての真価が問われるでしょう。
パスディフェンスを見てみると、276ヤードを許しており大胆な対策が必要でしょう。特に先発したQB#18高木選手は12/20回成功と成功率は60%とやや低いものの、2TDパスを含む154ヤードを獲得しています。更に試合記録を見ると、前節の試合ではQB#18高木選手のランプレーの記録は無く、これはパスポケットの中で十分に時間を貰ってターゲットへ投げ込むことが出来たと解釈できます。厚く強い富士通OL陣を攻略することの難しさは言うまでもありませんが、前回の経験を生かしてどの様なQB対策を準備して実行するかがディフェンスに関しての大きな見所になります。一方で、そのような状況でも20回のパス試投のうち8回は失敗している部分に関しては、BIG BLUE DB陣のプレーが生きていたと言えるでしょう。この試合では、さらにそのプレーの精度を上げてレシーバーとのマッチアップで勝率を上積み出来るか注目されます。
一方で、後半QBがQB#19鎌田選手へ交代すると、パスからのQBキープで大きくゲインを許しています。前節では、二人のQBを前半・後半で使い分けてきましたが、その対応にやや後手に回った印象があります。QB#18高木選手、QB#19鎌田選手、そしてQB#8濱口選手と、実力のある3QBを要しているだけに、起用方法に関しては様々バリエーションが想定されます。ただ、どのQBがプレーコールを出そうと、フィールドでディフェンスがやるべき事は、まずはQBに対してどれだけプレッシャーを与えられるかという基本部分は変わらないはずです。簡単な仕事では無い事は言うまでもありませんが、だからこそその壁を破り相手に迫らない限り勝利は無いわけで、DL/LB陣の更なる活躍が期待されます。
試合の見所
「三度目の正直」で初めて富士通に勝利できるか、あるいは「二度あることは三度ある」と今回も跳ね返されるか、負ければシーズンも終わるトーナメント戦だけに、これまで以上にチームとして相手に対峙する気持ちが重要になるでしょう。前節では、キックオフリターンTDに1プレーでの独走TDと、序盤に出鼻を挫かれて意気消沈した雰囲気が、そのまま最後まで続いたような試合でした。ただ、その後の展開ではそのようなビッグプレーを繰り返させない力は持っているわけで、序盤の入り方さえしっかりと準備出来れば、その後の展開も変わる可能性はあります。そう言う意味で、前回の経験値を生かしてどの様にオフェンス、ディフェンスが最初のシリーズを完結出来るかが先ずは見所になるでしょう。
リーグ戦からトーナメント戦に入り、試合に敗れればそれはそのチームのシーズン終了を意味します。過去の結果では、初戦で敗れたシーズンもあれば、劇的な内容で勝ち抜き次にコマを進めたシーズンもありました。チームとしては、勿論勝利することが一番の目標ですが、そのためには選手やスタッフ、コーチ等チームを構成する全ての人員がその目標に向かって集中し全力を費やさなければ、その目標を達成出来ないことは言うまでもありません。リーグ戦を歯がゆい結果で終わった今シーズンだからこそ、ここからのトーナメント戦ではその思いを払拭するプレーを見せて欲しいと思います。
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